終章 昭和テニスマンと妖精の純愛もクライマックス! 苫小牧旅情&グルメ編!
~ 小武海戦終了 激戦の末6-8で敗れる ~
小武海戦後は、負け審のあとに、澄ちゃんの2回戦を見て(8-2だった)、しばらくしたら日没でシングルス初日の競技が終了したので、一旦ホテルに帰って、シャワーを浴びて食事に出た。
午後6時。夜の帳が降りつつある。だけど、ほかに選択肢もないので、歩き回ったりはせず、
「昨日行った『ごはんドキ!』でいいか」「そうね」ってことになった。
「俺は、野菜タンメンとかやくご飯にしようかな」
「それじゃ私は、豚ロース生姜焼定食にしよう。昨日裕が食べてて美味しそうだったから」
「はは、結局昨日のチョイスを入れ替えただけじゃないか」
「ほんとよね。それじゃ明日はさ、お昼に苫小牧の市場に行こう。食堂でホッキ丼食べられるみたいよ」
「おお、いいな。そうしよう。真司のお土産にホッキ貝買おうか」
「うん。お家の分も買っていこう」
食後は、例によってコンビニでプリンと杏仁豆腐、それと飲み物を買って、ホテルに戻った。僕の部屋でデザート食べながら反省会。
「今日は頑張ったけど惜しかったわね」
「うん。小武海はやっぱり強かったよ。試合中にしっかり修正してきたし、高校無敗はだてじゃなかったな」
「米山さんからブイコア2本貰えばよかったね。そしたら勝ってたかも」
「まあ分かんないけどな。ただ、やっぱり準備が足りなかったのは反省材料だな。2本あれば大丈夫って思ってたけど、このレベルになると全然足りないんだな」
「私も、試合のときは4本揃えてたわよ。まあ、それでも使うのは2本だったけどね。それにしてもカーボネックスには驚いたわ。会場も騒然としてたわよ」
「あはは、そうだよな。昭和からタイムスリップしてきたみたいだったろ? さすがにあれは厳しかった。最後の方はだんだん慣れてきたんだけどな」
「まあ、R22が2本あっても勝てたように思えないから、結果は同じだったわね」
「そうだろうな。なんか小武海も釈然としない様子だったし、あいつとはまた試合したいな」
「テニス続けるなら、この先何度も対戦することになるわよ。とりあえず、初戦は6-8で負け。気持ちとしては引き分けだけどね」
「ははは、リザルトに『惜しかった』とか『ラケット折れた』とか残らないから、負けは負けだよ」
そしたら、杏佳が、食べ終わったプリンのカップをレジ袋に仕舞いながら、
「それじゃ、私お風呂入ってまた来るね。今夜は朝まで抱き合って一緒にいよう」って、サラっと言ってきた。
思わず「‥‥‥いいのか。その時が来たのか?」って聞き返したら、杏佳は、
「うん。そう、来たの。今日見ててね、この人、私がいないとだめなんだなあって、思ったの。ちゃんと全部私のものにして、傍でずっと見てないと、危なっかしいなって。そういうのって、一時の激情じゃなくて、もっと穏やかで安定した気持ちでしょ? 裕に夢中で恋してたのが、少しずつ『愛情』に変わりつつあるのよ」って、柔らかい微笑みを浮かべて、僕に諭すように伝えてきた。
「だけど、俺、今日勝てなかったし、ドジも踏んだし、かっこ悪かったぜ」
「そんなことないよ! すごくかっこよかったよ! ほんとにコートの主役だったよ。ブイコアなくなっても、なんとかしようって、諦めずに食らいついてたじゃない。だから、判官びいきかも知れないけど、小武海君よりずっと声援が多かったんだよ。最後は綺麗に散っちゃったけど、見てる人みんなが感動してたよ。澄香だって顔覆って泣いてたよ」
「そうか。じゃ、まあ、師匠の教え通り、いい負けっぷりだったんだな」
「そうだよ。見てた人、みんな実は裕の方が強いんじゃないかって、またこの二人の試合見てみたいって、きっとそう思ったわよ」
「そう言ってくれると、ほっとするな。真司にも師匠にもちゃんと報告できそうだ」
「そうよ。帰って、堂々と報告しよう」
僕は、「うん、そうだな。‥‥‥だけどな、俺の中では、他の誰でもない、もう圧倒的にお前が一番なんだぜ。お前になんとか恩返ししたいって、諦めたら絶対だめだって、そればっかり考えてたんだ。自分のためだけにやってたなら、ブイコアなくなった時点で諦めてただろうな。強さってさ、自分一人じゃ、限界があるんだよ。お前がいてくれたから今日はいい勝負できたんだ。もう、なんと言っていいのか、感謝してもしきれないくらいに思ってる」って言ってから、一呼吸おいて、
「杏佳、ありがとうな。この世界の中で偶然お前と出会えて、本当に幸せだった。お前との時間は、俺の人生の大切な宝物になったよ」って言いながら真っすぐ杏佳の眼を見て、穏やかに微笑んだ。
そこまで言ったら、杏佳が「うー」って顔をくしゃくしゃにして、僕に抱き着いて胸に顔を埋めてきた。僕は杏佳の栗色の髪と背中を撫でながら、
「はは、杏佳、ありがとう。この先俺がどうなるか分からないけど、お前と一緒にいることだけは確かだ。これからも俺を支えてくれ。そして、今日、お前を完全に俺のものにしよう」って耳元でささやいた。
杏佳は、「うー」って泣きながら、僕の胸の中で必死にコクコク頷いていた。
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6 僕は、お風呂に入って、丁寧に体を洗い、あがってから歯を磨いて、パジャマ替わりのボクサーパンツ一丁になって、ニュースを見た。まだ来ないな。まあ、きっと女の人はいろいろ身支度があるんだよな。
10分くらいニュース見てたら、ドアのとこでピンポンが鳴り、覗き窓から見てみると、杏佳が、「来たよー。開けてー」って言いながら覗き込んでいた。
ロックを解除してドアを開けると、裸足の杏佳が何も言わずに僕の胸に抱き着いてきた。白Tシャツ一枚で、ショートパンツも履いていない。栗色の髪はストレート。ああ、いい匂い。髪も洗って来たんだな。
僕はひとしきり杏佳の髪と背中を撫で、それから手を離して、しゃがんで杏佳の目線と合わせ、
「杏佳の身体を見てみたい。隅々までちゃんと見たい」ってささやいて、Tシャツの裾に手をかけた。杏佳は俯いて、
「うん。すごく恥ずかしいけど‥‥‥裕ならいいよ。ちゃんと全部見てね‥‥‥」って応え、両手をあげて手伝ってくれた。ああ、やっぱりブラはしてなかったんだ。杏佳はTシャツを脱ぎ、小さな白いショーツ一枚だけになった。
「‥‥‥どう? 私の身体」 杏佳が、真っ白な顔から肩から胸まで全部紅に染めあげて、目をつぶって横を向き、僕に尋ねてくる。
「いい、すごく。期待をはるかに上回ってる。肩幅があって、ウェストがキュっと締まってて、手足が長くて、だけど白くて丸くて大きな胸が輪郭からはみ出してて、ちょっとこの世のものと思えない。なんかアニメのフィギュアみたいだ。こんな素敵な身体が俺のものになるなんて、すごく幸せだな」
「そう、よかった。嬉しい。裕が気に入らなかったらどうしようって心配してた」
「気に入らないはずないだろ。他の女の人の身体見たことないから分かんないけど、お前、ほとんど究極レベルのスタイルだと思うぞ。きっと尚さんにも勝るとも劣らないと思う」
「それは言い過ぎだよー。さすがにあそこまでじゃないよー」
「いや、いい勝負じゃないか。お前、ボディメイクの選手に転向しても、相当いけると思うぞ。身長別の種目も多いし、やってみたらどうだ?」
「ふふ、そんなこと言われると、なんかその気になっちゃいそうね。ちょっと考えてみようかな。でもね、私、今が一番綺麗な身体なんだからね、ちゃんとよく見て覚えておいてね」
そう言って、杏佳は僕の顔を両手で優しく挟んで、裸の白い胸にそっと埋めてくれた。ああ、柔らかくて暖かいな。杏佳の胸がトクトク言ってるのが伝わってくる。
杏佳は、僕の髪を撫でながら、
「ねえ、今、私がドキドキしてるの聞こえる? やっぱり初めてだから緊張してるの‥‥‥。昨日、裕の見たじゃない? あんな大きなもの、ほんとに、ちゃんと、私の中に入るのかなって、すごく怖いの。私の、きっと小っちゃいし‥‥‥」って、か細い声で不安を吐露してきた。
「大丈夫、無理することないさ。もし今日だめそうなら、また機会を改めればいいよ。俺、それまで待つからさ。必ずいつか、ちゃんとできるよ」
「うん、そうだね。裕がそう言ってくれると気持ちが落ち着くな。‥‥‥じゃあ、まずは、今日頑張ってみるね」
「うん、そうしよう」と僕は応えて、杏佳をヒョイとお姫様抱っこして、ベッドまでエスコートした。杏佳は僕の首に手を回してしがみついている。胸と胸が合わさって、柔らかくて暖かいな。
僕は、杏佳を白いシーツに優しく横たえ、少し灯りを落として、しばし素敵な身体を鑑賞させて貰った。
杏佳は、少し腕を開き気味にして伸ばし、脚はわずかに片方の膝を上げている。横たえても、陶器のお椀を伏せたような白く大きな乳房はきちんと高さを保っている。薄紅色の先端がとっても綺麗だ。そこから、細いウェストに向かってサイドのラインが絞り込まれ、ウェストからは腰に向かって優美な曲線が描かれている。
白い太腿の間から向こうが見えるか見えないかくらいの絶妙なバランスがなんとも言えずいい。
とはいえ、いつまでも鑑賞していたら悪いよな。杏佳が横向いて真っ赤になって待ってるんだもんな。
‥‥‥あ、だけど、大事なこと聞くの忘れてた。
僕は、薄い掛布団を杏佳にかけて、僕も横に潜り込み、裸の杏佳をそっと胸に抱きしめた。すべすべしていて、暖かくて、気持ちいいな。
「そうだ、杏佳」
「何?」 杏佳が、頬を赤く染めて、薄目を開けて僕を見上げてくる。
「今日、ゴム持ってきてないけど、大丈夫かな」
「うん、大丈夫。ちゃんと調べて来たから。今日は安全日みたい。それにお母さんにアフターピル持たされたの」
「なんと。お母さん、そんなことまでしてくれたのか」
「そう、私たちのこと、心配してくれてるし、応援もしてくれてるのよ」
「そうか。それなら安心だな」
「うん。それにね、裕もそうだろうけど、私だって、裕と初めてするのに間にゴムが挟まったら嫌だもん。ちゃんと裕を私の中で全部受け止めたいもん」
「そうだな。俺も最後まで一つでいたいな」
杏佳は、それを聞いて、僕の胸から顔を起こして、首筋にキスしながら、耳元で
「もう私、落ち着いたわよ。覚悟できた。さあ、裕、大人への最後の階段、手を繋いで一緒に昇ろう」ってささやいて、僕のボクサーパンツにそっと触れてきた。
僕も、杏佳を強く抱きしめ返し、杏佳を僕の下にして、
「ありがとう。それじゃ、ちょっと勿体ない気もするけど、そろそろ頂きます」って言って、杏佳のピンクの唇に口づけたら、杏佳もそれに強く応え、僕の背中に腕を回してきつく抱きしめてきた。
そして、僕は、杏佳の白いショーツに、そっと手をかけた。
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7 そうして、その夜、僕と杏佳は無事に結ばれた。
杏佳は、小さな身体の中に、僕を、優しく、そして深く受け容れてくれた。
杏佳の中はとても柔らかく温かで、まるで僕の身体と心の全部が杏佳に深く埋没しているような、夢みたいな気持ちで満たされた。
僕と杏佳が一つになったとき、杏佳が静かに涙を流しているのを見て、思わず、
「杏佳。痛いのか?」と聞いたら、
「うん、痛いんだけど、身体が裂けそうなんだけど、でも嬉しいの。裕と一つになれて幸せなの。それで泣いてるの」と、無理に笑顔を作って、僕の胸に顔を埋めてきた。
これは早く終わらせないと可哀想だな。と考えるまでもなく、深い埋没と耽溺に長くは耐え切れず、僕が「杏佳、今、お前と溶け合うぞ」と声を掛けると、杏佳も「うん、いいよ。きて。全部、私の中で」って僕の顔を見上げてきた。
僕は杏佳の瞳を覗き込んだまま「うっ、くっ、杏佳‥‥‥」と呻きながら、杏佳の中心に僕を放出した。何度も何度も、僕を杏佳の中に注ぎ込んだ。
杏佳も、背中を大きく反らせて「ああ、裕! 愛してる!」と言いながら、狂おしく僕の首にすがりつき、僕の全てを受け止めてくれた。
そうして僕が果てた後も、どうしても離れがたくて、僕と杏佳は身体を合わせたまま、じっと見つめ合っていた。
「ねえ、裕」と、杏佳が上目遣いに聞いてくる。
「何?」
「私の身体、変じゃなかった。ちゃんとできた? 気持ちよかった?」
僕が、「うん、とても。中も外も、杏佳の身体はすごく素敵だった。天国のような心持だった」と、きっぱり力強く答えると、杏佳は、ぱっと破顔して、
「よかった。満足してくれて。嬉しい」って言いながら、キュって抱き着いてきた。
「少し時間かかるかも知れないけど、杏佳も気持ちよくなるといいな」
「そうね。ちょっとずつね。‥‥‥ねえ、裕。まだ出ないで。しばらくこうしてて」
「うん、そうしよう」
「私ね、まだ18年しか生きてないけど、今ここで死んじゃっても、愛する人と結ばれて、すごく幸せな一生だったって、胸張って言えるよ」
「ははは、死んじゃだめだ。お前がいなくなったら、俺は生きていけないぞ」
「私だってそうよ。裕をなくしたら、死んじゃうんだから」
「そうだな。俺もそのくらいの気持ちだ。杏佳、俺は、本当にお前を愛している」
「裕、私もよ。‥‥‥心から愛してる」
そう言いながら、杏佳は僕の首に真っ白い腕を回し、僕も杏佳をきつく抱きしめ、繋がったまま二人で延々と長く深い口づけを交わすことになった。
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だけど、しばらくして、少し落ち着いたので、本当に名残惜しいけど静かに身体を離した。そして、お風呂にお湯を張って、二人で汗を流し、石鹸でお互いを綺麗にしてあげた。
お湯で濡れて光る杏佳の白い肌と胸は、桃色に上気し、本当に艶めかしく、美しかった。そうか、たった今、少女から女に昇華したんだもんな。
それから二人でベッドに潜り込んで、あれこれと夢みたいな寝物語をしていたんだけど、そのうち僕がまた元気になってしまったので、杏佳が、「うん、いいよ。また入ってきて‥‥‥」とささやいて、まだ痛いだろうに、再び僕を優しく体内に導いてくれた。
僕が再び果てた後、僕は杏佳を綺麗に拭いてあげて、薄い掛け布団を掛け、杏佳を胸に引き寄せて、二人で裸のまま抱き合って眠った。胸の中の杏佳は、小さくて柔らかくて、迷い込んできた白い小鳥みたいに思えた。
愛おしいな。大切にしていこう。
やはり二人とも一日中活動して、疲れていたのだろう、ほどなく深い眠りに落ちていった。
今回はタイトルに偽りなし。二人の恋が成就してよかったです。
しかし、これはR15でいいのか、R18じゃないのか? という疑問はないではないですね。
だけど、それじゃ、読者様のうち結構な数がいるはずの、男子高校生が読めないじゃないかーっ! この回、魂込めて書いたんだよーっ! ここまで読んでくれたみんなに読んで欲しいんだーっ! ってことで、R指定は変えずに掲載致しました。通報だけは勘弁して下さい。まだこのお話続くんです。
それにしても、動画も画像もいくらも世に溢れている昨今、村上春樹さんなんか大変お上手ですけど、この「活字によるお色気」って、なんか抗しがたい魅力がありますよね。これ、なんなんだろう? 想像の余地がある分、広がりが無限大なんでしょうかね。
それではみなさん、また明日。次は苫小牧旅情編ですよ。
小田島 匠




