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【書籍化】ソロ冒険者レニー  作者: 月待 紫雲
続:二号店の話
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冒険者と仮装

「酒場ロゼアの二号店、喫茶酒場ロゼアが出店されましたぁー!」


 わーパチパチパチ。


 と、フリジットが拍手が応接室に響く。それにルミナが「おぉー」と反応し、拍手を重ねる。


「それは、おめでとう」


 レニーは端的にそう返した。


「ありがとうございます!」


 両手を合わせて弾けるような笑顔を返すフリジット。どこからか紙を取り出し、テーブルに置く。

 どうやら二号店の宣伝用のビラのようだった。


「ハロウィーン仮装イベント?」

「そう! オープニングセレモニーに重ねる形で仮装イベントをします」

「トリックオアトリート……でお菓子がもらえる? なんだこれ」


 レニーの疑問にフリジットは腰に手を当て、説明を始める。


「他の地域で開催されている収穫祭を真似たイベントです。その地域では先祖の霊が帰ってくるとされている時期に悪霊も一緒にやってくると信じられているとか。それで、悪霊の仮装をして悪霊にばれないようにするための仮装をするのです」

「このトリックオアトリートっていうのは?」

「子どもが仮装してお菓子をもらって回る、らしいのだけれどそこまではできないので仮装は私たち、お菓子をもらうのはお客様に、という形にします」

「ふーん。子どもが悪霊の仮装をするから、その悪霊を追い返すためのお菓子、という口実でお菓子をあげるイベントっていうわけか。で、再現はできないからただの合言葉にすると」


 サティナスにそのハロウィーンという習慣はない。子どもがこのイベントのために仮装してくれることもないだろう。


「そういうこと〜」


 フリジットは楽しげに人差し指を振る。


「なるほど。じゃ、がんばって」

「いやいや何流そうとしてるのレニーくん。君も、ルミナさんもやるんだよ、か・そ・う。ふたりとも顔がいいんだから客呼び込めるだろうし」

「そういうってことはフリジットもするんだよな」

「もちろんでーす」


 なんだか既視感のある流れだな、とレニーは思う。ギルド所属なのでこういうのも仕事になってしまう。とはいえ、嫌いではないのだが。


「報酬は?」

「基本報酬は通常の依頼とさほど変わらないけど売り上げ次第で上乗せされるし、まかないが出るからお得だよ」

「まかない……じゅるり」


 ルミナが力強く頷く。食べることが好きなので、納得の反応だった。

 命がけの依頼ではない上、普段世話になっている酒場のまかないを食べれるとあれば、得のほうが大きいだろう。


 断る理由はない。


「で、なんの仮装すればいいのさ」

「それは当日のお楽しみ。今日は採寸だけしてもらいます。お店に行って」

「今から?」

「今から。予定空いてるでしょ?」


 もともとフリジットから時間を空けるように言われていた。そも、予定が入ったらその日はだいたい依頼は入れないのだが。


「ぴったりの服をつくってもらいます。善は急げ、行きますよー」


 ビラを持って拳を突き出すフリジット。外に向かうフリジットに、ルミナもレニーもそれに続くことにした。

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