どこの方言だよ!
翌日ー。
「おっはよーフィリア!」
キラリと汗をさわやかに光らせてライラがフィリアの部屋へ入ってくる。
「やっ、汗臭い!来るなぁ!!」
「!?…ガーン」
フィリアに思いっきり拒否されて沈んだライラは口でその気持ちを表現する。
「口で言うことじゃないだろ」
「レオにわわからないんだよ!!」
「なんで汗臭いの?」
「それはね」
「龍の力をうまく使えるようにするためにセイロウと特訓をしていたからな」
フィリアに尋ねられ嬉々として説明しようとしたライラはレオに先に言われorzとなる。
「え、えぇと…ライラ、がんばって?」
沈み込んだライラを見てフィリアははてなマークをつけつつも彼女を励ます。
「うん、フィリアが褒めてくれるなら頑張れるよ!」
「ライラ、余裕があるならもう一回特訓して来いよ。それから、俺は学校へ行くぞ」
レオが飼い主に構ってもらいたい犬のようなライラにイラついて部屋を出て行った。
「あー、拗ねないでよ!」
「ライラがいけないんだー。レオが拗ねちゃったぁ」
「フィリア、かわいいよ!」
ギュと嫌がるフィリアをハグしてからライラはレオを追って学校へ向かう。
放課後。
「フィリアー!!任務に一緒に行こ!」
「何の任務なのー?」
「えっと、『助けてケロ。子供が化け物にさらわれたケロ!』って奴。1000P!?ってか、ケロって受け狙い!?」
ライラは部屋に飛び込んでくるなりフィリアにちぎってきた紙を突きつける
「カ・エル地方の方言だよぉ」
「へ、へぇ~」
もっともらしく言ったフィリアの言葉に感心したような微妙な声を出すライラ。
「…納得するな」
「嘘だよぉ~!えへっ★引っかかったぁ~」
「え!?」
テヘペロと言わんばかりのフィリアに内心かわいいと思いつつライラは目を見張る。
「正解はロリナン地方だ」
「うん、行こう!」
頷いたフィリアに釘をさす人1名。
「ダメ。却下」
「誰!?…ってリランさん?」
いつの間にかドアに寄りかかっていたリランにライラは驚く。
「どぉしてですか、兄様!暇なんですよぉ」
「王宮騎士数名が戻ってきていないんだ。…まぁ貴族時代の名残を捨てきれないバカどもから何だろうけどさ」
「リランさん、毒吐かないで!」
「だからさ、ライラ?君はいったい誰に口をきいているんだい」
ライラの口を捻りあげながらリランはニコニコと極上の笑顔を浮かべる。
「兄様、ライラが痛がってるよ?」
「いいんだよ。この子は何回言ってもわからないんだから体に覚えこませてあげるほか、手がないだろう?」
「…兄様、怖い」
「……それは、困った。フィリアにも同じことをした覚えがあるからなおのこと」
おい!?と言いたくても痛さで悶絶しているライラには無理な話。
「とにかく!この依頼は断わっておくんだよ」
なんだか物言いたげな視線を感じたリランは切り上げて部屋を出て行こうとする。
「ヤダァ!!行く!!絶対行く!!」
「フィー。わがまま言う悪い子には雷が下るよ」
「愛称!?」
「下らないもん!!フィリアには神様が付いてるから、雷、当たらないもん!!」
「一人称が!!」
「…フィー?」
若干ひきつったリランの声にもめげずにフィリアは自分の主張を叫ぶ。
「絶 対 行 く の !! 行くったら行くの!!」
「フィー。僕は君の身を案じて…」
「レオがいるから平気だもん!!危なくなったらおっきいレオが守ってくれるんだもん、絶対!!」
「そこまで信頼を寄せているのかい?うそつき一族に」
「レオは嘘つかないもん!!フィリアには嘘つかないって約束したんだもん!!」
「本人前でそこまで行っちゃうんだ、リランさん…」
「気にしていないし、実際俺はうそつきだからな」
ひきつったライラの言葉にレオはこともなさげに嘯く。
「レオはうそつきじゃないもん!!本当のことが言えないだけだもん!!」
「それを世間ではうそつきというよね?」
「フィリアはうそつきだと思わないもん!!レオは約束したことは破らないもん!!」
「フィー…わかったよ、君がそこまで言うんなら今回だけは許してあげる。今回だけだからね?」
「うん!!ありがと、リラン兄様!」
パァと眩い笑顔を見せたフィリアに微笑んでからリランは部屋を出て行った。
「さて、行くか」
「うん!」
「フィリア、かわいー!!」
レオがワープ発動させ依頼地へ向かう。




