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俺の彼女は都合が悪くなると「別れるから」と脅してくるので、本当に別れてみた  作者: ヨルノソラ
本編

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7/29

男のツンデレは需要がない

 翌日になった。

 昨日、妹から明日香と友達になるようお願いをされた。


 別れた相手と友達になる。

 なんともシビアな要求だ。いくら妹からのお願いとはいえ、今回ばかりは叶えられそうにない。


 とはいえ、少し冷たく当たり過ぎている節はある。


 次に明日香が顔を見せてきたときは、ちょっと対応を変えてみるか。


「…………」


 しかしそんな俺の思いとは裏腹に、

 朝の休み時間、昼休み、放課後になっても明日香は顔を見せなかった。


 昨日はなんだかんだ顔を合わせていたのにな……。

 今日に限っては一度も明日香を視界に収めていない。


「(……別に、いいことじゃないか。明日香が俺に執着するのを辞めたわけだ。俺の言葉が明日香に通じたのだろう。わざわざ新しいカノジョを作るまでもなかった。願ったり叶ったりな展開だ)」


 なのに、どうしてだろう。

 謎の焦燥感が俺を襲ってきていた。


「よっ、ヒロト」

「……高瀬」


 教室の掃除を終えて昇降口に着くと、悪友たる高瀬が壁に体重を預けていた。


 わざわざ待っていてくれたようだ。


「一緒に帰ろ」

「ああ、うん」


 軽薄な表情の高瀬。

 俺が生返事をすると、高瀬は白い歯を覗かせた。


「よかったじゃん、ヒロト」

「よかった? なにが?」

「今日、明日香ちゃん一回もヒロトの前に顔出してこなかったからさ。すげぇヒロトに未練たらたらなんだと思ってたけど、意外とすぐ割り切れたんだね」

「……そう、みたいだな」


 明るい口ぶりの高瀬とは対照的に、俺の声からは覇気が消えていた。


 上履きからスニーカーに履き替え、昇降口を後にする。高瀬はチラリと俺を視界に収めると。


「……寂しい?」

「は? そ、そんなわけない。馬鹿なこと言うなよ」

「そう? ならいいけど」

「…………」


 俺は下唇を強めに噛む。


 なに、強がってるんだろうな、俺は。


 もう自分で自分が意味わからないんだ。


 昨日は、明日香が俺に接触を図ってくることを疎ましいと感じていた。

 別れたのだから、その自覚を持ってほしいと思っていた。


 でも、こうして一日通して明日香と顔を合わせず、声も聞かないと、不思議な虚無感が襲ってきた。ホント、訳わかんな……。


「四組の子から聞いたんだけどさ、明日香ちゃん、今日、風邪で学校休んでんだって」

「そう、なのか」


 知らなかった。

 もっとも、彼氏でない俺が明日香の体調を知る由もないけど。


「お見舞いに行ってあげたら? 彼氏じゃないとお見舞いに行っちゃダメなルールとかないしさ」

「……い、行かないよ。元カレがお見舞いに行くとか一番意味わかんないだろ」


 俺はプイッとそっぽを向くと、吐き捨てるように言う。


 高瀬は呆れたように吐息をこぼすと。


「そうかな。俺なんか、元カノが風邪引いたら、速攻でお見舞いに行くけどね」

「それはお前が特殊なだけだっての」

「ま、それもそーか。てか、デートの約束あるんだった。わり、先いくな」

「え、ああ、おう」


 高瀬はスマホに一度視線を落とすと、足早に正門を抜けていった。


 俺はパタリとその場で足を止め、雲で太陽が隠れた空を見上げる。


「お見舞いなんて行くわけない……」



 ★



 お見舞いなんて行くわけない……。


 つい数十分前にそう宣言したはずなのに、俺は明日香の家の前にいた。


 といってもあれだ。家の方向が同じなのだ。

 我が家を目指していれば、自然と明日香の家の前には通ることになる。


 たまたまスポドリとゼリーとスイーツとアイスが食べたい気分だったからコンビニで買い込んだが。


 もちろん、他意はない。


「……って、ツンデレかよ俺」


 我ながらひねくれた思考回路をしている。男のツンデレなんてこの世で一番需要がないのにな。


 はぁ、馬鹿らし……。やっぱり帰ろう。


「あら、ヒロトくん?」

「……ど、どうも」


 お見舞いは諦めて帰ろうとしたときだった。


 見た目は二十代後半くらいの大人の女性と目が合った。

 明日香とよく似ているが、雰囲気はまるで違う。おっとりとした優しい口調をしている。


 わざわざ説明しなくても良いと思うが、この人は明日香のお母さんだ。


「もしかして明日香のお見舞いに来てくれたの?」

「あ、いや、そんなつもりは!」

「嬉しいわ。明日香も喜ぶと思う!」

「え、えっと、だからお見舞いに来たわけじゃなくて」

「ほら入って入って。遠慮しなくて良いんだから」

「ちょっ、ひ、引っ張らないでください」


 明日香のお母さんに連れられて、半ば強引に家の中に連れていかれる俺。


 完全に自業自得だけれど、俺、元カノのお見舞いに行くことになりそうだ。


 どう、しよう。

 心の準備できてないって……!

明日は、12時過ぎと20時過ぎに更新予定です。

お時間ありましたら、読みにきてください。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] つーか主人公以外異常者しかいねえのかこれ
[気になる点] >元カノが風邪引いたら、速攻でお見舞いに行くけどね 異常者じゃん… [一言] 相談しなかった主人公も悪い、だから復縁する方向で後押しする、という友人キャラに異常性が見えると、それに流さ…
[気になる点] 意地っ張りで頑固もんだと思ってたから、あと数話くらいはヒロインを突き放してる描写が続いてほしさはあった。 こじつけでヒロイン気になるかも…みたいな風にはしてほしくない。今回の導入はちょ…
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