気づくのが遅い
「おぅ」
「おうじゃないからね!?」
あっさりと頷いたレオにライラがつっこむ。
「っていうか、あっさりと内乱始まりました宣言にうなずいちゃう!?」
まともな意見がライラから放たれる。
「構わない。この3つの部族は勢力が大きくなりすぎだから、共倒れしてくれるとありがたいし」
「うわぁ!?悪い人がここにいる――!!」
「うるさいぞ。俺らの苦労を知らないくせに!っていうか、矢蛇波は、すっこんでろっつーの!いちいち口出してきやがって…そんなことできるかバァロ!」
ライラの悲鳴にクライトが怒り出す。
「クライト、落ち着け。後、静太はもういいから、どっか行け」
「あ、はい。では、後日」
「そうだな」
静太は晃大を引きづって去って行った。
「哀愁漂う背中…」
「っていうか、あれ!?銑川って言わなかった!?実家じゃん!」
ハッとライラが叫ぶ。
それに対し3人は。
「気づくの遅い」
「…バカなのか」
「正解だ」
思い思いのコメントをする。
「ひどいな!?っていうか、レオさ、銑川と矢蛇滝が敵対してると思ってない?」
「…知らないな」
「王宮に送られる報告書ではそうなっている。が、薄々嘘なんだろうとは目星をつけている」
すっとぼけたレオの頭を小突いてからクライトがライラに答える。
「そぉ。実は、銑川と矢蛇滝は矢蛇波に操られて戦争をしてるふりをしてるんです。矢蛇滝は銑川と協力関係なんだよ」
「…レオ、知らなかったの?」
「全く気付いていないわけではないが、はっきりとした事実としてはつかんでいなかった。情報提供ありがとう。というか、緑国は青国と違って部族が沢山ありすぎて全部を把握することが難しい」
フィリアに問われ、レオは気まずそうに返答する。
「それは認めるよー。無理だよ。情報操作うまいもん、矢蛇波。あ、あと止めなくていいからね?死者は矢蛇波からしか出てないし」
「俺が止めてもメリットがないから、干渉をするつもりがない。しかし銑川には、王国警備隊団長の剣一がいるからな…あいつをくだらない内乱に巻き込ませるわけにはいかないだろう。大丈夫か?」
「第一斑班長って、前は聞いたけど?」
「昇給させた。父さんを少しでも脱走させないようにしないといけないから、腕の立つ奴が欲しいんだ。それと、父さんと互角にやりあえる人」
「…大変なんだね」
「というわけで。剣一さんに死なれると困るので、こちらから戦力を貸し出しましょう」
終わりそうにないフィリアとレオの会話を遮り、クライトがライラへ提案する。
「王家に干渉されても…。私の一存で決められることじゃないよ~。おっかさんに聞いてみないとさ。お母さん、王家嫌いでしょ?」
「そうだな。どうせ明日からゴールデンウィークだ。緑国に帰省届を出しておこう。フィリアも、な」
「え、私の家は緑国にないよ?」
目を瞬いたフィリアにレオが重ねて言う。
「いいから。緑の王宮で届けとけ。どうせ、遊びに来るだろ」
「そうだねー。…予定が特にあるわけじゃないから、良いけど」
「いや、そうじゃない!王女も納得するな!問題点が違うだろ!いつのまに、あなたの家は緑の王宮になったんですか!!王女の場合は、出国届でしょう!っていうか、王女なんだから届は必要ありません!!レオもだ!お前は、届を出す必要はないんだからな!」
納得したフィリアへクライトがつっこみをいれる。
「ちっ。邪魔しやがって」
「邪魔じゃない!ほら、ライラと俺だけだから、届が必要なのは!!今から、職員室に盗りに行ってくる。その間は2人きりだから!」
「待って!!字が違う気がするよ!?」
「大丈夫、龍の血があればばれない」
「そうじゃないでしょ!?あれ、クライトって常識人じゃないの!?」
「いいから、さっさと行くぞ!これ以上ここにいて、レオに怒られるのはごめんだ!」
渋るライラの背中を押してクライトは職員室へ向かう。
「あれ…?気づいたら展開的にレオと2人きりになってるよ!?おかしいね?」
「気づくのが遅いだろ…。ま、そこがかわいいんだけど」
「いいから!!もう!廊下で立ちっぱなのは問題だよね?どっかに移動しよう」




