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君の妖に願いを  作者: 雨y
青一章 学校
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仲間(チーム)作りその2

「先に私から言おう。特殊体質に関しては皆知っているであろう。学校からの許可を得て愛刀の夜蝶光やちょうこうを常に持っているため、こんな性格であることをまずは知ってもらいたい」

「あぁ、知っている」


赤崎家は有名な妖魔退治の一家だ。

彼女が常に刀を持ち歩くのは、赤崎家のルールであるため。

そのルールは皆はよく知らないが、強い権力を持つ赤崎家だからからこそ公共の場での刀の所持を認められているということはわかる。

そして彼女が刀を持つ時は強くなること以外の欲がありはするが見えないため、きっと翔も組みやすいだろうと湊は考えながら聞く。


「赤崎家は風見刀かぜみとうと呼ばれる力を使えるようになるのだが、私は夜蝶光の力を発揮するだけの力しかまだ出来ていない。しかし、手にするまであと少しと言うところだ。夜蝶光の力は口にするのは難しい。なので明日見てもらうことにする。それでは、湊さん」


目で次の説明をよろしくと言うように軽く2人を見る。

湊はすぐに頷き、口を開く。


「ボクが使うのは氷系だ。湿気の多いところなら大体は凍らせることはできると思うが、相手が妖魔の場合はまだ数秒足止め出来たらいい方だろうな。あとは冷妖気を身に纏って短刀で切るぐらいか。まだ修行中だ。多分攻撃系」


妖気を身に纏う行為は攻撃系妖気使いの基礎中の基礎と言っていい。

自身の身体能力を強化し、力や速さを底上げする。

この力は基礎だが、磨くほど強くなっていく。

例として星夏が上げられ、彼女の強い熱妖気は近付いただけでも火傷するかと思うほどだ。

湊は一時期冷妖気に慣れるためとたくさん熱妖気を浴びせられたのを今でも覚えている。

その度に氷入りの水をガブガブと飲んでしまって気持ち悪くなり吐きかけたのも。

それはきっと、翔も。


「そんで翔が水系。基本的にはボクのサポートだと思う。湿気を上げたり、あとは自分には出来ないようだが、自分以外には潤妖気をかけることができる。あと得意なのは水の人形を操っての誘導とかだな」

「珍しいですね、他者に妖気って…」


翔に妖気を教えたのも星夏で、彼女は妖気を纏うことに関してプロ。

美幸と星夏のペアは現役でも1級の退治師だ。

1級となると4人とは言わず、ペアでの退治が許されることが多い。

そのため、彼らが今退治師を目指すとするならば、1級だ。

人との関わりが少ないから。


「では翔さんは私と湊さんのサポートだな」

「えと、最後に私ですね。トレーナーは戦う役割ではないので説明するものはありませんが、指導者、調教師、観察士の検定を2級までは持ってます。あっ、観察士に関しては準1級です」

「それはすごいな!」


トレーナーは基本、指導者の資格があれば誰でもなれる。

その資格を取るためにはまず検定3級までは必要なのだが、それをすでにクリアしている、つまりはすでにトレーナーとしての試験を受け、合格していると言っても過言ではない。

それに、調教師となるとチーム全員の訓練の成果を見て、成長スピードを上げてくれる可能性が高く、観察士に関しては妖魔と対抗するにあたって、5倍もの速さで退治が終わると考えていい。

学生のうちにとも言わず、そこらにいる退治師でもこれほど資格を持っている人は少ない。

つまり、ここにいる山谷は、退治師になるには残り場数しかないというわけだ。


「リーダーは山谷さんがいいと私は思うのだが、2人はどうだ?」

「賛成する。正直、このチームで1番力を持っているのは山谷さんだ」

「えっ、私はそんな、リーダーだなんて…」

「自信を持て。そうだ、下の名前は美春だったよな?そう呼んでもいいか?それと、私のことは鏡花と」


2人のチームメンバーは握手をすると、クスッと笑う。

翔は下を向いて落ち込んでいるかのように湊の制服の袖を掴んだ。

初めは2人の表情のせいだとは思ったが、気づいていなかったらしく震えはない。

じゃあなぜか、湊は翔がそうした理由はわかっている。

山谷の事を聞いて自信がない、そう言いたいのだと湊はすぐに察した。


「安心しろ。ボク達2人は星夏に鍛えられてきたんだ。そうすぐには足手まといにならない。また特訓しよう。な?」


そう言うと、翔は顔をあげ、小さく頷いた。


「星夏さんって、1級退治師の餅河もちかわ 星夏か?ははっ、彼女に鍛えられたとなると、期待がデカいな」

「期待はしてもいいが、翔に聞こえないようにしてくれ」

「あぁ、それはすまない」


今日は距離が近いし話も少しした。

そろそろ慣れても良い頃だとは思うが、翔が限界を迎えるだろうと清水に湊が目線を送ると、察すように彼らの前へ来て、翔の様子を見る。


「悪いが、翔が人馴れするのに時間がかかる。そこを知っておいて欲しい」

「わかった。無理のないように」

「そのことを考慮して、特訓スケジュールを組んでおきますね」

「ありがとう」


湊の感謝に驚く2人だが、すぐさま頬を緩めた。

学校では翔べったりで、喋ったこともないため良い印象も悪い印象もなかったが、感謝のできる人と知ったためだろう。

元々彼女らには偏見として強気な扱いにくい人だと思われていたみたいだった。

そんなことには湊は気づいてはいなかったが、今は関係のないことだ。


「そういえば、翔さんの声を聞いたことがないのだが、情報として教えてくれないだろうか。嫌ならいいのだが」


無神経な質問だろうか、と心配するも、2人だってそれが必要なことだと言うのは分かっているため、湊は翔の背中を優しく撫でる。

もし翔が喋った時、湊しかそれが翔の声だと気づくことができない。

それはチームとして欠陥だ。

まぁ、いつかは喋るはずだから気にしなくても良いことだとだが。


「翔、です…」

「ほう、中性くらいだと勝手に思っていたが、ちゃんと男らしいのだな。よろしく頼む」

「これも情報として言っておくが、知っての通り実験施設から保護されたのがボク達だ。翔は笑った顔や声に弱い。笑うなとは言わないが」

「わかった。そこら辺は先生に聞いておこう。そう言う情報は脳力以上に秘密にしておいた方がいい」


赤崎は有名な2人の弱点を知られれば、もし2人のことを疎ましく思っている人にいじめられる可能性のことを考えた。

実際に1ヶ月ほど中学校に行ったことがあるが、陰口を言われる事が出てきたため、美幸がすぐに行くのを辞めさせた。

本人たちは気にしてはいなかったが、それはただいじめについての知識が乏しかっただけで、そこら辺もしっかりと教えられてからは最悪な空気だったのだと理解した。

秘密にすることに関して山谷もそれに賛成し、残りの交流時間については、お互いの呼び方や好き嫌いなどの話し合いとなった。

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