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蒼国物語  作者: 松谷 真良
第23章 レオがっ!おーちーたー
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ライラ、鼻血出しすぎだから

「うう…今日のレオ、妙に積極的って言うか…いじわるって言うか…ううー!!」


まだ顔が赤いフィリアはベッドへダイブして枕を抱え悶える。


「か、わかいすぎるぜ!!」


シャッターをすごいスピードできると、ライラは鼻血を吹いて後ろにたおれる。


「ラ、ライラ!ちょ、大丈夫!?」

「だいじょーぶ」


ぐっと親指を立ててライラは死への道を一歩歩きはじめ…てないぞ。


「勝手に殺すな!」

「ラ、ライラ…今日は寝よっか」

「そーだね!」


急いで鼻血の後を消すとライラはフィリアと同じベッドにさりげなく潜り込む。


「さりげなく一緒の布団に入るなー!!ライラの布団は上でしょ!?」


ライラのことを布団から叩きだすと、フィリアは眼をつむる。




数秒後、フィリアが寝ていることを確かめると、ライラはおもむろにカメラを取出し、シャッター音を無音にして寝顔をとりまくる。


「う…レオ…」


※寝言です。


「なんか悔しい…」


レオに対抗心を燃やしたライラは様々な角度から写真を撮る。


「んー…ん…」

「か、かわいーぜ!」


小声で叫ぶっていう難しいことをしてライラは身返りをうったフィリアを見て悶える。


「ん…」


枕を抱きかかえたフィリアに、ライラは本日二回目となる鼻血を吹いて倒れる。























翌日。


「ん~…。よく寝…たって、ラ、ライラ!!」


フィリアが少しいつもより遅めに起きて目にしたのは、血の海と中央に鼻血出して幸せそうな笑顔を浮かべ倒れているライラとカメラ。


「…殺人事件?」


カメラが凶器にでもなってるのかなぁと、カメラに手を伸ばしたフィリアの手をライラはさえぎる。


「違うと思う」

「あ…生きてたの」


なんだつまんないのって小声でフィリアは呟くが、ライラは聞こえないふりを必死にしてダメージを半減する。


「うん。どーにか…」

「カメラ…」

「ああ…ありがと」


何にも知らないフィリアは、寝顔やらレオとの逢瀬で赤面しているところやらが盗られているカメラをライラへ渡してしまう。


「学校行こうか。鼻血、止めてね?あと、床、ふいてね。下に滴ると可哀そうなことになるから」

「アイアイ、姫様」






学校の食堂。


「おっはよー!」


こっそりと販売したフィリアの写真がメッチャ売れてご機嫌なライラはテンション高くしてフィリアと歩く。


「あ…レオ…」


食堂には、レオとクライトが頭を詰め寄せているほかに、時間帯が少し遅いからか人がいない。

昨日のことを思い出して、フィリアは赤面する。


「ああ、おはようフィリア」

「う…ん。おはよ、レオ」


ちょっと真正面から視線が合わせられないので、フィリアは若干目を逸らしながらレオに返事をする。


「例のごとく俺は無視、と…」


悲しそうにクライトは呟く。


「あ、の…クライト君もおはよう」

「律儀ですね、フィリア様はそういう所。本当にレオなんかに引っかかったのが勿体な…」

「何か言ったか、クライト」


クライトの頬をレオはつぶして、笑顔を作り尋ねる。



「…なんも言ってねぇよ」



「再びおっはよ―!!私はいつまで無視し続けられるの!?」


ライラ、クライトとレオの会話に無理やり割り込む。


「ラックとでも遊んで来ればいいだろうが。使えねぇ奴と話すほど今暇じゃない」

「な、んだと!?私が使えないってどういうこと―――!?」


朝っぱらからギャアギャアとライラは騒ぐ。


「ライラうるさいよ…夏休みなんだしさ、ね?」

「いや、夏休みだからなんなの?」

「…とりあえず言ってみたかっただけですが、何か」


うっと言葉に詰まったフィリアはソッポを向きながらライラに逆ギレっぽく聞こえなくもない答えを返す。


「フィリア、そう拗ねるな。後で構ってやる」

「そうじゃない!!また徹夜でもしたの、レオ?」


心配そうにフィリアはレオの顔色を見る。


「また?ああ…確かにかれこれ1週間は寝ていないが、問題ない」

「問題だよ!!クライト君はレオに何させてるの!?体調管理もさせてよっ!!」


レオの顔色が心なしか悪いように見えたフィリアはクライトを怒る。


「フィリア様…それは少し無理ゲーです。コイツの体調なんか崩れないと思いますよ。徹夜最高記録、半年ですから」

「何させてるのっ!?」

「どういう状況!?」


半年も寝ないって、それはどんな状態だよ!とライラはツッコミを入れる。


「父さんが帰ってこないのがいけない。レーブが面倒事を増やすのがいけない」

「…レオ、とにかく寝た方がいいんじゃないの?体調、悪そうだよ」


フィリアはレオに寝るよう勧める。


「そうしたいのは山々なんだが、無理だろうな…今日も徹夜か」


ハァ…とレオは重いため息をつく。


「学校に来てる場合じゃないんじゃ?」

「王宮でやってバレると問題だからな。学校の方が都合がいい」

「どんな内容の?」

「守秘義務があるからな」


ライラの問いには答えようとしないで、レオは書類に書き込んでいく。


「クライト君。レオのストッパーよろしくね?」

「あー…善処します」


宙を見て、クライトはフィリアの頼みに頷く。





とってきたご飯を食べながらライラはフィリアへ尋ねる。


「夏だよ、フィリア。どこに行きたい?」

「…引きこもりたい」

「問題だよ!!ほら、もっとなんかないの!?」

「んー…特にないなぁ。ライラは?」

「じゃ、依頼に行こう!夏休みだけ、限定のお屋敷で働いてみませんか!って奴」


掲示板に張ってある依頼書を持ってきていたライラはフィリアに突き付ける。


「いいんじゃない?」

「よくない。それはきな臭い」


適当にうなずいたフィリアを横で聞いていたレオが止める。


「そうなの?」

「行きたいというなら止めないが、俺もついて行こう。その屋敷、よく行方不明者が出る」

「それ、明らかに誘拐されてるよね!?」

「まぁ、ほら学校で依頼書張られるくらいなら素行に問題はないんだよ、きっと」


立ち上がったライラをフィリアが何となく宥めてみた。


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