表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
蒼国物語  作者: 松谷 真良
第20章 日常へ戻る。これが平和なのかはさておき
177/268

肝試し(前)

本格的な肝試しをやるらしく、生徒たちは校舎からおいだされ、校庭で待ちぼうけを食らっている。たまに後者の一角が爆発したりするのだが、瞬く間に直されていくので、生徒会役員というものが何やってるんだろうと首をかしげて見守ってみる。


『さあさあやって参りました!!第一回肝試し大会です!視界をお送りいたしますのは、お化けが嫌いだからと立候補した来年の部長こと、わ・た・すいませっ…ブツ』


なにやら打撲音らしき物が聞こえてきたような気がしたのでフィリアたちはため息をつく。


「いつもこれ、やってるよね…」

「いい加減飽きればいいのにな」

「っていうか、来年部長なんだー。あれ、委員長かな?」

「その辺はどうでもいいだろ。っていうか俺も来る必要、あったか?」


ラストスパートをレオに脅されてかけたクライトは3日間完徹状態なので、寝不足気味。っていうか寝不足。今にでも寝たい。正直肝試しとか付き合ってられない。


『ごほん。うちのバカが失礼。暑さに負けず、頑張ってください。生徒会長にも司会は手伝ってもらうので』


「え、聞いてないよ!」

「言う必要ないしな」


驚いたフィリアへレオが軽くため息をつく。


「あー、呆れられてるー!」

「ライラ、喜ばないでよ!!絶対ライラのがうつったー!!」

「私のせい!?」

「ライラのせい!」


キッとにらみ合う2人へ暖かいというか生ぬるい視線が突き刺さる。


「…フィリア。バカやってないで、俺とサボらない?」

「いやだよ!!ていそうの危険が!!レオ、ヤラシイ!!」

「意味わかってて使ってるか?」


レオの脳裏に浮かぶのは悪魔の尻尾がちらつく…いや、ゲラゲラ笑ってるアースとリナの姿。


「うん?えへへ~。兄様がねっ!困ったらそう言っとけって!」

「どの兄様だ?」


リナの姿が掻き消え、かわりにのほほんと笑ってる腹黒リランの姿を思い浮かべてレオはフィリアへ聞く。


「んーとね、ライ兄様だよ」

「…」


どうしてっ純情(?)なフィリアにそういうことを教える!とレオは嘆く。

っていうか刺客が多すぎだ。その内グリンダさんとかリカルドさんとかも何か教えるぞ、絶対。教えてはいけないことを。


少し遠い目をしたレオをフィリアは心配して、見上げてみる。


「フィリア、それはきついと思うよー?」

「フィリア様…」



『で?やるのかやらないのかはっきりとしてくれないか、校長。俺も忙しい』

「あ、兄様怒ってるー」


かなり不機嫌そうなライの声が聞こえてきて、フィリアの意識がそちらへ向けられる。


「レオ、よかったね。流石に今のはいろんな意味できつかったでしょ」

「そうだな。あのまま…いろんな奴がフィリアによくないことを吹きこんでいくと、俺の理性も限界が…」

「ガンバー」


人事だから呑気なライラにやり場のない怒りの矛先を向けることに決めたレオは、ラックに[いろんなこと]を吹きこんでやろうと画策する。


『生徒会長大人げないー』

『俺は子供…いや、失敬。校長よりは大人だ。一応成人もしているし?で、お前がいきなり立ち上げた企画、誰がここまで作り直してあげたと思ってるんですか?』

『生徒会長、校長をお前呼ばわりは…』

『っていうか、俺様!!わー!!踏んっ!』


ボカと容赦のない打撲音が一つ聞え、放送がいったん途切れる。


「あーあ…」

「またやってるし」

「ライさんも大変だな…」


『おまたせしましたっ!!今すぐ肝試し大会を始めます!!主催者の意向で、フィリアさんと愉快な仲間たちさっさと一番手やってくださいよ―――!!』


半泣き状態の女子の声にフィリアはどうする?という視線をレオへ送る。


「お前がどうしたいか、だ」

「いんじゃないー?面白そー」

「さっさと終わらせて寝ましょう」


3人の意見にフィリアはやっぱそうだよねえ、とうなずき校舎へ向かう。


「じゃ、一番手、いっきまーす!」


軽いフィリアの掛け声とともに、覚悟(笑)を決め中へ一歩踏み入れた4人は完成度の高さに息をのんだ。


「魔法使ってるのは分かるけど…」

「凄いな。ライさん、手を抜くつもりがないんだな…」

「朝から作ってたよね?昨日は校舎つかえたもんね」

「ライさんが緑国へきてくれればいいんだが…無理だろうな」


太陽光を魔法で完全に遮断し暗闇にしてから、青白い炎に照らされているだけ、とあまり周囲がよく見えない状況にして恐怖心をあおり。

ところどころに赤く光る眼がか何だかよくわからないものを浮かび上がらせ。

幻術も使用して、髪を垂らして俯いている女性やら、刃物が刺さっても動き続ける子供やら、トラウマにいなりそうなほどリアルなエキストラを作り上げ。

仕上げに。



「兄様、これは何かが違う」


本物のモンスター(カガラルト亜種)を配置。


「雰囲気が台無しだな。だから俺たちを最初にしたのか?モンスターを呼び寄せそうな環境だしな」

「魔力があって、恐怖があって?」

「生まれるにはもってこいの場所だろう?」


冷静にモンスターを観察する4人。


「フィリアー!こーわーいー!!」


どさくさに紛れたつもりでライラはフィリアへ抱き着く。


「きゃあ!?」

「フィリアから離れろ、バカ。暗闇でも俺の眼は良く見えるからな」

「ワァチート」


棒読みでライラはレオへ答え、フィリアから離れる。


前、とか題名につけてみたけど、次で終わるかわかんない。

もしかしたら前中後になるかも。

明日続けてみないとわからないのでご了承ください。

なお、なんのだよ、とかツッコミは入れないように。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ