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蒼国物語  作者: 松谷 真良
第17章 うざいぜ、闇の国
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僕っ子とのギャップが

青の王宮。


「た、ただ今戻りました…。あの、さレオ。おろして?」

「嫌だ」

「あー!フィリア、無事!?変なことされなかった!?レオに浄化してもらってね!」


汗だくのライラが駆け寄ってきてフィリアに飛びつこうとして、レオに結界を張られる。


「ひどい!?」

「汗だくのまま近づくな」

「…そっすね」


自分の状態を見てライラは反省する。


「レオ、だからおろして」

「嫌だ」

「レオはね?」

「フィリアは…嫌なのか?」


抱きかかえているフィリアにレオは上目遣いをするという高度テクニックを使う。


「…うぅ」

「心配して損したな」


フィリアとレオに気づいて集まってきた兄妹たちの気持ちをファイナが代表して言う。


「ち、ちがうんです!」

「へぇ?どこがどう違うんだ?」

「うっ…だ、だって!レオがおろしてくれないんだよ!」

「レオ」


ファイナになぜか睨まれたレオは仕方なくフィリアをおろす。


「ライラ、セイロウとの訓練はおわったのかい?」

「はい、リランさん!!」


リランに言われたライラは直立不動で返答する。


「恐怖対象になっちゃってる…」

「まぁ…というかセイロウの訓練か」

「嫌だなー。俺様野郎の訓練は大変だからなー」


セイロウがやってきたのに気付いたフィリアは口をつぐむ。


「フィリア様!!ご無事ですか!僕、心配で…」

「本音は?」


涙ぐんだ僕っ子セイロウにフィリアは尋ねる。


「俺のフィーに何してんだ、この野郎」


ガラッと雰囲気を変えて答えたセイロウにフィリアとレオは苦笑する。


「…ギャップが」

「これが萌えるって奴かな?」

「まぁ、女性に一番人気があるのはセイロウだしな」


ワイワイと騒ぐ兄姉に嫌な予感がしたフィリアは聞きたくなさそうに尋ねる。


「もしかしなくても兄様たち、闇の国に何か仕返しするつもりですか?」

「当然。僕のフィリアをさらっておいて、いじめておいて、辛い思いをさせておいて、何事もなく済むとか考えているんじゃないよね」

「僕たちの、です。兄上」


リランの言葉をファイナが訂正する。


「ま、戻ってきただけで俺は満足だけど」


肩をすくめたアースへライが笑いながら聞く。


「アース兄。一番怒っていたのは誰でしたっけ?」

「ライ。言わない約束だ」

「俺はうそつきだから」

「ねぇ、フィリア。どの機械の実験台になってもらうのがいいかしら」

「…私に一番被害が出ない機械の実験台がいいんじゃないですか?」


なんだかんだで心配していたシスコンどもをライラはこっそりと笑う。


「フィリア様。しばらく休んでいたらどうでしょうか」

「セイロウ…有難いんだけど、兄様たちを放っておけないでしょ」


セイロウの提案をフィリアは断わって、怒っている兄姉のセーブを行おうとする。


「俺が何とかしようか?」

「そういってるレオが一番暴れるからね?」

「じゃあ、セイロウさんに鍛えられて、パワーアップした私が!!」

「あ、よろしく」


ライラが張り切っているのを見ると、フィリアはあっさりと任せることにして、自分の部屋へ向かう。


「あ、リランさん。ライラたち補佐が闇の国へは徹底的な処罰をくらわせるそうなので、金を搾り取る算段を付けませんか」

「…レオ。鬼畜だね?」

「そんな。褒めても何も出ません。あと、フィリアください」

「ダメだ!!絶対、お前にはやらない!といいたいが…無理なので、まだ早い!」


レオの注文をファイナが断る。


「補佐たち!?」

「フラグを立ててこいライラ。クライトはやらない」


一拍遅く驚いたライラへレオが言う。


「…そういうこと言ってるからホモ説が」

「うるさい」


ライラの言葉をレオはぶった切る。


「わかった。金をむしり取ろう。兄上、俺に金くれ」

「金の無心はお父様にするべきよ、アース」


即答したアースをリナがたしなめる。


「リナだからできるんだ。男の俺に父上は金なんかくれない」

「そうなの?」

「そうなんだ」

「仲良いですよね、兄上たちは。俺はパシリのままですから」


フッと笑ったライをアースがなぐさめる。


「とりあえず、闇の国へ補佐たちは行ってくれ。後セイロウとフェカも行くんじゃないかな?」


リランが騒ぎ出した弟妹を押さえ、指示を出す。


「わかりました!!」


というわけで、補佐出陣。


「よっし!」


頬を叩いて気合を入れたマルクが先陣を切って闇の王宮に突入する。


「かわいいフィリアに…」

「レオ様に知られたら危ないですよー、ペソ」

「フィリア様の仇!」

「知んでないからね、ルピー」


その後を呑気そうに会話しながら、ペソ、リラ、ルピー、ラックの順で突入していく。


「フェカ!?どこ行くつもり!」


フェカはマルクを追い越す勢いで走りだし、セイロウとともに消える。


「じゃあ、固まってるとらちがあかないんでばらけよう。ライラとラックな。俺とリラ、ペソとルピーで。解散!!」


分かれ道になったところで素早くマルクが指揮を執り、6人は分かれる。


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