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蒼国物語  作者: 松谷 真良
第18章 ライラが!ついに!
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ハナイ退治ー

怒れるレオとライラ(クライトは王宮へ報告をしに行ったので、お留守番)は闇の王宮へワープで直行します。


「わー…!?や、やめ!こ、この変態!何処触ってんの!!」

「どこって、胸?」


とかいう会話が聞こえてきた辺りで、レオはライラを部屋の中へドアもろともぶち込む。


「ちょ、ひどい!!」

「龍の子は丈夫だろ」

「そういう問題じゃない!!」


流石に傷だらけになったライラはレオを怒鳴りつける。

どこ吹く風でレオに流され、ライラの怒りはヒートアップ。


「む…邪魔が入るなんて。フィリア、ここにずっといるんだよ」


フィリアを襲う寸前の所だったハナイは、邪魔者を消しに立ち上がる。

すかさず逃げようとしたフィリアをハナイは前回の教訓から、鎖で壁につなぎとめる。


「鎖か…」

「らくらっ!?」


雷をおとっして鎖を燃やそうとしたライラは、レオに床へ叩きつけられ悶絶する。


「バカが。雷を落としたらフィリアも怪我するだろ」

「あくまでもフィリア基準なんですね…」


思わず敬語を使ってしまうライラ。


「ライラ。フィリアを助けてこい」

「命令!?拒否権は!?」

「あるわけないだろ、バカ」

「バカじゃない!!って言えないのが悲しい!!」


ブツブツ言いながらもライラは、ハナイの後ろで鎖と格闘するフィリアを助ける方法を考える。


「フン」


鼻で笑ったハナイが、レオへ見せつけるようにフィリアへキスする。


「…」


無言で笑みを浮かべたレオにライラは恐る恐る、


「あっのぉ~…」


と声をかける。


「…なんだ?」


ちらりとライラを一瞥するとレオは右手に魔力を集め始める。


「もしかしなくても、レオさん怒ってらっしゃる?」


尋ねたくなさそうに、ライラはレオへ確認する。


「さぁ、ね」


レオの右手の、バスケットボールの大きさくらいまで集まった魔力が凝縮し始める。


「えっと…」


レオへ近づくハナイから遠ざかろうと、ライラは一歩ずつフィリアの方へ後退する。


「なんだ、負け犬が!」


睨み付けられたハナイは精一杯の虚勢を張る。


「…人様の婚約者に何してんだよ、あぁ?勝手に監禁したり、結婚式をあげようとしたりするのは、まぁいい」


ハナイがレオに睨まれて、動けなくなっているすきにライラはフィリアの元へ走り込み、鎖を外そうとする。


「いいの!?それ、いいの!?」


ライラは律儀にツッコミを入れる。

レオとハナイにはガン無視されるが。


「だがな。目の前でキスされて怒らずにいられるほど俺は寛大じゃねぇよ」


バスケットボールサイズから親指サイズになった魔力の塊は、レオの指示を受け赤黒く輝き出す。


「前者がセーフで後者がタブーなの!?レオの怒りって謎だ…。そして怒ってるじゃん」


小声で、フィリアにしか聞こえないようにライラはつぶやく。


「ライラ、そこの輪に剣か何か突き付けてくれれば外れるから…」


ライラへフィリアは鎖のはずし方を言う。


「え、そうなの?わかった」


ライラは懐から護身刀を抜き、鎖の輪に思いきり突きつける。

カン、と金属音を響かせてフィリアの鎖は外れた。


「ありがとう、ライラ。魔法防止の鎖でさ。外せなかったんだ」

「どーいいたしまして。じゃあついでにレオも止めてよ…」

「無理です」


キッパリとフィリアは言い切る。


「だよね」





「フィア!!逃げるなっ!!」


ライラと一緒に逃げようとしたフィリアに気付いたハナイが叫ぶ。


「てめぇが、フィアとか呼んでんじゃねぇよ」

「フィアは僕のモノなんだ!!」


ハナイの手がウニョンと音を立てて伸び、フィリアの腕をつかみ引きずり込む。


「きゃ!?」

「きもっ!!」

「フィリアは渡さねぇ」


右手から離れようとする魔力の塊をとどめ、レオはフィリアを結界で包む。

が、それよりも早く、ハナイがフィリアをつきとばした。


「うっわ、さいてー!」


フラめいて倒れたフィリアをレオが左手で抱える。


「絶対に許さねぇ。覚悟しろよ?」


赤黒く輝く魔力の塊をレオはハナイへ投げつける。

フヨフヨとゆっくり魔力の塊は宙を漂いハナイの元へと向かう。


「おそぉ」

「仕方ないだろ。重量があるんだ」

「魔力の塊に!?」

「避ければいいじゃないかっ!!」


避けようとしたハナイ。


「避けるな」


そんなハナイをレオが言葉一つでその場にとどめる。


「ど、どういう!?」

「俺の力は、な」


フィリアを抱え上げ、レオはその場を立ち去る。


「え、いいの?」


ライラも慌てて後を追いかけ、部屋を出る。


「あんな奴の最後なんか見たって面白くない」

「最後になるかあなぁ…」

「あまりフラグを立てないでくれ」


レオはすぐにワープをしないで、王宮の奥へと向かう。


「どこへ行くの?」


ライラの問いには答えないで、レオは機密保管庫と思われる部屋の扉を蹴って破壊し、中へはいる。


「…保管の仕方、甘くない?」

「そこまで歴史があるわけではないからな、この国は」


機密書類をレオは、作った空間の中に放り込む。


「フィリアは、寝てるんだよね?」

「ああ。眠らせた」


書類があったところにレオはメモを残し満足そうにワープして青の王宮へ戻る。


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