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君の妖に願いを  作者: 雨y
青一章 1学期
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入学と自己紹介

退治師である美幸みゆき星夏ほしなつのおかげでやっと2人の入学が決まった。

8歳の時にとある研究施設のオークションで助けられ、食べ物の食べ方も知らなかったみなとかけるを約5年で基礎知識を叩き込み、約2年で高等学校に通えるほどにしてくれた。

湊は同じくオークションから助けられた翔と共に制服をピシッと着る。


「湊〜ネクタイつけて…」


同じ年齢の翔は湊よりも容量が悪かったが、湊について行こうと必死に勉強をした。

そのおかげで一緒に学校に通えるようになったが、まだ1人にしてはいけないぐらいにはまだ慣れていない。

湊へ甘える癖がつく一方だが、兄弟のようなもので彼は良しとしている。

本人はブラコンではないと心では思っているが、どこからどう見てもブラコンである。


「ネクタイの前にもうちょっとシャツを中に入れような」

「この服難しい」

「慣れていかなきゃだめだぞ」


そういうと翔は頬を膨らませる。

そしてそのあとはいつもこう言う。

「湊がいるからいい」と。

拾われてずっとそばにいたため、離れることは今後ないとお互いに思っている。

美幸曰く、湊の精神年齢の成長は早く、翔は遅いし最近は止まりつつある。

そのため支えていかなければならないし、湊の発作を止められるのは翔だけだった。


お互い制服を着終わると、部屋を出て学校へ向かう。

ここは寮で人もいる。

人見知りな翔はいつも湊の後ろをついていく。

いや、人見知りというより人が怖いんだ。

湊は忘れているようだが、翔は実験中の痛みを覚えているようで、他人の笑った顔が声がトラウマとなっている。

それに、彼らの目はミシュレルットの色をしており、よく目立つ。

目を見ようと人が集まり出した時、翔の怯えや震えを湊もよく覚えており、湊自身も他人は苦手だ。

幸い、翔は片目だけがミシュレルットの色をしていたため、翔が初めて外出した次の日には星夏が眼帯を買ってきてくれた。

不便ではあるが、翔は宝物のように毎日それをつけるようになった。


入学式、翔は震えながらも湊が後ろや隣にいる安心感で乗り切れると言った。

実際その通りに怯えながらも式ができていた。

湊はそのことに安心して翔の頭を撫でた。

退場時間になり、体育館から出た後はずっと湊の腕を掴んで離さなかった。

同じクラスになるであろう人にはよくこちらを見てきたが、翔のことを思うと、湊は気にしてなどいられなかった。


1年C組、それが彼らのクラスだ。

先生の名前は清水 澄菜すみな

2人は何度か会ったこともあり、優しい先生だ。

湊もこの先生だと知った時は安心したし、きっと美幸達がそうさせたのだろう。


「では自己紹介から。出席番号1番の赤崎さんから」

「はい、私は赤崎 鏡花きょうかといいます。刀を得意として使いますが、他の刃物もある程度は使えます。包丁以外は。それと、好きな食べ物は甘い物で特に三色団子が好きです。よろしくお願いします」


黒髪に黒い瞳だがすごくキラキラしており、腰には刀を持っている。

赤崎家と言えば有名な一家である。

代々退治師をやっており、歴史書にも赤崎家の名前が載っている。

それから次々と自己紹介がされていく。


「俺は高吉 勝弥かつや。中学の頃かっちゃんとか呼ばれててこっちでもそう呼ばれてくれた方が仲良しって感じがして好きなんでそう呼んでくれ!弓を得意としててな、当たる確率はまぁまぁだけど成長していく自信あるんで!よろしくなー!」


「僕は福山 悠弘はるみつ。好きなものは読書。主に使うのは銃。出来れば遠距離希望。以上」


「山谷 美春みはるです。えと、その、運動が得意ではないので、みなさんの治療や、情報を分析するトレーナー希望です。えっとえっと、よろしくお願いします…!」


湊は翔にとってこの人のタイプは苦手なタイプ、いけるタイプと分けていく。

やっていることはあまり評価されるような事ではないが、彼にとっては必要な事だ。

一応この学校の生徒。

2人だけではそのうちやっていけなくなるため、少なくとも友人は欲しいと考えている湊は、流石のブラコンのため、よく観察しながら聞いていた。

そうあれこれ考えているうちに、2人の番がやってきた。


「翔の分の紹介はボクがします」


そう言い、湊立ち上がるとクラスメイトはザワザワと喋り出した。

当然だ。

噂の2人、ミシュレルットの色を持つ目を宿した、実験施設オークション破壊計画の生き残りの2人なのだから。


「ボクらには名字はない。ボクは湊でこっちは翔。翔に用がある場合はボクに言ってくれると助かる。多少警戒心がなくなればそのうちボクを通さなくても仲良くはなれる。多分。みなさん噂で知っての通り、ボクらは妖気を得意としてる。好きなものは2人とも静かな空間で広い場所よろしく」


妖気、それは50人に1人という、まぁ珍しくもない力だが、彼らは実験体での生き残り、つまりは妖気の適正が高かった。

その分彼らは妖魔を退治するのに期待も大きい。

が、その期待に答えようという気はない。

妖魔退治を将来の仕事としてはいいとは思うが、数ある選択肢の一つとしてしか考えていない。

じゃあなぜ妖魔退治を専門とする学校に来たのかと言うと単純にここしか湊と翔が生きる上で1番合っていなかったからだ。

湊の発作と翔の人間恐怖。

その対処が1番うまく対処できるのがここ、南半海高校だった。

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