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蒼国物語  作者: 松谷 真良
第22章 リナさんの恐ろしい機械
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ライさん、雷撃本気で放つ。の巻

ぶかぶかの袖を引きずっているフィリアに目を止めたファイナは、リナへジトッとした視線を送る。


「なんですかお姉様」

「フィリアを弄るな、と」

「大丈夫ですよ、今回は」


ニコリと笑ってリナはファイナの追及を逃れる。


「洋服…」


フィリアはファイナに近づこうとして一歩踏み出した時に裾を踏んでこけた。


「…フィリアが!!ドジっ子!!」

「ち、ちがうよ!ラァ、ラァラ…舌が回らない!!」


フィリアの顔が赤くなる。


「うん!かわいいよ、フィリア!」

「うっ、ううううー!」


顔が赤いまま、フィリアはピョンピョンと飛び跳ねえてライラに袖をぶつける。


「痛くないぞー。かわいいだけだぞー」

「わっ…」


フィリアは着地に失敗してついにこける。


「…フィリア」


呆れたようなレオがフィリアの腰に手を回して持ち上げた。


「は、はなっ!放せっ!バカレオっ!!はーなーせー!!」


ジタバタとフィリアは暴れてレオの手を外そうとする。


「誰が放すか」


ヒョイとフィリアの抵抗を物ともしないでレオは抱上げ、耳元へ囁きかけた。


「うっ…は、放せっ!!」

「放さない」


フィリアを抱上げている腕に力を込めるとレオは笑顔を浮かべる。


「レオが…壊れた?」

「壊れたんじゃないかな」


リナを撃沈させたファイナがライラのつぶやきに応じてあげる。


「レオ、どうかしたの?」

「どうもしていない。ちょっと疲れただけだ」

「元気出してね!!」


ニコォて言う笑顔を作ったフィリアに、レオが倒れかける。


「疲れてる時にあれはきついよねぇ。理性、よくもつなぁ」


ライラ、感心してレオを眺める。



「そうだ、姉様。洋服」


離れてみているファイナにフィリアは声をかけた。


「洋服がどうかしたか」

「うん、小さいのが欲しいです」

「母上に頼めばいいんじゃないか?」


ファイナは、めんどくさいしかわいいからそのままでいいんじゃないかって思いグリンダに押し付けようともくろむ。


「姉様、わかってて言ってますか?母様に頼んだらどうなるか…」


フィリアは、ファイナに文句を言っている途中でガクッと首を落とす。


「フィリア?」


レオが軽く揺するが反応なし。フィリアは、眠っていた。


「あれ…あっけなく幻術にかかっちゃった」


ライラ、犯人。


「3歳児だからね、抵抗力とか落ちているのよ」

「はぁ…ということは!やりたい放題!!」



「…とりあえず学校にでも行くか」


色々と疲労したレオは学校に戻ることにする。























放課後の、学校。


「やっぱポラルは豚、だ」

「そうだな。ポラルだけ鼻がついているし」


レオはスースーと安らかな寝息を漏らすフィリアをかかえている。


「ライさんとこいこっ!!」


気持ち悪いものを見たのでかっこいい人の元へ行こうと、ライラはレオの腕を握りしめて行った。


「フィリア…起きろ」

「ん…?」


フィリアを揺すってレオは起こす。


「あれ…?」




パチパチと瞬きして、1秒後。


「こ、は、な!?どういう状況なの?なんでレオに抱かれて…なんか学校にいるし。洋服大きいままだし…?」


あたふたと慌ててフィリアは体勢的に仕方なくレオを見上げる。


「なんだ?」

「べ、別にっ!!なんでもないよ!!ライラどこ行くの?」


カァと頬に朱を浮かべるとフィリアは急いでレオから視線を逸らし、ライラに話を振る。


「生徒会室だよ」


そんな風に話しながら歩いていたら着きました、生徒会室。


「兄様ー!」


レオに降ろしてもらったフィリア、生徒会室に駈け込む。


「…フィリア?どうし…またなのか?この状況は姉上の機械か。そうだろうとは思ったんだが…。で、何の用だ?」


生徒会室の奥にある生徒会長の椅子に座って、書類に目を通していたライはフィリアに気付いてため息をつく。


「あれ?他の人たちは?」


生徒会役員の姿が見当んなかったので、ライラはライにいぶかしげに尋ねる。


「ああ。気絶させた。で、いつもの3人で悪巧みか何かをしているのか?」


耳としっぽをマントで巧みに隠したライに、フィリアは説明をライリアへパスする。


「ライラが説明しなよ」

「耳としっぽー!!」


自分の欲望を羅列すると、ライラはライに飛びかかる。

それを見た瞬間、フィリアはレオの後ろに逃げようとして、レオに引きずり出される。


「よ、よせっ!」


慌ててライはライラから遠ざかる。


「ム、ダ、で、す、よぉ!!」

「…よせ、と俺は言ったからな」


ライは怒気をライラに放つ。

生徒会室の空気が帯電し始め、バチバチと青い火花が散る。


「…私、逃げたいな」


フィリアはゆっくりと後ずさって、ドアの方へ近寄る。


「さぁて、ライさんの、しっぽぉはぁ」


雷龍の子であるライラは全く気にしないで、ライに近づく。


「死ぬからっ!!今の状態で兄様の雷食らったら死ぬからっ!!」


フィリアは、雷撃を放つモーションに入ったライを見ると、焦って泣きながら隣に佇むレオの後ろに隠れようとする。


「…《結》」


レオは、後ろに隠れたフィリアを抱え上げると周囲に結界を張る。


「レオ、ありがとっ!」


フィリアは滅茶苦茶感謝している眼でレオのことを見上げる。


「《放電》!並びに《落雷》!!」


カッとライの周りがスパークした。


「そんなの食らったら死にますよ、ライさん…」


呆れたようにレオは呟くが、行動に移す気はないようで傍観する。


「死に絶えろ!!」


さらに追撃で、雷がライラに放たれた。


「い、いだだだだだっ!?」


全て、見事に命中してライラの骨が透かし彫りになる。


「…っラ、ライラ!?生きてる?」


ライが肩で息をしているのを見て、相当全力で放ったんだな、と気づいたフィリアは倒れ伏して動かないライラに声をかける。


「ふつうなら死んでるが…ライラだからな」


レオは遠い目をして、ピクピクと足を痙攣させるライラから目を逸らす。


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