戻そうとすればするほど・・・
翌日。
「フィリア!あ、元に戻ってる残念!じゃなくて、昨日みたいなことがあったときにすぐ助けに行けるように契約を結ばせてっ!!昨日はレオと何もなかったよね!?」
教室にレオと一緒にやってきたフィリアに、ライラが飛びついて一息で伝える。
「え、ええと」
「落ち着け」
困ったフィリアに助けてって言う視線を送られたレオは、ライラをひっぺはがして床に捨てる。
「ふぎゃぁ!!ううっ…フィリア、お願い私と契約を結んで!」
必死の形相でライラはフィリアに頼み込む。
「…魔法少女にはならないよ」
「フィリア、それどういう意味?」
「天からのお告げがっ!今、言えって!!」
フルフルと首を振ってフィリアはライラの戸惑いの視線から逃げる。
「わかったからお願いしますっ!!」
「え、と…承認します」
フィリアは、しゃがみこんでいるライラの頭に手を乗せると、契約を結ぶ手続きを簡潔に済ませる。
ポゥとライラの体が金色に輝いた。
「…お前さ、だんだん龍になっていくよな」
レオはしみじみと呟いて、ライラの龍化を面白そうに見守る。
「は?」
意味が分からずライラはマヌケな声を漏らした。
しばらくボーと朝の時間を満喫していたレオは、何かに気付くと超強力な結界を自分の周りに張り巡らせる。
「…あ。《結界》!」
目を丸くしてフィリアはレオの奇行に驚く。そしてすぐに何があったのか気づき、周りを見回す。
「ま、さか…!!あ、でも私は何事もないや」
「耳!?再びですかっ!!」
再び獣化が。
「すまんフィリア。自分に張るだけで精一杯だった」
超強力な結界を解くと、レオはフィリアに謝る。
「リナ姉様の機械、結界を通り抜けるもんね…」
呆れたようにフィリアはリナがいると思われる方向を向いて言った。
「私に謝罪はっ!?」
龍の耳と羽が生えたライラはレオに突っかかる。
「お前に…?必要あるのか?」
「あるでしょっ!?」
「…悪い」
明後日の方向を向いてレオはライラに謝罪した。
「悪い、とか思ってないでしょ!!フィリアに対しての謝罪との重みが違うよ!!」
「あたりまえだろうが、バカが」
「な…んだとぉ!?」
絶句してからライラはレオに詰め寄る。
「そこまでにしようか、ライラ。リナ姉様の所に行って機械の効果、止めてもらわないと」
ということなので、3人は向かいました。リナの所へ。
「リナ姉様。ドウイウコトでっ!?」
にこにこと若干不気味な笑顔を浮かべるウサ耳リナに近寄ったフィリアは罠にはまって空中に放り出された。
「リナさん。悪戯は…」
「いいじゃないの。スイッチオン!!」
リナが赤いボタンを押すと、フィリアの体が白く輝いた。
「うわ、まぶしっ!」
ライラ、閃光に目つぶしもどきをくらわされて、目をつぶる。
「ね、姉様!?これ、どういうこと!!」
体だけが縮んだフィリア、慌てる。
「フフフ。身体能力も3歳児になっているから気を付けるのよ」
「姉様!!どういうこりょ!?し、舌噛んだぁ!!痛い!!」
リナに詳しい説明を聞こうと叫んだフィリアは舌を噛んで悶絶する。
「かっ、かーわーいーいー!!」
服は縮まなかったフィリア、洋服の裾を引きずりながらリナへ駆け寄る。
「フィリア…」
それを見て、レオはため息をついた。
「たっ、ため息をつくなっ!!」
「フィリア猫耳っ!!」
ペンダントのサイズもそのままなので、ずり落ちて、猫耳と狼っぽいしっぽが出現したフィリアにライラは飛びかかる。
「くぅ!!リナ姉様!! どういうことですかっ!!なにがした…」
途中でフィリアはあくびを漏らす。
「フィリア?眠いのか」
「なんか…眠くなって…」
ヘロヘロォとレオに寄りかかるとフィリアは瞼を閉じる。
「身体能力が3歳児って言ったでしょう。体力も落ちてるのよ」
「…リナさん」
無責任にも聞こえるリナの言葉にレオはたしなめるように声をかけた。
「なぁに?」
「あなたは何がしたいんですか?というか何をしたらこんな厄介な機械が作れるんですか」
「フフフフフフ。なんででしょうねぇ」
笑って答えようとしないリナにレオがさらに言葉を重ねようとしたら、ファイナが部屋にドアを蹴破って入ってきた。
「リナっ!!」
ライオンの耳としっぽを付けたまま。
「あらお姉様。どうなされたの?」
「どうもこうも…機械を作るのは好きにしろ、と言った。認めてもいい。だがな。使うのはだめだ。お前、被害が他国にも出たのを知っているか?」
「知りませんよぉー。私のせいじゃないですしぃ」
「…リナ。あれをしてもらいたいのか?」
ピキリとしわを作ったファイナはリナを脅しにかかる。
「あれ!?い、嫌ですっ!」
リナ、顔を青くして珍しく必死になる。
「あれって何?」
「ファイナ姉様、最終手段に出たけど…リナ姉様の機械は戻ろうとすればするほど悪い影響が…」




