さりげなく
「え、燃やす!?」
「んー…特に深い意味はない」
さりげなくフィリアはフェカと入れ替わっている。
そしてそれに気づかないライラを見たフェカは、このまま騙しておくのも一興かと考える。
「フィリア、ちなみにあれはなんて魔物?」
「…」
マジで気づいてないのかとフェカはライラを見る。
「フィリア、聞いてんの?」
「ンにゃ…あ、えーと。火を吹く巨大なくものアラーニュじゃない?」
「…どうしたの?」
「え、何が?」
気づかれたかとフェカは顔を顰める。
「いつもより詳しく説明してくれるね」
「ま、まね…」
ここまでライラが気づかないとなると逆にばらしにくくなったフェカだった。
「お…?」
「あれ、クモなの!?」
巣を燃やされて怒り心頭な、目が8個あって10本足で赤くって柔らかそうなフェカ曰くクモが現れた。
「タコじゃん!!クモ違うじゃん!!」
「雲だよ?虫の蜘蛛なんて誰も言ってないよ?勘違いしたのはライラじゃん」
「そっちの雲でもないし!?」
すっとぼけようとしたフェカは失敗し、ライラに揺すられる。
「まぁ、いいじゃん。タコだろうがクモだろうがそんなに変わんないって」
「変わるわっ!!」
「燃やしちゃえばいーのさ。そうすれば、灰でしょ?ほら、変わんない」
「そっか!凄いよフィリア!さっすが!」
納得すんのかとあきれながらもフェカはくもを燃やす。
「《燃えつくし灰と化せ》」
ボゥと炎がクモにまとわりつき一瞬で灰とする。
「流石フィリア!!…ん?フィリアって炎系統だった?」
ライラの素朴だが的を着いた質問にフェカはどうはぐらかすか考える。
「い、いや…。フェカが少し手伝ってくれたんだよ。虫って燃やすのが一番手っ取り早いし」
「虫って言った!!やっぱり蜘蛛なんじゃん!」
苦しい言い訳をするフェカにライラがつっこんだのは別のところで。
「あー…あんまし、深いところは気にしない方向で…」
そんなこんなで山の頂上へ行くと。
「オー!!森だー洞窟だー大自然だー!!」
「今までも大自然ちゃあ大自然だったから…」
目の前に広がる森と洞窟に感動したライラは思いっきり叫んだ。
「やっほ――――――!!」
「木霊…?」
「いいえ、誰でも!!」
「…なんだっけ、それ」
「わかんない。神様がそう言えって言ってた!」
一時期流行った某CM のパクリ?あの…まずいでしょうか?
しばらく休憩。
フェカが何かを思い立ったようでライラの背中に乗りかかる。
「な…重いよ、フィリア」
「別にいいじゃん。2人だけなんだし」
フェカの色気?に惑わされずライラは反論する。
「そうじゃないって!!つぶれる!」
「そんなに嫌?じゃ、いんだけど…」
名残惜しそうにフェカはライラから降りる。
「フィリア、寝ぼけてるの?それとも20歳以下は摂取不可能な液体でも飲んだ?」
「…酒のこと?いや、それはないよ」
「フィリア…どうしたの?今日はいつもより変だよ」
「いつもよりって…いつも変だと思ってるわけ?」
「や、言葉の綾です」
「そういう悪い子にはお仕置きだよ?」
さぁフェカの毒手に掛かりそうなライラ。どうする!?
アラーニュ:雲です。目が8つあって、足が10本で、赤くって軟らかそうでも、雲です。炎タイプです。燃えます。




