プロローグ〜闇の先へ
数年ぶりに思い立って物語を書き始めました!
これからどうなるのか…かんがえます!
※題名を若干変更しました(2020/8/24更新)。
※思っていることを、区別がつきやすいよう()に変更しました (2020/8/25更新)
何名かの方が読んでいただいているようで、とても励みになります!
お気軽にブックマークいただけると、とってもありがたいです!宜しくお願いします!
※行間の修正を行ないました(2020/10/09)
※半角、三点リーダなどの修正を行いました(2020/10/19)
【プロローグ】
すっかり暗くなってしまった。
急がねばまたお母さんに怒られる!
ゴムで一つにまとめた腰まで届く真っ直ぐな髪を揺らしながら、中学校のジャージを着て日が短くなった秋の暗い静かな住宅街を小走りで急ぐ。
川村花夏、15歳。
切れ長の大きな目は、なんだか猫のようであまり花夏は好きではない。もう少し垂れ目だと優しそうでいいのに、と、実は周りからは密かにクールビューティーと呼ばれていることを知らない花夏は思う。
猫より犬が好きなのにな〜
身長だけはグングン伸び、現在162センチになった。
成長途中のスラリとした体は細いが、弱々しくはなく凛としたイメージを見た者に持たせる。まるでしなやかな弓のようだ。
中学2年になって学区外へと引っ越したため、途中まで一緒に帰っていた友人とも少し前に別れた。
電信柱にかけられた『痴漢に注意!』の看板が電灯に照らさらて少し嫌な気分になる。
(そういえば、回覧板にこの間痴漢が出たから気をつけてって書いてあったってお母さん言ってたなあ……ヤダヤダ)
少し走るスピードを上げてみる。毎日ひたすら部活で走ってるから、もしかしたら走ってみたらマラソン完走もいけるかもしれない、などと花夏は思っている。
住宅街を抜けると小さな川にかかった橋があり、橋を渡ると脇に小さな神社がある。その先をあと3分ほどいけば、花夏の家だ。
神社は日中は小さな森の中の神聖な場所、に思えるが、暗くなってから見ると、なにか暗いものが潜んでいそうで正直ちょっと怖い。
真っ暗な川を横目に5メートルほどの短い橋を走り抜けようとした瞬間。
『ガササササ!!』
小さな川の脇に生えているボーボーの草むらから、大きな物が動く音がした。今は暗すぎて草むらもよく見えないが、かなり大きかった……と思う。
足を止め、橋の上から恐る恐る覗いてみるが、特に何も見えず、水が流れる音が聞こえるばかりだ。
(なんだったんだろう……熊? なわけないか)
一応首都圏と呼ばれるこの地域だ、外れとはいえ、そんな大型動物はいる筈がないし聞いたこともない。
(じゃあ、たぬきとか……? え、ならちょっと見たい!)
はやく帰らないと怒られるのはわかっていたが、元が細かいことは気にしない大雑把な性格だ。気になるのでそのまま耳を澄ます。
『……』
(ん? 何か聞こえる…たぬきの鼻息?)
少しだけ橋から乗り出して草むらを覗いてみると、なんだか先程よりも闇が濃くなっている気がする。
(……気のせいかな? でも、音したしなあ。カモとか? でももっと大きかったような気がするけどなあ。カモの親子でも居たのかな)
ふと見上げると、小さな森の中にうっすらと鳥居が浮かび上がっている。
なんだか別の世界に紛れ込んだみたいだ。急に背筋がゾワッとした。
「……帰ろ……」
長い髪を振って起き上がろうとしたその時。
『ミツケタ!!』
耳元のすぐ近くで、男の声なのか何の声なのか、判別がつかない不思議な声が響いた。
「え」
思わず川の方を振り返ると、目の前に闇が迫っていた!
「うわわわわわ!!!」
慌てて走ろうとしたが、闇から黒い触手のようなものが複数伸びてき、花夏の髪を掴んだ。後ろ、つまり川の方へと引っ張られる。
「いやだ、やだなにこれ! 離せ!キモい!」
手で自分の髪を掴んで引っ張り返すが、びくともしない。気持ちが、焦る。
(なんだこれ、なんでこんな黒いモジャモジャが出てるの!? ヤダヤダヤダー!!!)
闇から目をそらして前を向いた瞬間。
伸びてきた触手が花夏の体を包み、闇に放り込んだ。
(冷たい……!)
ヒンヤリとする感覚とぞわりとする感覚に襲われ、先ほどまで自分がいた場所を見ると、グングン離れているのか、どんどん星空が小さくなっていく。
沈んでゆく感覚に、助けを呼ぶことも忘れ、花夏は意識を手放した。
プロローグということで初回は短めですが、これから少しずつ話を広げていけたらと思います。
宜しくお願いします!