レン君の相談事
トントンとドアが遠慮がちにノックされた。
「ハーイ、どなたですか?」
フィリアとライラが顔を見合わせてライラが聞いてみる。
「え~と13のレン・カクラミラですが」
「なんの御用でしょうか?」
「…ここ女子寮なんだけどな~男子が来ていいのかな~」
フィリアが小声で呟いた。
「何と言ったらいいのやら良く分かりませんがライラさん、クラスの人が変だと思いませんか?昨日から」
フィリアとライラはお互いに目配せして同時に言う。
「入って」
「え、や、で、でも…」
さすがに女子の部屋に入るのはどうなのかとうだうだするレンにライラがドアを開けて叫んだ。
「ええい!!大丈夫、見られてマズイものはないしあんたが変な気を起して襲ってきても気絶させるから!!」
「そうそう、変な奴だったらね」
フィリアも付いて行ってライラの後ろに立った。
「音もなく後ろに立つなよ、怖いじゃないか!!」
「え、そう?」
ライラにちょっと怒られてフィリアは横に移動した。
「あ、はい。じゃあ…」
レンは部屋に入ってきて、2人に案内され座布団に座らされる。
「で、クラスの人なんですけど」
「目が赤く光るんでしょう」
フィリアは椅子に腰かけて話を聞く。
「…というか僕はフィリアさんに確認したいことが…」
「なにか?なにか、ありますか?」
グッとレンに無言の圧力をかけるフィリアにレンは冷や汗たらたら。
「ええと、えっと、その、えー…フィリアさんって」
「誰かに言ったら殺す。言わなくても殺す、今殺す」
レンが殺気をほとばしらせたフィリアから一歩遠ざかった。
「フィ、フィリア…レン君が引いてる。引いてるから、やめなよ」
「フィ、フィリアさん…あなたがくれたんじゃないですか!」
「知らない、それ誰?誰のことかな~」
「でも、名前が書いてあるんですよ」
レンが食い下がる。
「知らないってば!私は知らないよ~」
「だって、見つけたら返そうと思って一生懸命捜したんですよ!それなのに見つけたと思ったら受け取っ
てもらえないなんて…」
「いらない!!そんなものいらない!返すな!!」
立ちあがってペンダントを差し出してくるレンの手から叩き落とした。
「やっぱりフィリアさんは王女なんですね?あっ…」
「…」
唇を噛んでうつむいたフィリア。
「フィリア、過去の自分を悔やんでもしょうがないよ?というかさっさと要件言ってよレン君」
ライラが珍しくフィリアの暴走を止めた。
「そ、そうだね、ライラ。えっと…」
「というかフィリアさん、どうして今日来ていないのにクラスの人のことを知っているんですか?」
「ライラに聞いたから」
こいつ嫌いと言いたげなフィリアにショックを受けるレン。
「でレンはどうしたい訳」
君付けが面倒くさくなったライラ。
「その…ライラさんだけ目が赤くなっていなかったので聞いてみようかと」
「何を?」
さっさと言えよコラ的な目線のライラにおびえるレン。
「どうやったら解けるのかを」
「はい?私は解いた訳じゃなくってかかってないだけだよ」
「右に同じく。私達に何か期待していたんなら大間違いよ。残念だったわね、他を当たりなさい」
「じ、じゃあクラスの人を放って置くつもりなんですか?」
「当然。ね、ライラ」
「え?いや、助けるべきだと…」
「嘘!なんで?だって助ける必要なんてないじゃん!!あんな低級の妖怪にやられるのが悪いんじゃないの?」
「でもさ、もとはと言えばフィリア達の…」
「う…ライラまで助けに行こうとするの?というか、ライラが助けに行きたいんなら別にいいけど…」
「そうそう。じゃ、レン助けようね!」
ライラさんって意外にいい人なんだ~ってレンは思った。
「どうやって?」
「そんなの明日考えればいいさ!!じゃ、また明日」
ライラがレンを追い出した。
「ねぇライラ」
「ういっす」
「…助けることにしたのは良いけどどうすればいいのか分かっている?」
凄く沈黙が落ちた。
「…知ってる気がする。多分大ー丈ー夫ー」
「はぁー」




