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蒼国物語  作者: 松谷 真良
第3章 非平凡な日常
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そういうことは早めに言って

「おっと、忘れてた。フィリアには二重人格が有る。男だ」というライの衝撃告白から、一拍後…。


「はいぃぃぃ!?」


ライラの声が響き渡る。


「ま、そういうことで」


言うだけ言って先に入るライをライラは捕まえる。


「もうちょい詳しく説明して下さい!!」

「いやだから、封印が解けるともうひとつのフィリアが出てくる。フェカっていうんだが男。実体化する時はフィリアの魔力を全開にしたときの2分の1を魔力として引いている」

「先に説明して下さい!!そういうのは!!」


ライラの切実な願いだった。


「まぁまぁ、今説明したじゃないか。突入」


入ると人がゴロゴロ転がっていて真ん中に2人の少女が向かい合って剣を構えて立っている。

片方は髪の毛を赤い布で左よりのポニーテールにしたフィリア。

もう片方は肩までの暗い赤色の髪に黒眼の少女。


「さぁさ、吐きなさいフィリア!!」

「だからさ、俺はフィリアじゃねぇし。うーん、この体も久しぶりだよなぁ。フィリアがなんか頑張ってるからさ。で、そうそう」


ライがライラを連れて城に一歩踏み込んだのをフィリア(いやフェカというべきか)が見て言葉を切る。


「ん…!何者だ!!」

「さぁ?」


ライがすっとボケる。


「ええと…なんか凄いものを見た…」

「バカ兄貴じゃん!久しぶりー!!なぁ、聞くか?この装置封印を無理矢理、解除すんだってー、知ってたか?」


ケラケラ笑っているフェカにライも思わずため息をつく。


「フィリア!!言いなさいよ!!あれの在処を!!」


「いや、だからさ俺の名前はフェカ・リスィエルって言って見ての通り男。歳は13、好きな色は血の色、好きなものはフィリアの笑顔、嫌いなものはフィリアの涙と、友達とか言ってフィリアを裏切る人間とフィリアが嫌いな人間。以上」


「なんか色々とつっこんだ方がいいと思ったけど?!」

「じゃあ1つだけどうぞ」

「女…だよね?」


ライラが恐る恐るフェカに尋ねた。


「んー、まぁ表面は女かもなー。なんたって一応フィリアの体だしな」

「…私、ダメかもしれない…」


ライラが弱気になった。多分この中で一番まともなのはライラだと思うから。

ドラゴンと人との子だけど。


「そーいえば恋人じゃなかった…」


ふとライラが思い出して呟いた。


「フェカ、あんまりライラに精神的ダメージを与えるな。それからフィリアは大丈夫か?」

「ん、大丈夫、大丈夫。こんくらいでショックだとフィリアの友達勤まらないぜ?」


バシバシとライの背中をフェカは叩く。


「ちょっとわたくしを無視しないで下さいまし!!」


ナニアが叫んだ。フェカとライラとライは完全に無視。


「そーだ、バカ兄貴封印道具持ってるか?」

「今取ってきてもらってる」

「けっ、おせーよ」

「ああ?なんか言ったか?」


少し怒っているライ。


「おせーってんだ!だいたいだな!…ん?」


なんだか憤っているフェカだが突っ立てるライラに目をやると顎に手をやって何かを思案し二ヤっと笑う。


「おい」

「はい?」


ツカツカとライラに近づいてフェカはライラの顎に手をかけて上を向かせキスをした。


「……!っな!!」


フェカを押しのけたライラ。


「ふふん。フィリアの友達でいてくれるお前に俺からのお礼だ。ありがたく思え」


超上から目線のフェカに怒るライラ。


「どっこが!何処がお礼よ!!ふざけんじゃねぇ!!」


ファーストキスがぁ…とつぶやき、ライラはもう茫然として床にヘタり込んだ。


後は喚くナニアに傍観を決め込んだライ。色々とカオスです。


「おいフェカ。一応言っておくがさすがにそれはどうなんだ?」

「別にいーじゃん。男とした訳じゃないしぃ。な、気にすんな!」


カラカラ笑いフェカはライラの肩をどんっとどつく。


「すまんな、ライラ。こいつはこういう奴だ。諦めろ」


ライはポンっとライラの肩を叩いた。


「諦めろって!!私の…私の意志は!権利は!!」


混乱中のライラ。何言ってんだかわけワカメ。


「だから!わたくしを!無視しないで下さいまし!!」


喚くナニア。やっぱり混沌としている。


「まだいたのか。へぇ、じゃやろうか?フィリアは一応友達だった時期もあったから~とか言って遠慮してんけど俺にはぜんっぜん関係ねぇもんなぁ」


フィリアが絶対に浮かべない人を見下した冷たい笑みを浮かべるフェカ。フィリアは美人だからこういう笑みを浮かべられると凄く怖い。


「けんかっ早い奴」


ライがボソッと呟く。


フェカはナニアに殴りかかった。


「わ、わわわわわわわわわわたくしは女なのよ!顔面などなグギャ!」


容赦なくフェカがナニアの顔面をグーで殴ると、彼女は遠くまで吹っ飛び、壁に激突して煙をもうもうと立てる。


「ん?俺だって体は女だぜ?フィリアは完璧女」

「そうだけど、そうなんだけど!!ある意味男よりもたちが悪いわ!!」


ライラの心の底からの叫びでした。


「じゃ死んでもらおうか、ナニア?」

「い、いいいいいいいやですわよぉ!!わ、わわたくしははし、しし死にたくなになたくないで」


フェカが出現させた炎がナニアに纏いつき燃やした。


「……」


ライラは無言。もう何とも言えない表情でナニアを見た。


「なんてな、うっそー!俺が人殺したらフィリアが困るじゃん。それだけは避けねぇとさ。怒られんのヤダしー」


あくまでもフィリアが第一優先のフェカだった。


「…………」


ライラさらに無言。ナニアを見る目に憐みが少し混ざっていたりする。


じっと見下ろすライラを見てすっかり黒こげになったナニアがニヤッと笑う。


「わたくしがこのまま倒れているとでも?〝操る″!」


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