襲撃されてます!?
授業をまじめ(?)に受けていた2人を廊下に引っ張り出したライは単刀直入に切り出した。
「フィリア、赤が攻めてきた」
「嘘!なんで?ここしばらく攻めてきてなかったじゃん。こりたんだと思ってたのに!!」
「え?赤って?」
「赤の国ファンカレイラのこと。で、戦争にはなりそうですか?」
「多分ならないとは思う。が、ならなかったら狙いはお前だからな。気をつけろ」
「はい。前みたいな失態はもうしません」
「そうか、そういう問題か」
一番かわいがられている末の王女ですから、人質に取ったら一番効果が有りそうです。
「まあ、戦争になったら手伝わないといけないからな。家出も終了になるな」
「ああ…。どうせ手伝うのなら夏休みが良いです」
え、そういう問題!?と言いたげな顔をライラがしました。
「だな。それじゃあ、この辺で」
「はい、お気をつけて」
「誰に言っている」
ライはスタスタと歩き去った。
「ね、フィリア」
「ん?」
「大丈夫だよね?戦争になっても死んじゃったりとか、しないよね!?」
「…」
フィリアが頷こうとした時、教室から何かが割れる音が響いた。
「な、なに?」
「先を越されたか!ライラ」
フィリアがライラを壁の方に抑え込む。
「な、なに?」
「じっとしていて。すぐに終わるから」
じっと至近距離からライラを見つめるフィリア。
「え?終わるって?」
「すぐに消えるから。ライラがじっとしていてくれれば安全だよ」
「で、でも、フィリアは?!怪我が…」
ライラは反論をしようとしたが悲しみを憂いたフィリアの瞳に見つめられて途中でやめた。
「私はこのくらい平気。でも…気を失っていたら、教室の皆が無事か見て、私を部屋に運ぶの、お願いね」
苦痛に顔を少し歪ませるフィリアの制服は少しばかり赤く染まってきていた。
「フィリア、血!!何をしてるの?私は龍の子だから平気だってば!どいてよ!」
「ダメ」
ライラの叫びはフィリアによって即座に却下された。
「じゃあ、強行突破だね。ごめんフィリア」
謝るとライラはグーでフィリアの腹を殴った
「え…」
呆気なく崩れるフィリアにライラはもう一回謝る。
「本当にごめんよ。あのままじゃきっとフィリア死んじゃうかもしれないから…さて、なにがフィリアを襲っていたのでしょうか?」
ライラが気絶したフィリアを横にどかして正面にいる敵に向き合った。
「…うわ~!!ぐ、グドルフェン!?しかも目が赤い!!」
先日ライが退治をした魔物です。
ライオンの下半身に鷲の爪を持ち黒い翼が生えていてドラゴンの上半身。
「うう…気絶させなきゃよかった。と、とりあえず〝ライティング・ストーク″」
ライラが襲って来るグドルフェン(複数)を避け適当に呪文を唱える。光の渦がグドルフェンを襲う。
『グフッ!!』
「へ、変な悲鳴…」
直撃したグドルフェンはチリとなり、風に吹かれて消え去った。
「楽勝だったかも…?なぁんだ」
クククとライラは不気味に笑う。こっちのほうが恐いぞ?
「あ、そう言えばフィリアがいってたな~教室を見て~って。仕方ない」
ぐったりとしているフィリアをライラは背負うと教室のドアを開けた。
「…!!」
そしてすぐに閉めると部屋へダッシュした。
「み、見てないぞ!私は何も見てなーい!!」
しかし早いです。50m3秒代と言う有り得なさです。
龍の子だから有り得る芸当なのかもしれません。
「ふう、着いた」
部屋に飛び込んで鍵を閉めフィリアをベッドに寝かせるとライラは椅子を引っ張り出してフィリアを眺
めた。
「しっかし、恐ろしいほど美人だよねぇ。羨ましい…」
「…う」
そうこうしていたらフィリアが起きました。
「あ、フィリア」
「ライラ…何でこんなことしたの?」
「ごめん。すっごく顔色が悪かったから」
本当に悪く思っている顔でライラが謝ったのでフィリアは追求をせずに話題を変えた。
「うう…教室はどうだった?」
「え、えっとね赤かった」
「そう。それはそれは…私寝るね。疲れちゃった」
「うん。そうすると良いよ。隣に居るから何かあったら言ってね」
「そうだね」
フィリアはそれだけ言うと布団に潜りこんだ。
ライラはその隣で本を読んでいる。当然フィリアから借りた本。




