アホか!アホなんだろ!アホだと言え!
題名とか全然内容と関係してない気がします。
王宮へ着くなり、ライラとレオはフィリアからひっぺはがされた。
「フィリア!」
「レオっ!待っててね!絶対、無事でっ!!」
もう、媚魔法云々以前の問題で、酔っぱらって誰彼かまわず絡む出る親父みたいになったライラに襲われたレオへ泣きながらフィリアは叫んでファイナに連れ去られる。
「はい、あほなことはしていないで、シルヴァールーンと会うんだ」
「ううっ…」
バタンと祭儀場の両開きドアは重たく閉まり、レオとライラを外に閉め出す。
中央に純白の翼の生えた銀色の狼が寝そべっていて、リランとリカルドをはべらせていた。
『待ってました、フィリア』
「こんにちは、シルヴァールーン」
モフモフのシルヴァールーンにじゃれ付かれ、フィリアは尻尾に埋もれる。
『私のいとし子…』
「違いますよ?」
「シルヴァールーン。用事は?」
召喚主であるリカルドは、シルヴァールーンの要件を尋ねる。
『あ、リカルド。いえ、残虐の氷王子』
「…イタイ名前」
リランがシルヴァールーンのからかいに乗ってリカルドを冷たい目で見る。
「なんとでも言え。呼んでいるのは俺じゃない」
『で、要件は。そろそろあなた老けたらどうなんですか?いつから姿変わらないんですか』
「ざっと20年前くらいだな。それが何か?」
「今何歳でしたっけ、父上?」
「48だな」
しれっと答えられて頭痛がしたリランは額を押さえて唯一の癒しになりえるフィリアを見つめる。
「じゃあ、リラン兄様が今28だから…同い年くらい?」
「いい加減、婚約者を見つけてきたらどうなんだ?」
フィリアとリカルドのダブルアタックを食らってリランは床へ沈み込む。
「兄上!しっかり!!」
『あなたたち兄弟は…本当に仲がいいですね。で、リカルド。後継者をそろそろ決めたいと思うのです』
「好きにしろ」
投げ出したリカルドにシルバールーンは吹き出す。
『あなたは本当に変わりませんね。それに、腐っていたこの国を一代で立て直した。素晴らしい統治者だと思いますよ』
「褒めても何も出ないからな?それに、お前との約束だ」
『まぁフィリアはレオに嫁ぐのでしょう?ライは忙しそうだし。アースは毒薬を作るのにはまってて王の器ではありません。リナなど論外ですね。ファイナは…早く結婚しなさい。それだったらやっぱりリラン、あなたがいいですね』
「なんですか、その消去法は!!」
「待ってください!?なんで守護獣にまで、結婚しなさいなんて言われなきゃいけないんですかっ!しかもため息つきながら!!」
「っていうかアース兄様とリナ姉さま、論外呼ばわりされてる…」
『なんだかんだ言って、リラン。貴方は初代蒼王にそっくりですからね。全てが』
「すべ…て!?待って、それじゃあ僕は結婚できないじゃないですかっ!!」
守護獣から止めの一発を食らい、リラン再起不能。
『ファイナでも娶れば…』
「実の妹ですっ!!」
『いいじゃない。何代か前の王だって同じことをしていたし』
「いつの王ですかっ!?そんな記録残ってないですよ!?」
ゼーと息を深く吐き出すとリランは平常心を保とうとする。
そのころ、ライラ&レオは。
「くっ…よるな変態!」
ちょこまかと動き回るライラに珍しくレオが苦戦を強いられていた。
「ふっふーん」
「…《領域魔法》発動。さらに《絶対強者》展開。続いて《我唯一神也》発動!!死に絶えろっ!」
最初の呪文でレオに有利な結界が王宮の廊下に張られ、次元をへただれる。次の呪文で、ライラの体に緑の光がまとわりつき身体能力を劣らせた。最後の呪文でレオが神々しい光の衣を体へ纏う。
そして、その準備が済むなりレオはライラへと全力で切りかかる。
「ギャ―――!?」
流石に龍の子でもその力には負け、ライラは吹っ飛んでしばらくボロボロのまま横たわる。
その姿に気が済んだレオは結界を解呪して、王宮の廊下と次元をつなぎなおした。
「あ、レオ」
ちょっと乱れた息を整えていたレオへ曲がり角から現れたアースが丁度いいといった顔をして話しかけた。
「アースさん?一体」
「ラックがさ、ライラどうしたか心配で…って健気だから俺がわざわざ様子見に来たわけ」
ハンと鼻で笑うとレオはスピスピ鼻提灯を膨らませているライラを指してお手上げのポーズをとる。
「ああ…何したんだ、レオ?」
「何も。勝手にライラが自爆したんですよ」
「嘘をつくなよ」
しらを通すのがめんどくさくなったレオは、ため息を小さくついてアースへ事の次第を説明する。
「ライラにむかついたんで、魔法解呪も兼ねて調教しときました」
「そっか」
「待って納得しないで調教とかおかしいことに反応してくださいアースさん!!」
意識を戻してはいたライラが納得したアースにノンブレスでつっこむ。
「ライラなら平気だろ。って言うか現に平気じゃないか」
「…そっすね」
なんだかんだで説き伏せられてしまうライラだったのだ。




