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君の妖に願いを  作者: 雨y
青一章 学校
7/12

能力説明その1

訓練室は、それぞれひとチームに教室分の広さを使うことが許されている。

訓練室のある訓練棟は校舎の中でも一番高く、地下も深い。

しかも2つもある訓練棟はいくら私立と言っても管理費は高いため、退治師育成のためと退治師協会が払っているし、時々教会に入っている退治師が訓練に付き合うこともある。

1年生の2学期から下級妖魔退治をし、討伐数や妖魔の種類によって訓練室の大きさが変わることがある。

この学校で1番大きな訓練室はというと、体育館ほどの大きさで、現在の生徒会長とそのチームが使用している。


「まずは鏡花ちゃんのその、夜蝶光の力?を見たくて」

「あぁ。まずは説明から。この刀は私にしか力は発揮できないようになっている。代々赤崎家では生まれた日に一級の鍛治職人に刀を作ってもらい、生まれて1ヶ月で刀を心臓に刺すんだ」

「えっ」

「死にはしない。赤崎家に1人は生まれる木の妖気使いが対処する」


赤崎家の木の妖気使いは有名だ。

妖魔の能力による怪我は妖気使いの治癒によって治すことが可能である。

物理的な怪我は癒すことはできないため、万能ではない。

妖魔が石を投げてきたとして怪我しても治すことはできない。

しかし、治癒を扱える妖気使いまず少ない。

そんな治癒と同じではあるが、赤崎家の木の妖気使いは妖魔による怪我でなくても、怪我して15分以内であれば完治とはいかないが、治すことができる。

鏡花の叔父、そして弟が今生きている赤崎家の木の妖気使いである。


「この刀と心臓は繋がっているんだ」

「つまりは、刀が壊れた時がお前の死か?」

「いいや。植物状態になるだけだ。アニメなどでの刀は丈夫だが実際はあんなに強くはない。よくかけるし折れたりもする。だがこうして生きている。夜蝶光も実は2本目だったりする」


赤崎家の心臓は一度研究されており、普通の人間とはやや変わっていることだけがわかっている。

と言っても、妖気使いでなくても本来全身を巡る妖気が心臓に集中しているだけで他に変わりはない。

刀を心臓に刺せば、一度刺した刀と心臓が共鳴し、一つの能力として生まれる。

折れた時は鍛冶屋が折れた刀と新たな鉄を使い、打ち直すことが多い。


「退治中に壊れると厄介だな」

「あぁ。そしてこの話をした理由が、この刀の能力が“幸運”でな。強過ぎて何度も使えるわけではないし、運が悪いと折れてしまう」


赤崎は目を隠し、軽くくるくると回り、いろんな方向へと歩いき、強く刀を握った。

3人は赤崎が実践するんだと察し、瞬きをせずに彼女の方を見た。

赤崎が刀を抜き、的の方へと体を向け走り、素早くそれを切った。

たまたま切れた。

彼女は的の位置を覚えてはいない。

本当にたまたま切れたのだ。


「最大何回なら使えますか?」

「手入れをして3回と言ったところだな。それ以上は厳しい」

「手入れってあのぽんぽんするやつか?」

「確かにそれもするが、この時の場合の手入れは木の妖気使いに頼んで妖気を吸わせるんだ。明後日の休日に会うから今日は残り1回は使える」


軽く刀を振り下ろし、鞘に収める。


次はお前だというように壁側へ赤崎は移動し、静かに湊は部屋の中心へ移動する。

翔はやるんだと察し、妖気で湿度を上げてまた座った。


「やるって言っても簡単なことしか出来ない」


手のひらに大きな雪の結晶やつららのような形のものを作り的に当てる。

作り出し投げているだけなので的にはただ刺さっているという程度だ。

勢いも早くしようと練習中ではあるが、ドッチボールを投げる程度というところ。

これでは早く動く妖魔には当たらない。

地面を凍らせ動かないようにさせるとしても飛ぶことが可能な妖魔には当たらないし、中級妖魔となれば人間と変わらぬ知能を持つと言われているため、そんな術には捕まらない。

捕まえられたとしても、それを維持するのに相当な集中力が必要で結構キツいという。


「妖気をまとってみろ」


赤崎に言われたことに湊は頷き、冷妖気を身にまとう。

やや離れているが、なんとなく赤崎たちの周りの温度が下がった。

妖気使いである翔には湊が妖気をまとっているのが目で見えている。

普通の人には妖気は目では見えないものである。

しかし、妖魔と戦うにつれ、見えてくる退治師も少なくはない。

湊は冷妖気を身にまとった状態でやや丸みを帯びた氷を作り、的に投げる。

刺さった程度とは違い、次は的がカラカラっと音を立てて壊れた。

速度としては高校生の強豪野球部がボールを投げる程度だろう。


「こんなに変わるものなのだな」

「すごいです!これで言えば翔さんと一緒ならもっと強くなるんですね!」

「ああ。だが今回は説明としてだから鏡花に潤妖気をまとわせる。いいよな翔」

「うん」


湊と翔が入れ替わるように翔は真ん中へと移動する。

深く深呼吸をして、水を生み出す。

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