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蒼国物語  作者: 松谷 真良
第16章 学校行事(嘘?)
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鬼ごっこ

シベリスはフェカが30を数える間に砂煙を立てて逃げ去る。


「速いね…」

「逃げ足が速くても…さ?」


シベリスにがっかりしたライラは猛ダッシュで後を追いかける。






5分経過。


「後、55分…ライラさんまで!!」


森の中を歩いているシベリスの後ろでフィリアはパンをかじりながら尾行している。


「おなか…減った…」

「フィリア。あんまり一人で歩くなよ」

「レ、レオ!?」


後ろから音もなく現れたレオにフィリアは動揺する。





「あ、シベリス発見!!」


前から歩いてきたライラがシベリスを見て大声を出す。


「ちっ、気付かれやがってあのバカが」

「レオ、最近荒れてるよね…」


シベリスは右側に逃走する。


「ライラ。フェカが追いかけてるから、そう慌てな、くても…?」


フィリアが声をかけた時にはすでにライラの姿はなかった。


「シベリス、捕ったー!!」


ライラの声が森に高らかに響いた。


「…速いな」

「早いね」


呆れながらも2人はライラたちに合流する。


「じゃ、命令ね。1日フェカの下僕やってれば?」

「うわぁ」

「何か文句ある?」

「ライラ。あほじゃねぇの」


フェカが嫌そうにシベリスをライラから受け取る。


「僕はモノじゃないんですけど」

「よし、次はやっぱライラだよな。フィリア、おいで」


フェカが新たなたくらみを思い付いたようでフィリアを手招きする。


「何?」

「いいか?………わかった?」

「うん。レオもいい?」

「面白そうだな。ライラ、ちょっと来い」

「バインド!」


満面の笑みでかけてくるライラにフィリアは容赦なく拘束魔法を投げかける。


「ええっ!?フィリアー!!裏切りやがった!?」



「裏切りは王家の十八番ですから~。悪く思わないでね」


ピースサインをしたフィリアをライラは全力で睨みつける。


「きゃーこっわーい」


棒読みの悲鳴を上げたフィリアにライラもこりゃ無理だとあきらめ大人しくなる。


「なんてことはないぜ!!落雷!」


いつもより威力の上がった雷がフィリアとライラの間に落ちてバインドを打ち消す。



「しぶとい奴だな」


すかさず逃げたライラを見てフェカがつぶやく。


「クライト、そっちいったぞ」


ライラの進行方向にはクライトが突っ立っていた。


「ゴメン、クライト!いつか借りは返すよ!」


クライトを押しのけたライラは感触が人じゃないことに焦る。


「ぐにょってしたぁ!?」

「すまん、ライラ。レオは恐ろしいんだ」


本物のクライトが木立から現れ、ライラをそのまま確保する。


「これ、まとわりついてくるよ!?」


ぐにょぐにょとまとわりついてくる元クライトをライラは引きはがそうとしてこける。


「そういうものだからな。安心しろ、1日しかもたないから」

「きしょい!!」


ライラの悲鳴にクライトは肩をすくめてお手上げのポーズをする。


「あんたの魔法だろ!?」

「さて、罰ゲームなんだが、ライラちゃん」

「フェカがちゃん付けとか怖いことしか浮かばないよぉ!!」


涙目になったライラに救世主が!?


「フィリアちゃん?君は人で遊ぶなって何度言ったらわかるのかな?」

「私!?フェカとかフェカとかレオとかレオとかいつのに私!?」


歩いてきたファイナはその場の状況を見て、フィリアにニッコリと笑いかけた。


「フィー。何をしているのかい?」

「に、兄様…」


そこにいたメンツにSOSの視線を向けるが、遠ざかられたフィリアはじりじりと後ろへ下がる。


「後ろに木」


ガッと 木に踵が当たりフィリアは逃げ場を失う。


「別にね、人で遊んじゃいけないなんて、言わないよ」

「姉様、見逃して…?」


木に押さえつけられたフィリアは涙目でファイナを見上げる。


「レオ、助けてやれよ。お前言いだしっぺだろ」

「嫌だ。誰がなんて言おうが俺はファイナさんとリランさんのタッグに挑むほど無謀じゃない」

「フェカ、フィリアが困ってるよ?」

「俺だってごめんだ!あの2人は…ゴメン、フィリア。俺には無理だ…」


レオも、フェカもファイナとリランを恐れてフィリアの仲介をしようとしない。


「助けは来ないみたいだぞ、フィア」

「姉様…兄様…」

「かわいーなー、フィリアは」

「フィー。君は自分の立場をわかってるかい ?」

「うう…あっ!!UFです、兄様!」

「え、どれだ!?って、やるかバカ!」


混信の演技でその場をごまかそうとするフィリアに、ファイナが乗りツッコミをする。


「本当に空飛んでます!!っていうか、…吸血鬼?」


フィリアがさす方向をリランが渋々振り返ると、黒い毛玉が空を飛んでいた。


その隙にフィリアはリランの拘束を抜け出しレオの後ろへと隠れる。


「せんせー。あれは吸血鬼じゃないと思います!」

「バカか、ライラ。あれが吸血鬼の本体だぞ」


挙手して言ったライラにレオは呆れる。


「って、フィリア?あ、隠れやがったな!?レオ、覚悟しろ!」

「嫌ですよ!フィリアは渡しません!っていうか、吸血鬼の方が先でしょう…」


でました、吸血鬼!ポンポンです~


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