ガンジー第2陣
『フフフフフフ!!龍の子に死を!!』
翌日、ガンジー村第2陣がやってまいりました。
「結界はったのに…どっから!?」
ライラはそれを聞くと、素早くデュランダルを背中につるす。
『外からー!』
仕方がないのでライラは泣く泣くフィリアの看病を切り上げると、ガンジー村の奴等と対峙しに立ち上がる。
「がんばれー」
「…寝言なの?寝言だね。ずいぶんと都合のいい…ありがと、フィリア。頑張る」
フィリアの寝言に励まされ、ライラは部屋を出る。
―――――ドアを抜けると、雪景色が広がっていました。
ライラは困って、キョロキョロと見回し明らかに寮の廊下ではないので、焦って北の方へ走り出す。
「どこだよ、ここ!?」
しばらく走ったライラは、村を見つけホッと息を吐く。
「さむ…無謀だよね、この制服なのは」
腕をさすってライラは、なんという村なのかどこかに表示されていないか探し出す。
『ガンジー村へようこそ』
という垂れ幕を見つけ、ライラは地面に手をついて涙を流す。
「敵の本拠地だった…きっと細切れにされちゃうんだ…ごめんね、フィリア。もう戻れそうにないよ」
ワープの存在をすっかり忘れているライラだった。
「死ねー!!」
そんなライラに後ろから襲い掛かる人影あり。
「ハッ!?死にたくないよ?」
『ガンジー!!』
アッハッハと指をさして高笑いをするガンジー村の方々に、ライラは切れる。
「確かに罠に引っかかったけどさ。人に指さしちゃいけないんだよ!?これ、常識だよ!非常識なレオとかフィリアとかもできてることなんだからね!!」
そしてその勢いのまま、ライラは指を指して笑う奴等限定で幻術をかけた。
『ぐふぁ―――!!』
変な叫びをあげてガンジー村の人は雪へ埋もれる。
「…ハァ」
嫌そうなため息をついて、最初に切りかかった人物は一応剣を納める。
「まだいたっ!」
それと対照に、ライラはデュランダルを抜き放ちその人物へ切っ先をむける。
「幻術に頼ってばかりのバカめ。そんなんで俺が負けると…おっと、フラグだな」
パシ、と自らの失言を口を塞ぐことでとどめた人物は一人称こそ俺だが、どこからどう見てもライラと同い年くらいの少女だ。
長い黒髪を上半分だけまとめていて、右目が前髪で隠れている。黒曜石のような左目に睨まれ、ライラは首をすくめる。
「さむっ」
…単純に寒かっただけらしい。
「いい加減にその罪を償え!!」
「嫌だっ!?なんていう自己中な奴らめ!て言うか名乗れよ、バカ!名乗らないとバカって言う名前にするぞ!!」
「それは嫌だ!明らかにバカっぽい奴にバカ呼ばわりされるのは勘弁!俺は…」
「さっさと言え!!溜めなんか必要ない!」
息を吸い込む少女にライラはせかす。
「アロジック・レ・ブロサァー・カラントック・アハ・ガンジーだ!!」
「黒国の奴、名前なげぇわ!!なんでそんなに長いんだよ!覚えにくい!!」
「両親が暇なんで名前をこるけど長ったらしくてそんなに口まわんねぇぜって結局は愛称で呼ばれるっていうオチ!」
これまた一息で言い切ったアロジック(以下かってに略)にライラはポカンとする。
「ゴメン、もう一回」
「両親が暇なんで名前をこるけど長ったらしくてそんなに口まわんねぇぜって結局は愛称で呼ばれるっていうオチだ!わかったか!!」
ドヤ顔でアロジックは説明する。
「…バカじゃん」
「お前に言われたくない!覚悟っ!!」
一度しまった剣を抜いてアロジックはライラへ襲い掛かる。
「フッ。一度はやってみたかったんだよね」
ライラは雪をかき集めると、アロジックめがけて投げつける。
「うわぁ!?」
見事、命中。
「雪合戦~」
みたいなノリで、ライラはアロジックへ次々と雪玉を投げていく。
「くっ、こうなったら…。雪国生まれなめんなよ!」
ハイスピードでアロジックは雪玉を作り、ライラへお返しと言わんばかりに投げるつけていく。
「うわ!?反撃食らった!」
ライラとアロジックが、ギャーギャー言いつつも実に楽しそうに雪合戦を繰り広げていると。
「…ライラが、死闘してるのかと心配して、追ってみたら、これ?」
熱がひきそうにもないフィリアが現れて、呆れる。
「くらえっ!!」
流れ弾が当たり、フィリアの額にしわが浮かぶ。
「フフ…《燃え…》」
炎魔法を放ち、雪を解かそうとしたフィリアを追って現れたリィが止める。
「ストップ!!バカ!魔力切れで熱出てんだろ!魔力温存しろ!」
「う…」
フラめいたフィリアを抱きかかえ、リィはプンスカ怒る。
「最近、呼んでくれねぇしさ。呼んだかと思えばガンジー村関係でさ。ひどいよ、フィリア!!おれは 王様なんかやりたくないの!!」
「…サボるために私を利用するな」
ガンジー村の前であることを確かめて、本性を現したリィの背中にフィリアはくっつく。
『おー。で?ガンジー村のバカどもは何やってるわけ?俺の契約者に手を出すとか、死にたいの?』
巨大な金龍の金色の瞳に流し目をされたアロジックは震えあがる。
それを見て、リィは満足そうに咢をクワリと開く。
赤い口内があらわになり、アロジックはさらに震える。
「何する気!?」
「リィの背中、あったかい…」
フィリアはそんなリィの背中で力尽き、龍の暖かさを実感している。
「も、申し訳ございません、龍王様!!」
『それでいい。今度、人間に迷惑をかけないようにしろ。龍は、ヒトが好きではない。…伝えておけ』
フッと金色の炎をアロジックへ吹きかけるとリィはおごそかに話した。
「ハッ!かしこまりました、龍王様!」
畏まるアロジックをライラは面白そうに見つめ下を向いているすきに、とリィの背中へよじ登る。
『龍の子は、龍だ。ただでさえ数の少なくなっている龍なのだから、龍の子も大切にしろ』
「はいっ!!」
バサリと大きく翼を広げると、ライラも背中に乗せたリィは大空へはばたく。
リィの羽ばたきで突風が起き、雪が巻き上げられ、金色の体に太陽の光を反射させた。
「うっ…寒い…」
「ってか、金色ってまぶし…」
『文句言うな!仕方ないんだよ、色素変えらんねぇし。俺だってまぶしい!』
「…さっきまでの威厳が」
どこいっちゃたの!?って言うかどっからあふれたの!?と言いたげなライラを無視して、リィは空中散歩を続ける。
『っていうか…フィリアの熱悪化させたら俺殺されちまう』
「じゃあさっさと帰ろうぜ」
「うー…リィ、ヒヨコ」
『片言だし…ヒヨコじゃねぇし!』
それでもリィは空中にいるのにヒヨコ姿へ変化する。
「ぎゃ―――!?」
『ワープ』
落下中にワープを使い、3人(内わけ2人と1匹)は寮部屋へ戻った。
リィに出番が!!わーい。龍かっこいー。
すんません。マジすんません。
うん、リィのキャラって、ブレまくってるよね。




