ふぃりあとレオのお話タイムー
頭を抱えてしゃがみこんだオルノを傍目にレオはフィリアへ向き直る。
「フィリア、明日はどうする?完全に、拒否られていただろう?」
「そうだね…。どうする?ライラの手伝いはしたほうがいいだろうから…」
「とりあえず、部屋へ行かないか。ここは誰でも入れてしまうから、盗聴の恐れがある」
「わかった。ライラの手伝いをしよう。クライトは、どっか行っていいぞ」
クライトの進言にレオは頷き、結論を出す。
「ひどいな!?…まぁ、いいけど」
「じゃあ、明日…10時くらいに銑川家で待ち合わせだ」
「了解」
レオに頷きクライトは去って行った。
「さ、フィリア。部屋へ行こう」
「うん…」
あまり乗り気じゃなさそうにフィリアは首を縦に振る。
ところ変わって、レオの部屋。
「…レオってさ、優しいんだか怖いんだか、たまにわからなくなるよ」
「は…?」
いきなりの言葉にレオは唖然とした顔を見せる。
「だって、なんていうか悲しくて」
枕に顔をうずめて、フィリアは言葉を続ける。
「知らない人みたいでね?クライト君が来てから、レオがドンドン遠い人になってくみたいで…」
「俺は…」
続く言葉が思い浮かばず言葉に詰まったレオに、フィリアの笑顔は悲しそうに映った。
「皇太子だから、他国の王女な私に話せないことがあるのは…わかるんだけど、ね」
「…なら、フィリアがさっさと嫁いでくれればいいんだ。そうすれば、フィリアにも政務の手伝いを頼めるし」
「そうかな…。ちゃんと、私にできることなら任せてくれる?兄様たちみたいに、遠ざけたりしない?」
「しない。約束は、守る。他の奴との約束はどうでもいいが、フィリアとの約束だけは絶対に守る」
「私じゃ、ダメなんだって。兄様たちに迷惑をかけてしまうの」
「…フィリア、眠いのか?」
シクシク泣き出したフィリアに、レオは究極すぎる結論を出す。
「ねっ、眠くないよ!全然平気!」
「…全然平気、というのは文法的に間違っている。問題ないといったところではないか?」
「揚げ足とんなくても、いいじゃないー」
「眠いんだな?なら、寝ておけ。お前の兄姉たちは、フィリアに何かあると、怒って手が付けられなくなるんだから」
「ヤダヤダー」
パタパタと手足をバタつかせるフィリアを、レオはそっとベッドへ押し戻す。
「こら、暴れるな」
「レオと、お話ししたいのー!眠くないもん!」
「それがすでに眠い証拠だ。ほら、静かにしろって」
「ね む く な い!」
イーと口を引っ張ったフィリアへレオは呆れつつも付きあう。
「あーそうですか。じゃあ、嫌でも眠たくなる話をしてやる」
「絶対寝ないもん!」
「言ったな?じゃあ、フィリアと、俺の馴れ初めの話でもしてやろう」
ニヤと笑い、レオはフィリアの反応を待つ。
「ちょ、え!?そ、そういう話!?」
「なんだよ、眠くなる話ならいいんだろ?」
「それ、寝たくなる話で、眠くなる話とは違う気が…」
「細かいことは気にするな。そうそう、あの日はバカ父がリカルドさんに用事があるっていうんで、俺も一緒に連れて行ったんだ。それで、一人シクシク泣いていた美少女がいてな?」
「わかったから!!わかりましたぁ!レオの言うとおり、寝るぅ!!やめてぇー、その話をしないでー!!」
フィリアはワーと叫んで、レオの言葉を遮る。
「なんだよ、話をしろって言ったのはフィリアだろ?」
「違う!そういうのを望んでたわけじゃないの!」
ニヤニヤ笑ってレオはフィリアの慌てブリを楽しむ。
「じゃあ、どういうの?」
「え…楽しい話?」
「バカだな。俺が、そんな話を知っているとでも?」
「…どうだろう?」
「悩むな。まぁいい。寝るんだろ?お休み、フィリア。いい夢を」
レオは腰かけていた椅子から立ち上がると、部屋を出て行こうとする。
「え、どこ行くの?」
「フィリアが、あんまりにもかわいいんで襲わないように別の部屋で寝る」
「ちょ!?あぅ…」
「そういうことしてると、流石に理性が飛ぶからな?…じゃ」
ヒラと手を振ってレオは部屋を出て行った。




