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地の守護者

「え?」

泣いていたことも恥ずかしかった事も頭から飛んで、いつの間にか私の足元に座っていたその子を凝視してしまう。


殿下も私の様子に気付いたのか、一緒に足元を見た。

「それは猫?」

「猫にしてはなんだか大きいような……」

大きさは成猫より少し小さいくらいだけれど、なんというか華奢ではない。四肢のし

っかりした感じが猫は猫でも大型の猫のようだった。


『地の守護者じゃないか』

アステルがさも当然という言い方で言う。

「地の守護者?」

殿下と仲良くシンクロしてしまった。


「ミャッ」

「か、可愛い」

アステルもそうだが、普通の鳴き声が姿にマッチしているのも相まって可愛すぎる。


殿下の手から離れ、猫の目線に合わせるようにしゃがむ。

「あなたは地の守護者様?」

「ミュ」

鳴きながら、私によじ登ってくる。腕の中にすっぽりとおさまった猫は、私に訴えかけるように

「ミャー」

と鳴いた。


「これって……」

『エレノアの考えている通りだ。名前をつけて欲しいそうだ』

「やっぱり。でもアステルがいるのにいいの?」

『大丈夫だろう。いずれ地の方も来るだろうとは思っていたからな』


「エリーに負担はないの?」

殿下が心配そうな顔でアステルに聞く。

『平気だぞ。おまえといるエレノアは更に気持ちのいい魔力になるしな』

「そうなの?」

『そうだ。恋をすると女は綺麗になるってやつだ』

「それは最高の言葉だね」

ハハハハと二人で笑い合っている。変な感じに気が合ったようだ。


私は真っ赤になっているのを自覚しながらも

「私が名前をつけてもいいの?」

猫に聞く。

「ミャア」


「そっか。そしたらうーんと……テーレというのはどう?大地という意味よ」

「ミャミャ」

嬉しそうに鳴いた猫は、アステルの時と同じように光り出した。

そして、再び左胸が熱くなった。


広場一杯に光った後、猫の額には魔法陣が浮かんでいて吸い込まれるように消えた。

多分、私の胸にはまたもや契約紋が刻印されているのだろう。


後日、王都で愛を誓い合った二人の愛が、奇跡の光を放って広場を埋め尽くしたと大きな話題になり、後に物語にまでなったのは少し先の話。


『エレノア、ありがとう』

とても可愛らしい声が聞こえた。

「こちらこそ、これからよろしくね。ふふ、やっぱりあなたは女の子だったのね」

「やっぱりって、どうしてわかったの?」

「それは……なんとなく?」


『本来、我らに性別と言うのはないのだがな』

「え?でもテーレだっけ?この子は明らかに声が女の子のようだけれど」

『まあ、本人の希望?』

「そんな理由?」

『聖獣なんてそんなもんだ。別に番を見つけて子をなすなんて事もないしな。本人が希望すればどちらかには寄るが、性別はないままだ』

「ふーん、なるほどね」


『私ね、ずっとエレノアに会いたかったの。頑張って探してやっとあなたの居場所がわかったの。だからとっても嬉しいの』

「私も嬉しいわ。こんなに可愛いお友達が増えたんだもの」

そう言うと、とても嬉しそうに「ミュ」と鳴いて、テーレは私の胸に再び飛び込んだ。


アステルとは違うふわモコに、思いっきり撫でまわしてしまった。


「これで、天地両方の守護者がエリーの手元に来てしまったね。これには何か意味があるのかな?」

『さあな、我は魔力の心地良さを求めただけだし』

『アタシもそう』

「そっか。まあ、何かあるのだとしても、エリーの事は私が全力で守るだけだけど」


 テーレを連れて屋敷へ帰ると、エルもお父様も城から戻って来ていた。

私の腕の中のテーレを見てエルは

「今度は何を拾ってきたの?」

そう言って中を覗き込む。


「猫ちゃんよ」

「猫?これ猫?」

『アタシ、虎よ』

「あー喋っちゃってる。って事はまた?」

「エルの考え通りだよ。彼女は地の守護者だそうだ」

「天地揃っちゃったの?ってか、ルーク殿下がどうしてエリーと一緒にいるのさ」

「それはエリーとデートしていたからね」

「デート!?」

今まで黙って聞いていたお父様がいち早く反応した。


「ああ、そうだ。宰相殿、大事な話があるんだ」

「嫌です」

「まだ何も言っていないじゃないか」

「何も言わなくて結構。嫌です」


そこへお母様がやって来てお父様に優しく言う。

「ブレイク、お話だけでもきいてあげて」

「ぐっ」

「ね、お願い」

「聞くだけです、殿下」


「ああ、ありがとう」

ルーク殿下の声が真剣な声に変わる。

「ラッセリア侯爵、エレノア嬢を私の妃にしたい、エレノア嬢を私にください」

「……」

「は?」

「ふふふ、やっぱり」


三者三様の反応の少し後

「そんなのダメに決まってるだろう!!」

お父様とエルの声がシンクロした。


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