表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
116/117

間話「愛」

 ホロは、目を覚ます。

 体に違和感はあるが、痛みはない。


 スクイの魔法を側で受けた後遺症か。

 いくつか、スクイと同じくらいだろうか。


 歳をとっている。


 とはいえ。


「やっぱり」


 気づいていた。

 スクイは魔王の狂気に侵され、その狂気を暴走させられ、世界を滅ぼそうとしていた。


 だが、その中で。

 彼の中に消えなかったものがあったことに。


「殺さなかった」


 スクイは、ホロを生かした。

 それは、魔王と戦う前に逃したのと同じ。


 自分を遠ざけるため。


 最後に辛辣な言葉をかければ。

 自分を忘れて。


 1人で生きていくと。


「自分がいなくなって、幸せになれると」


 それがスクイの望んだ顛末で。


 もしホロが後を追うようなことを言わず。

 魔王を引き継がせる恐れがなければ。


 スクイはホロに、殺されようとしていたのかもしれない。

 あるいは魔王にならずとも、そうして。


 自分を悪人にして、ホロに功績を与えて死ぬことが。

 彼の計画の1つにあったのだろう。


 いずれにせよ、彼はどこかでホロの元を去るつもりで。

 それまで、育てるだけのつもりで。


 ホロのスクイの隣に一緒にいたいという想いは。

 叶わない。


「勝ち負けで言えば」


 戦いの結果は些細なことである。

 戦いは、お互いの譲れない何かのために起こる。


 スクイはホロの独り立ちという目的を。

 ホロはスクイの隣に一緒にいるという目的を。


 戦闘結果がどうあれ。

 最後に生きていたのがどうあれ。

 目的を果たせなかった方の負けであり。


 さらに言えばスクイと世界を救いたかったサルバと。

 世界を救う想いを託せる相手を見つけ、信仰する死に救われたスクイもまた。


 同じことが言えるのかもしれない。


 それを踏まえて。


「私の勝ちです」


 ホロは、手に持ったナイフを。

 自身の喉元に深々と突き刺した。


 スクイを忘れて。

 育ててもらった能力と作られた居場所で。


 幸せに過ごす。

 それが、ホロを救いたいと願うスクイの望みで。


 それを叶えることを、ホロは拒絶する。


 せめて、スクイより先に死ぬ。


 声の出せない死に際で。

 ホロは気づき、笑う。


 生も死も、くだらない。

 愛に比べればそんな物。


 取るに足らないことなのだと。



次回最終話

本日更新

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ