表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
1/1

プロローグ

1-1


 『 緊急!緊急!幹部緊急招集!幹部6人は直ちに、妖鬼本館、第1会議場に召集せよ!繰り返す!幹部きん、、、、 』


あまりにも音がうるさかったため、連絡用機である紫色に光る蝶に触れて、電源を消去する。

光っていた紫色の蝶は光を失い、そこら辺に飛んでいる野良の蝶に紛れるようにパタパタとせわしく飛んでどこかに行く。


 「 、、、あー、腹立つ、、五月蠅くならなくてもいいだろうが、、邪魔なんだよ。 」


苛立ちに任せて、前髪をかきあげようとしたが、幹部のみつける狐の半面が邪魔で、長い爪がコンッ、と音を鳴らして半面をたたいただけだった。


・・・なんか前髪邪魔だと思ったら、半面で潰していたのか。


余計にイラつくことを考えてしまい、力任せにその場に会った石を蹴飛ばす。

飛ばされた石が飛んでいった先で、「キュゥンッ」という鳴き声が聞こえて、唖然とする。


 「 やっべ、やらかした 」


うっかり腹いせでそこらへんにいる動物を殺してしまった気がする。

いや、死んではいない、流石に石ごときで勝手に死なれても困る。

草むらをかき分けてみると、白い兎の足が見えた。


 「 あー、生きてるか、すまないな 」


腹のあたりを撫でてから、草むらの中にそっと隠す。

この森の中には狼も済んでいたはずだ。見つかったらきっと、この兎は絶望的な状況になる。

なら見つからないように隠しておくことにしたようだ。


 「 さっさと行くか、俺が怒られる。 」


予想外の出来事があったが、これを理由にしても自業自得だと同業者から言われるだけなのでさっさと本館へと向かった。

案の定、2分ほど遅刻したのは内緒だ。

時間指定なかっただろ!!



______________________________



 「 妖鬼特別暗殺部隊全員揃いましたか? 」

 「 狐妖特別暗殺部隊は全員揃いました。 」

 「 小学生組がまだ来ていませんね 」

 「 おそらくまだ学校かと 」

 「 なら仕方ないですね。あとで誰か教えてあげてください。 」


 「 両特別暗殺部隊隊長様!小隊はそろいました! 」

 「 了解いたしました。その場に待機でお願いします。 」

 「 承知いたしました! 」


 「 異種部隊所属の№18と№43が発見されていません。 」

 「 危険異種に配属されている43が見つからないのは少々困りますね、、特暗から一名が捜索しますので、人数確認と個体数、その他数値をすべて資料に正確に記入したのちに提出をお願いします。 」

 「 了解しました。№4が退屈そうなので、指示をお待ちしております。 」


業務連絡が次々に交わされる。

人数がそろっていないままある程度の時間が経ってしまったせいなのか、上位層のメンツがあわただしく動いている。

連絡用の魔獣や使い魔も、上位層のメンツにあわせるようにあわただしく動いた。


 「 №08からの連絡です。№18の死亡が発覚しました。死体は№08が所有しているそうです。 」

 「 了解しました。幹部の皆様方がそろって10分が経過したので会議を開始します。指定位置につけと指示してください。従わないようならば、狐妖特暗隊長さんの従属を使用します。 」


黒い革靴で地面をコンコンッと叩く。

報告に来た異種部隊の隊長代理はすぐによけていった。

それを見届けてから、蜘蛛の巣や苔がはりまくっている壇上に登る。

狐妖特暗の隊長も隣についた。


 「 宣戦布告が私達の祖国へと届きました。お相手は、あなたたちはわかると思いますが、A国です。今回は、こちら側が宣戦布告を送ったわけではございませんので、あくまで相手方の軍勢を一人残らず殺害し、勝機を失わさせることを目的とします。その範囲内なら好きに暴れていいとの事なので、全力で楽しみましょう、そして、私達の祖国の平和と秩序を取り戻しましょう。 」


苦手な演説を冷え切った声で淡々と話す。

ただこんな長く話しても、異種というなの脳無しなアホは理解ができない。

副隊長から借りた剣を引き抜き、剣先をまっすぐ大衆に向ける。


 「 我がヨウリヒ帝國の平和を守る戦士たちよ!我らが発つときだ!!! 」


ズアッ!と音が立つようなほどの速度で剣先をまっすぐ上へと向ける。

その瞬間に、人間と人間じゃない化け物の歓声が上がった。

「ウォォォォォォ!!」というような声から言語化が不可能な声までまんべんなく聞こえる。

耳障りだ、なんて戯言を浮かべながら、穴の開いた天井から私は月を眺めていた。



______________________________________


音が聞こえる。

鈴の音が

りーん、りーん、と一つ、二つ、三つ、四つ

ピンク色のアホ毛をぴょこぴょこと揺らしながら、音の鳴った方向に足を進める。

ずるずると黄緑色の着物の裾を引きずりながら歩く。


・・・やっぱり人間の服には慣れないや。


土汚れた着物のすそを持ち上げて、ぽてぽてと歩く。

すその隙間から、人のものではない、まるで木の根っこのような足が見えた。

彼女はそれを足のように器用に扱った。

首のあたりまである長い前髪を分けて桃色の右目をちらりとのぞかせる。

少し進むと、気持ち悪い匂いがした。

今は森の中を歩いているのだが、木の匂いじゃなくて鉄に近い匂いがする。

ここは狐の名家直轄地なので、機械的なものは一切入らないようになっている。

森に住む精霊や妖精が、工業化、機械化されたときに空気の汚染で死滅しないようにするためだ。

なのに、鉄の匂いがする。

匂いのする先に向かって、少し小走りに歩く。

段々匂いが強くなってくることに嫌気がさす。


・・・ねえ、私、この匂い知ってるよ。


人間が通りやすい道を通らずに、獣道と呼ばれる狭い道を通る。

がさがさと落ち葉を踏む音が響く。

地面から飛び出している根っこを飛び越えて

草むらの中から顔を出した。


目の前に広がる光景は赤黒く、中央に横たわった生き物がいる。

赤黒い液体が地面に吸われて滲んでいるように見えて、木の幹や葉っぱからぽたぽたと液体が落ちている。

つい、自分もかかるかと思って避けてしまう。

汚らわしい鉄の匂いがあたりに充満しているのがよく分かった。


横たわった状態のまま動かない生き物をつつく。

ぴくり、と動いたので反射で少し離れてしまう。

まるで危ない猛獣に触っているような感覚だ。

実際、この人間が危ない猛獣のようなものであることには変わりはないが、


 「 、、、う、、 」


虚ろな目がちらりとこちらを覗く。

金と銀の二色の珍しい目が力を失っているところを見るのは初めてだ。


 大丈夫?


声帯のない喉は言葉を発することができないのは当たり前であり、それをよく理解しているので首をこてりと傾げてみる。

生き物は動こうと力を込めたのかプルプルと震えると、口から赤黒い液体を垂らした。

どうやら死にかけらしい。

周りに誰かいないかと辺りを見渡すが、生命反応が見られないため、恐らく誰もいないあるいは、殺されたのだろうと考える。

持ち上げて安全なところにでも運ぼうかと思ったが、そんなことをすると崩れてしまうんじゃないかと、生き物にはありえないことを考える。


ちらりと体の様子を見てみると、胴体のちょうど真ん中あたりに剣のようなものが突き刺さっていて、そこから赤黒い液体がどろどろと流れているのが分かった。

四肢の様子は特に問題がなく、しいて言うなら手先がちょっと赤く腫れている程度だった。


とりあえずヤバいことはなんとなくわかるので、危ないかもしれないが少し移動して、助けてくれそうな人を探そうと思い、また違った獣道の中に入り、生き物がいそうな開けた場所を探してみる。

がさがさと落ち葉を踏み、葉っぱをかき分ける音が響くが、今はそんなこと気にしちゃいられない。

近くに生き物をああしたやつがいるかもしれないが、その時はその時だ。


10分ほど走ってみると、見慣れた紫色の髪を見つける。

言葉を発することが出来ないので、駆け寄ろうと思ったら既にこちらの存在に気付いていて


 「 ん、植物人間さんが慌てて、どうしたんだ? 」


そう聞かれて、紫色の髪をしている生き物の着物の袖を引っ張って獣道の中に突っ込む。


 「 おわっ!? 」


という声が聞こえた気がしたが、気にせずに走った。

また10分ほど走り、流石に疲れて息が上がる。

紫色の髪をしている生き物は、あまり疲れてはいなさそうで、金と銀の目を持っている人間のそばに駆け寄る。


 「 、、よく見つけた。ありがとな 」


そう言って頭を撫でてくれたので

私はとてもうれしく思った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ