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かんざし

いよいよ街探索回です!

ショッピングメインになっていますが、シュウさんの強引さに花夏は…?

ニヤニヤしていただけたら嬉しいです!


日々更新チャレンジ達成中です!(2020/9/2)

※3点リーダ等の微修正を行いました(2020/10/19)

 ホカホカになった花夏がタオルで髪を拭きつつ風呂場から出ると、先ほどまで爆睡していたヤナが起きていた。ハルナは、ぱっと見たところいないようだ。部屋にでもいるのだろうか。


「あ、カナツ、それお母さんの服でしょ!」


 やはり、ヤナ的には他人が亡き母の服を着用するのは嫌なものだろうか?


 花夏が不安になっていると、ヤナがぱあっと笑顔で花夏に抱きついてきた。頭が胸の下辺りまでくる。ヤナは、花夏の腰にぎゅっと抱きついたまま、可愛らしく顔を上げた。若干、興奮気味だ。


「カナツ、似合う! かわいい! 赤いいね! うーんこの肌触り、懐かしい!」


 顔を服にすりすりしている。


「ヤ、ヤナ」

「ヤナもお母さんの服着たいけど、まだまだ小さいでしょ? あー羨ましい! カナツってすらっとしててスタイルいいし、まあ若干胸のところは余り気味だけどまだ15だもんね!これからこれから!」


 褒められているのかけなされているのか、いまいち分からない。


「カナツちゃん、15歳なんだね」


 シュウが声をかけてくる。


「4月が誕生日なんだよ! そしたら大人の仲間入りだね!いいなぁ~」


 余程服の触り心地がいいのか、くっついたままのヤナが言う。


「16歳から大人、なの?」


 シュウが腕を組みながら頷く。


「この国では16歳が成人だね。大陸の真ん中にあるダルタニア王国なんかは、18歳が成人だよ」

「国で違うの?」

「うん、この辺りは人口が比較的少ないのもその理由のひとつだね」

「へえー……」


(労働人口を増やすってことかな? 国によって違うなんて、不思議だな)


 ああ、でも花夏の世界でもそれは一緒か。隣り合った国がないから、なんか不思議な感覚がするだけなのかもしれない。


 シュウが、ヤナがひっついた状態の花夏を上から下までゆっくりと眺めて、ふ、と笑った。


「うん、赤がすごくよく似合ってるよ。可愛いね、カナツちゃん」


 セリーナさんの事を思い出しているんだろうか。なんというか、少し寂しげなこの人のこういう表情はやっぱりちょっとかっこいいかも、とつい思ってしまう。


(……あれ、今どっちの言葉で考えたっけ?)


「カナツ……」


 ヤナが、ちょっと驚いた顔をして見上げてくる。


「お父さんの事、かっこいいと思うの?」


 しまった、やらかした。


「え、いや、うん、まあ、そうだね」


 否定したところで、ヤナにはお見通しなはずだ。観念して素直に答えた。


「ヤナ……カナツならいいよ」


 ポツリと言う。え、何が。


「カナツが新しいヤナのお母さんになるなら、ヤナも嬉しいな!」

「ば……何言ってんのヤナ!」


 お風呂上りのホカホカの体が、更に熱くなった気がした。


「へえー、カナツちゃん僕の事そんな風に思ってるんだ。嬉しいな」


 シュウがにやりとする。うわ、悪そうな顔。


「僕としてはもう少し大人な感じが好みだけど、でもすでにベースが出来てるもんね、カナツちゃんは」


 いいかも、と頷いている。いや、何言ってんですかシュウさん。


 シュウが、一歩近づいてきて花夏に顔を近づける。金髪の前髪がサラリと垂れ、同時に石鹸のいい香りがした。背が高いので威圧感がある上、とにかく近い。一歩下がろうとしたが、ヤナがくっついていて動けない。


「カナツちゃん、成人したら僕と結婚する?」


 結婚、という単語は先程話の中に出てきたから覚えたばかりだ、恐らく、意味は間違って理解していない。いない……が、随分とさらっと言う。さらっとそんな重要な事を言わないでほしい。


「シュ、シュウさんいくつなんですかっ」


 花夏は、できるだけ体を後ろに引いてみる。無駄だった。シュウが横に回り込んできた。


「僕?32」

「私の倍じゃないですか!」

「やっぱり少し離れすぎかなぁ?ダメ?」


 少し悲しそうな表情をして、首を傾げる。また、そういう顔をする!


「ヤナ、カナツがいい!」


 ヤナが途中で割り込んで来るから余計に始末が悪い。だが、ここを譲ったらいけない、気がした。


「ダメ!ダメです!」

「「えー」」


(ハモるなそこの親子!)


「カナツちゃんならヤナのいいお母さんにもなりそうだし、これからの成長が楽しそうだし……」

「カナツがいいカナツがいい!」


(なんか、追い詰められてる……!)


 すると、ふたりの勢いにたじたじとなっている花夏の背後から、救いの声がした。


「ふたりとも、何やってるんだい? カナツが困ってるみたいだが」


 2階の部屋から出てきたハルナが、トントンと螺旋階段を降りてきた。


――ああ、天の救い。


「ハルナ、助けて」


 カナツが涙目でハルナに助けを求める。そんなことは全く気にせず、ヤナは好き勝手話し始める。


「カナツがね、お父さんの事かっこいいって言うから」

「言ってない! 思っただけ!」

「お父さんが、カナツが16になったら結婚しようかってさっき言ってね」

「無理! 無理無理!」

「でもヤナ、カナツがいいな」

「僕もカナツちゃんなら」


(ああそこ、畳みかけないで!!)


「今日、会ったばっか!!」


 顔を真っ赤にして半泣き状態の花夏の顔をじっと見て、ハルナがポン、と手を叩いた。


「成程、それはいい考えだね」

「ハルナ――!!」


 暖かい光が差す居間に、花夏の怒鳴り声が鳴り響いたのだった。







 ハルナとシュウに「ごめんごめん」と笑われながら謝られた後、シュウがヤナを抱っこして聞く。


「ヤナ、今回は町に来てみてどう?うるさいかな?」

 

 本気で花夏を母親として迎えたかったのか、まだふくれっ面のヤナのご機嫌を取るかのように優しく聞く。ヤナは、父親の腕の中で『そういえば』という表情だ。


「気づかなかったけど、静かだよお父さん」

「それはよかった」


 やはり、花夏効果だろうか。恐らくそうだろう。またひとつ実証された訳だ。


「それなら、折角来たんだし、みんなで買い物にでも行く?お父さん、何でも買ってあげるよ」

 ただ、とシュウが続ける。


「カナツちゃんの側に必ずいること。いいね?」

「……カナツがヤナを守るってどうして?」


 接触してるからか、声に出さなかったシュウの言葉はヤナには丸聞こえのようだ。ならまあ隠しても仕方ない。


「カナツちゃんは、ヤナから出ちゃった多い魔法を吸い取ってくれてるみたいなんだ。だから、カナツちゃんといたら、余計な声は聞こえないと思うよ」

「? よく分かんないけど、カナツといればいいんだよね、分かった!」


 ハルナが声をかける。


「シュウ、私は必要な物を買い出したいから、そっちはそっちで買い物を楽しんできてくれるかい?」


 3人は、ここにずっといる訳ではない。その方が効率もいいだろう。シュウは素直に頷いた。ハルナには申し訳ないが、久々のヤナとの時間はとても貴重なのだ。


「分かりました。じゃあ、ヤナ、カナツちゃん、行こうか」

「わーい」


 ヤナが花夏の手を握ってはしゃぐ。機嫌はすっかり元通りだ。花夏も先程は焦ったが、あれはただからかわれただけなのが分かって今はもうすっかり落ち着いている。


「はい」


 こうして、花夏がこちらの世界に来て初めての街探索が始まった。

 







家から少し城の方に登っていくと、道幅の広い並木道に所々に大小様々な大きさの店舗が並ぶエリアにたどり着いた。


 真ん中の道は、馬車や馬に乗った人たちが行き交う。車道部分は踏みしめられた土で出来ている。

 石畳の歩道側には、お店が立ち並んでいる。アクセサリーや可愛らしい服がお店の外にまで並べられていた。治安も良さそうだ。


 セリーナの事故の原因もそうだが、車道と歩道の区分けが進んでいなかったのがこの王都の事故率の高さに繋がるのでは、とサルタスが報告書をまとめて上に提言したことにより、あれから3年、街の歩道整備はかなり整ってきたという。


(サルタスさん、出来る男だなー)


 花夏は思わず感心してしまう。次いで、周りを見渡す。

 

 この辺りの店は、この街に入った時に見た『ザ・庶民』向けのお店とは一線を画していて、外観からしてなんとも小洒落た感じだ。お店の一軒一軒も、広さに余裕がありそうである。


 花夏は、なんだか表参道みたい、と思った。行ったことないが、テレビのクリスマスイルミネーションの映像とかでたまに見る感じだと、雰囲気は似てるかもしれない。


「この辺は、城勤めの人御用達のお店が多くてね。結構いい物が揃ってるよ。セリーナも好きだったなあ、この辺」


 つまり、少しお高め設定ということなのだろう。人はそこそこいるが、全体的に広々としている為あまり混雑している様に見えない。


「ヤナ、これ欲しい!」

 子供服のお店の軒先で、ヤナが壁に展示されている服を指差す。淡い水色の綺麗なワンピースだ。レースが裾にあしらってある。


「かわいいね」


 隣で花夏がにっこりしている。あっちはどう? などとふたりでキャッキャしている姿を見て、シュウは久々に任務から解放された気がしていた。


「ヤナ、大きさが合うかだけちゃんと確認しないとだめだよ」


 そう言って、近くに控えていた店主に声をかける。


「この子に合う服を、数点見繕っていただきたいのだが」

「かしこまりました」


 髪の毛が若干薄くなった品のよさそうなお爺さんがシュウに一礼をした後、軽くヤナを眺めてから店の奥に向かい、すぐに5着程のワンピースを見繕ってきた。


 ヤナと花夏は、壁にかけられた服を見て、「おおー!!」とはしゃいでいる。


「ヤナ、どう?」


 ヤナが目をキラキラさせて言う。

「お父さん……! どれも可愛くて選べない……! お父さんならどれがいい?」


 日頃のあの質素な服ではそう思うのも仕方ないかもしれない。ハルナは、どうもその辺りの感覚が薄いのかいまいちヤナの服装にも無頓着で、女の子が好きそうな物が分かっていない感がある。興味がないのかもしれない。もしかしたら、セリーナの着道楽はその反動だったのかもしれない、とシュウは思う。十分、あり得る。


「店主、サイズはどうだろう?」

「少し大きめを選んでありますよ。この時期の子供の成長は早いですからね」


 1着を背中にあててみると、確かに少し余裕がありそうだ。


「では、全ていただこう」

「えー! お父さん、大好き!!」


 ヤナは大はしゃぎだ。うーん可愛い。店ごと買ってあげたくなってしまう。

 

 後ほど家に届けてもらう事にし、3人は店から出た。支払いは、明日にでも執務室に取りに来るだろう。シュウの顔はこの辺りではかなり知られているため、後払いも問題ない。


 辺りを物珍しそうにキョロキョロしている花夏に声をかけてみた。


「花夏ちゃんは何か欲しいものある?遠慮はいらないから」


 いいのだろうか? と考えてる風の表情をしている花夏。謙虚な子なのだろう、とシュウは思った。


「言ってごらん」


 そもそもお金も持っていないのは知っている。


「カナツも買おうよー」


(いいね、ヤナ。流石、僕の子)


 ヤナのナイスフォローに、シュウはにこりとする。


 花夏が、遠慮がちにおずおずと言った。


「実は、髪の毛をまとめる物が欲しくて……」


 髪の毛用のグッズは、こちらの世界に来た時につけていたヘアゴムが一つのみ。ヤナやハルナの様にリボン(ハルナに至っては紐だ)で結んではみたのだが、花夏の髪は何というかこしがあり、しばらく経つとスルスルとリボンが落ちてきてしまうのだ。


「こう、クルクルっと巻いて、ぐさっとさせる物が欲しいなと」


 【かんざし】という単語が分からず、身振り手振りも添えて説明する。そういう物は、そもそもあるのかも分からないが。


「あー、【かんざし】のことかな?」


 シュウが、指を2本立ててそれを頭に刺す仕草をしてみせる。


「それですそれです!」


 こちらのかんざしは、2本かんざしのようだ。1本のかんざしよりも安定感があるので、花夏もその方がありがたい。


「じゃあ、見に行こうか。すぐそこに1店舗あった筈だから」

「ヤナもなんか欲しいー」


 3人で連れ立って歩いていく。しばらく歩いた先の細い路地を右に曲がる。曲がってすぐに、こじんまりとしたお店があった。


 中に入ると、壁一面に所狭しと髪飾りが展示されている。


「うわあ~……」

「カナツ、これいいんじゃない?」


 さっそく、ヤナが物色を始める。ヤナが指差したのは、2本かんざしに長く揺れる飾りがついたものだ。


「うーん、髪の毛が邪魔な時に使いたいんだ。もう少し、シンプルなのがいいな」

「そうなの?うーん」


 ヤナは少し残念そうだが、目的はおしゃれではないため過度な装飾は不要なのだ。

 

 下の台に、木製のシンプルな簪を見つけた。


「そちらは3本セットでお買い得ですよ」


店主が声をかけてくる。


 多少個数もあると壊れた時に替えがあると助かるので、ありがたい。花夏は、それぞれ違う木なのか、赤っぽいもの、茶色いもの、グレーっぽいものの3本を選んだ。


「シュウさん、すみません、これがいいです」


 シュウが花夏の手元をのぞき込む。途端、あきれ顔になった。


「なんてまぁ、色気のない……」


 花夏にしてみれば、色気よりも実用性だ。髪の毛の扱いには正直困っていたので、これがあるだけでも全然違う。


「これでいいんです。水汲みの時とかに使いたいんです」


 それに、相手はヤナの父親とはいえ、今日会ったばかりの人だ。高いものをねだるのは、やはり気が引ける。会ったばかりでプロポーズされてしまったけど。


「うーん、まあ普段使いとしてはいいだろうけど……」


 そうだ、とポンと手を叩く。


「その服に似合うかんざしを、僕からひとつプレゼントさせてもらおう」


 そう勝手に決めて、嬉々として選び始めるシュウ。


(いや、お金払うのってどっちにしろシュウさんじゃ)


 選ばせろということだろうか。


 まだ一緒にいる時間は短くても、話を聞く限りシュウが結構強引なのは早くも分かってきているので、ここでごちゃごちゃ言ってもきっと聞かない。言いくるめられるのがオチだ。


(素直にいただこう)


 大人しく待つことにした。シュウはというと、先ほど花夏に声をかけてきた店主であろう中年の女性にあれこれと聞いている。女性店主がちら、と少し驚いたように花夏を見たのは何でだろう?


 女性店主が店の奥に消え、その間シュウはカウンターに片肘をついて待っている。後ろから見ても見るからに機嫌がよさそうだ。花夏の横では、ヤナがどれにしようかと悩んでいた。


 しばらくして、店主が店の奥から戻ってきた。手には、台座に載ったかんざしが3本。全て、宝石のような3~4センチくらいの大きな1粒の石が装飾としてついている。シンプルな作りだが、とても高価そうだ。

 

 シュウが花夏を手招きする。どれがいいかな、とひとつひとつ花夏の髪に当てて見比べ始めた。


「服に合わせて赤もいいけど、透明もキラキラしていいかな?あ、でもこの水色がいいな」

「あ、あの、シュウさん」


(それってすごい高い物では……)


 店に展示されていない時点でも高そうなのに、こんな大きな宝石、高いに決まってる。


「ちょっと、流石にそんな高い物は……」

「カナツちゃんは断っちゃだめだよ」


 さらっと躱されてしまった。


「シュウさん……」


 シュウは花夏の意見はまるっと無視して、店主に「これと先ほどのをいただいていくよ。お会計は執務室の方で」などと話を進めている。


「ヤナはこれー」


 とヤナが可愛らしいかんざしを1本持ってきた。


「お、いいねーヤナ。店主、こちらもいただいていくよ」


 店主にそう告げると、シュウはくるり、と花夏の方を向いて、水色の石がついたかんざしを花夏に差し出してきた。


「つけて」


(今……ですかシュウさん……なんて強引ですか……)


 もう、決定事項のようだ。断っても、もうこれ以上は相手に失礼だろう。花夏はそう覚悟を決めて、髪の毛をくるくるっとまとめ始めた。シュウの手の平に乗っているかんざしを手に取り、まとめ髪に差し込む。うん、これなら取れないだろう。


「店主、鏡を」


 店主が慌ててシュウに大きめの手鏡をふたつ差し出す。ひとつは花夏に渡し、もうひとつは花夏の正面に立つシュウが持って構えてくれた。


「はい、見てみて」

「あ、ありがとうございます」


 というか、鏡あったのか、この世界……。山にはなかったし。


 その事実に若干驚きつつ、自分の頭に付けたかんざしを鏡に映して見てみる。黒く艶っぽい花夏の髪に、その水色の石はよく映えている。シュウはかなり強引だけど、服といいかんざしといい、趣味はいい。


 シュウは花夏を見て、にこにこと笑う。


「カナツちゃん、似合うよ。ぐっと大人っぽくなったね」

「ありがとうございます、こんな素敵な物……」

「この水色、僕の目みたいでしょ?」


 そう言ってカナツの顔を覗く。そう言われ改めてシュウの瞳をじっと見てみると、確かに今花夏の頭に飾られているかんざしの石と近い色をしている。


「お父さん、まだ諦めてないんだね!」


 嬉しそうにはしゃぐヤナは、店主に先ほどヤナに買ったかんざしを付けてもらっている。何を諦めてないんですか、ヤナさん。というか、そういう……意図なのだろうか?いやいやいや。


「あ、あの」


 戸惑う花夏に、シュウは一言。


「もらって。これ、虫除けになるから」

「虫除け??」


 ふ、とシュウは笑って、それ以降はいくら花夏が聞いても教えてくれなかった。



 シュウがかなり強引に花夏にプレゼントをしたかんざし。その意味を花夏が知ることになるのは、まだもう少し先の話であった。



「さて、あとはどうする?」


 店を出て、ヤナと花夏に声をかけた。店の前では、店主が驚いた顔をしたままペコリと礼をする。


「どうしよう、花夏?ヤナはねー」


 などと二人で相談している。まだ、時間はかかりそうだ。


 こちらをまだ見ている店主と目が合った。シュウは薄く笑うと、店に背を向けた。


――明日には、執務室まで店から集金に来るだろう。きっと、噂をまき散らしながら。シュウがセリーナ亡き後、3年もの間浮ついた話の一つもなかった事は周知の事実だ。


(きっと大騒ぎになるな)


 王宮とは、噂好きの塊みたいなものだ。


 想像すると可笑しくて、シュウはつい顔が緩んでしまうのだった。



如何でしたでしょうか?

ただのおっさんだとセクハラになりますが、イケメン父ちゃんシュウさんだとそれが感じられない不思議…


次回も引き続き街にいますが、この後に繋がる重要回となる予定です!

明日(2020/9/3)更新予定です。

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