犬!?待って、それは犬じゃないと思う!
なんかいろいろと時間をブッ飛ばして、翌日の昼。
「おはよう、ライラ」
「おはほーフィリア」
「…よく、眠れた?」
駆け寄ってきたライラへフィリアは社交辞令を返す。
「うーん…ビミョー」
ライラは絶賛寝不足中。
「そーだ、昨日はレオと2人きりでしょ?どうだったの?」
「へ?」
「待て。俺もいたからな」
「ライラが考えているようなことはしていない」
レオはクライトと2人がかりでライラの頭を地面に押し付ける。
「な、なにすんの!?」
「俺を忘れた報い」
「変な想像をしたからな」
仕上げと言わんばかりにフィリアがライラの額を拳でぐりぐりと押す。
「痛い!!フィリア、イタイ!!」
「痛くしてるんだもん」
「じゃ、じゃあレオとクライト!放せこの野郎!!」
ピュコンピッコンコンコンコーン!!
不思議な電子音があたりに響いた。
「…何の音?」
「ってか、誰の物?」
皆、違うと首を振る。
「……」
「…家の中からじゃないの?」
凄く言いにくそうにフィリアがライラへ告げる。
「…そーかな?」
「おかーさん!!なんか変な音したよー!?犬から!」
銑川家から響いたラキの声に、再び4人は固まる。
「い、犬?」
「家かっ!」
「それは、薄々わかってただろ。…犬?」
「…どこの犬種なんだろうな」
「レオ、それは違う気がする。犬は…どんな犬種でもピュコンなんて鳴かないよ?」
首をかしげたレオの言葉をフィリアは否定する。
「そうか?…銑川家なら、独自に開発していそうな気がしたからな」
「そっち方向に考えたか!いや、確かに母さんはいろいろ作ってるけどさ。っていうか、なんだったの?」
「あら、大変!今すぐ逃げないと。矢蛇波が攻めて来た時の音だわ」
呑気そうなフウラの声が家から聞こえてきた。
「待って!?それは、犬なの!?ラキ、それは犬なの!?」
「犬に見えるけどー。ほら!」
ライラの声にラキが白い餅のような物体を抱えて出てくる。
「…ねぇ、それは、犬とは、言わなくない、かな?」
「犬ですよぉ。ほら、つぶらな瞳が!」
フィリアに言われて、ラキは餅のような物体にくっついている黒い触角のある生物を誇らしげに見せる。
「ゴキブリだよ、それは!!腐った餅じゃないの!?ゴキブリがたかってる!よく持てるね!?」
「えぇ!?フィリアさんには、キラキラ輝く瞳に見えないんですか?」
「…幻術かなぁ?」
ラキのキラキラした目に、フィリアは助けを求めるように黙りこくった男子2人へ聞く。
「幻術だろうな」
「俺には、ゴキブリにしか見えないが…おそらく幻術だろう」
的確な答えに、フィリアは重ねて尋ねる。
「…私はどうすればいいの?」
「ライラに幻術を解くよう頼むか、俺に頼むか」
「究極の2択だな!?」
親友か、恋人かの2択は個人的に究極だと思ってます。
「わかった。レオに頼むね」
「即答かよ!」
そして躊躇せずに即答するフィリア。
「クライト君は、黙りましょう」
「じゃあ…解」
餅を嫌そうに触ってレオが一言つぶやくと、餅は犬へ変化するわけではなく、餅のままだった。
「…ね、え。餅のままですけど?」
「餅なんですよ!」
「なんで、餅から音がしたんだ?」
「…。で…逃げなくていいのか?攻めてくるんだろう?」
なんとも言えない表情になってレオが話題を強引に変えると、フウラをライラが連れてくる。
「母さんもつれてきたし、逃げようか」




