桃色髪の令嬢
2年生になった。
あれからは特に何もなく、平和に過ごしている。
成績順でクラスが分かれるので、どうなるかと思っていたが、無事に皆同じクラスになった。このAクラスは、成績上位者が揃っているため、勉強内容もよりディープになるらしい。
元々、この学園は貴族の上位の者がほとんどなので、皆小さい頃から家庭教師をつけて勉強していた者たちばかり。
勿論、私たちもちゃんと教育を受けてきたので苦労なくこなせている。
ライリーだって普段はちょっと抜けているけれど、勉学に関しては全く問題なく、どちらかというと上位の中でも更に上位だ。
2年生になって半年が経った頃、剣術の模擬戦を大々的に行うという知らせが来た。
3学年全ての生徒に参加資格があり、なんと騎士団の中からも有志が数人参加するとの事。
模擬戦の後は、直々に稽古もつけてもらえるらしい。
「ライリー、おじ様は来てくれるの?」
「ああ、急な任務でもない限り参加するって言ってたぞ。エリーは見に来てくれるのかって聞かれたから来るだろって言っておいた」
「学園に入ってからは、全然お会いしてなかったから嬉しいわ。久しぶりに会えるのね。楽しみだわ。因みに皆は参加するの?」
「当たり前だろ」
「僕も魔剣士の方で出るよ」
「俺もそっちで出る」
「僕は魔法専門だから出ないよ」
エルとリアム殿下は補助魔法が使える魔剣士の部門で出るらしい。ライリーは勿論剣術で、サムは見学ということだ。
「じゃあサムは私とウィロウと応援頑張ろうね」
「そうだな」
「僕もそっちにしようかなあ」
「エルは私に勇姿を見せてくれるんでしょ」
「もう、仕方ないなあ。優勝したらご褒美くれる?」
「ふふ、いいわよ」
「俺が優勝しても褒美くれるか?」
「いいわ」
「それは私でも?」
教室の扉の方から聞こえた声に振り返るとルーク殿下がニコニコとした顔で立っていた。
「兄上!」
嬉しそうにリアム殿下が呼ぶと、ルーク殿下は教室の中に入ってきた。
教室内がざわつく。令嬢方は頬を染めて瞳がキラキラしている。
「兄上も出るのか?」
令嬢方に負けないくらいのキラキラで聞くリアム殿下。
「ああ。昨日、団長に煽られちゃってね。出ることになったんだ」
「どっちで出るの?」
エルが嫌そうな顔で聞く。
「エルと勝負が出来ないのは残念だなあ」
「じゃあ、剣術で?」
サムが聞くとルーク殿下はそうと爽やかに答えた。
「じゃないと、団長と闘えないからね」
「うわあ、優勝する気でいる」
またもやエルが嫌そうな顔で言う。
「ふふ、で?エリー。私が優勝したら何かご褒美くれる?」
「いいわ。でもリアム殿下もだけど、私にそんな大層なご褒美なんてあげられないわよ」
「いいんだよ、君の負担になるようなご褒美ではないから」
「?」
「ところで、ルーク殿下は何か用があったんじゃ?」
サムが話を終わらせるように聞いた。
「そうだった。ねえ、エリーが初めて参加したお茶会のこと覚えてるかい?その時に君たちが令嬢方に囲まれたそもそもの要因を作った令嬢の事、誰か覚えてる?」
「ああ、あれね。図々しくエリーの席に座ってきた……顔は覚えてないなあ」
「俺もハッキリとは覚えてないが……確か薄い桃色の髪だったような……」
「確かに、桃色っぽい髪の色だった」
サムも思い出したようだ。
「あれ?俺にぶつかってきた令嬢もピンクっぽかったような……」
「私にぶつかってきた方も桃色だったわ」
「やっぱりね。最近、私の周りをウロチョロしてる桃色髪の令嬢がいてね。なんとなくエリーにぶつかった令嬢に似ている気がしたんだ」
「ウロチョロしてるって、何かされるのか?」
ライリーが聞くと
「いや。偶然を装って私の行く場所行く場所に現れる」
「なにそれ、ウザッ」
「でしょ。今の所、大した実害はないからいいけど、一応君たちも気を付けた方がいい。確実に何かやらかしそうだからね。特にエリー、君は実害が出かけたんだから本当に気を付けて。私がずっと守ってあげられたらいいんだけれど、そういう訳にもいかないからね」
「はい」
「あ、あとその令嬢の名前も一応。名前はアニー・ベアリング。Dクラスだよ。それじゃ、またね」
そう言ってルーク殿下は研究棟へと帰って行った。
「Dクラスじゃ会わないわけだ」
と、ライリー。
Aクラスは東棟の1階にあるが、他のクラスは西棟だ。しかもDクラスは西棟の3階だったはず。
「なら、共同スペース以外はそんなに気を付けなくてもいいかもね」
サムが言うがエルは納得していないようで
「目的がわからない奴に対しては、警戒のし過ぎというのはないよ。僕たちはともかく、エリーは教室以外一人で歩いちゃダメだよ」
「うん、わかった」
『我もいるから心配するな』
「うん、ありがとう、アステル。頼りにしてるね」




