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蒼国物語  作者: 松谷 真良
第3章 非平凡な日常
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貴重な…?

「へ?私ですか?」


赤い光線がナニアの手から一筋放たれライラへ伸びて包む。


「アハ、アハハハハハ。油断したわね!これで!!」


ナニアが赤い光線を手元に手繰り寄せる。


「…お楽しみ中悪ぃけどそいつは俺のもん」


フェカがライラにかかる赤い光を跳ね返す。


「ま、まさか!!」

「そーいうこと。こいつは王家の守護によってこっから先も守られるぜ、内緒だけどぉ」


きょろきょろと自分の体を見て首をかしげるライラ。


「…何だったの?」

「さーなー。そっから他人事だと思って見てると死ぬぜ?ちっちぇえの」

「私はちっちゃくない!!そりゃフィリアよりはちっちゃいけどさ…」


ライラは普通よりは高いです。


「フェカそろそろ終わらせろ。体が持たないだろ」

「えー、まいいや。もっとあそびたいけど。おいてめぇなにで死にたい?今なら希望を聞いてやらなくてもいーぜ」

「どれもいやよ!」

「そーかそーか、焼け死したいか。よぉし景気良く燃やしてやんよぉ」


ナニアの話を全く聞く気のないフェカだった。


「燃~え~ろ~、どっこまでも~」


ボッとナニアの体が火に包まれる。


「ふっ。これで終わると思うなよ!わたくしよりも強い奴は赤の国に沢山いるんだ!」

「あっそ。スッゲーギザな捨て台詞」

「ねぇ大丈夫なの?」


ライラが心配そうに尋ねる。


「もちろん。俺はフィリアの兄だぜ?妹を守らなくてどうすんだよ」

「へ、へぇ~」


困ったようにライラが頷いた。


「さて、一息ついたようだし封印器具が来たがどうする?前みたいに逃げるか?」

「いんや、逃げんのってめんどいのな。封印してくれ。今回はいっぱい暴れられたし」


ライは青い石のついた小さい杖で魔法陣を書き始めた。


「兄上に封印魔法具でも作ってもらうか…めんどくさいな、これ」

「そう怒んなって。滅多にある訳じゃねぇし」


魔法陣を書き終わったライがフェカに真ん中に立つように指示する。


「じゃ、行くぞ」

「おー。じゃまたいっか試合しよーぜ。後は…そー、ちっちぇえの。フィリアと喧嘩すんなよ。俺の貴重なキス代」


フェカの周りが光った。


「…お前が勝手にしたんでしょ!!」


ライラが一瞬呆けてからフェカに怒鳴った。


「アハハハ」


フェカの周りの光が消える。


「終了。フィリア気分は?」

「…ご、ごめんなさい。兄上」


しょんぼりとライに謝るフィリア。


「だから勝手に行動するなと言ったんだ」

「はーい」


素直にうなずくフィリアの頭にライは手を置いてクシャッと撫でた。


「ライラにも謝っておけよ」

「え…どれをですか?内緒で出かけたことか、捕まったことか…」


真剣に悩むフィリアにライも苦笑い。


「いや、分かんないなら良い」

「あっ、フェカがキ…」

「言うなー!!」


フィリアが思い出して言おうとしたらライラが叫んだ。


「その…ごめんね?」


とりあえずフィリアが謝ってみる。が、なんとなくフィリアの顔に何で私が謝るんだ?と書いてある気がするライラであった。


「……別にいーよ。うん、ってか記憶の彼方に追いやれー!!」


ライラは無かったことにしようとしています。


「アハハ、そうだね~。でもアイツが私以外にそういうことするのって珍しいよ?」

「…!フィリアは!いいの!そんなくだらない奴に!!」


「別に構わないよ。言ったって聞いてくれないんだもん。あ、そうそう。フェカたまに実体化して襲ってくるから気をつけてね」


にっこり笑って言うフィリア。


「!!!…なんか疲れた…」

「じゃ、帰ろっか」


フィリアが脱力気味のライラと手をつなぐ。


「あ、そうだフィリア。封印はしたけど弱くなったからな、分かっているだろ?」

「分かってるよー。今回みたいなことはしないモン!」


フィリアはライにぺチッと頭を叩かれた。


「フィリア、帰ろう。もう隠しごとはしないこと!これ約束だよ!」

「うん、分かったよライラ」

「もちろん!!」


ギュッと手を握り合う2人。


「〝ワープ″」


ライがワープをかけて学園に戻ってそれぞれの部屋へと帰った。


「そーだフィリア。あの手紙なんて書いてあったの?」

「えー、えーとね要約するとライラ殺されたくなかったら屋上に来いや、クソ野郎的な」

「私?そっか、気をつけないとな。てかクソ野郎って…」

「本当に書いてあったの。もっとひどかったよ。死ねとかクソバカとか~何歳だよお前って感じの悪口が」

「へぇ」

「あ、それはそうとしてね。ライラが気をつける必要はないと思うよ」

「そーなの?」

「あー、うん。破魔の石あげっから持っていてね」


フィリアが勉強机から錆びている黒い少しヤバそうな感じの石を取り出してライラに放り投げた。


「こ、これ?破魔より、呪いって言ったほうが正しい気がするんだけど…」

「うん。それなら破魔なんて誰も分かんないから取り上げられないでしょ?」

「そっかー」


ホワホワしている二人でした。


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