立場に合わせて持つ責任
エルーザ陛下のトコロに行く日。
一応昨日アデルさんにアポは取っておいた。
待ち合わせ場所に早く来てしまったが・・・
「ふんっ!遅い。俺を誰だと思っていやがる」
なんかいるー。
茶髪でつり目で偉そうな態度、そして俺達と同じ一年生のネクタイをしている。
我らがバカ皇子のアルバートだ。
一体こんなところでなにをしているのだろうか。
まだ夢と現を彷徨っているグレイをぺちぺちする。
「おい、クロ。どうにかこいつ起こせねぇか?」
「無理よ!こいつ朝弱いとこあるよ!あたしが起こしても起きないよ!」
『無駄ですよ。この3日間貴方が起こしに行って起きたためしがないじゃないですか。どうせアルバートが何をしているか、聞かせようとしたのでしょう?まぁ彼の物言い的に待ち合わせの可能性が大きいでしょうね』
「それを確かめたいから、幼馴染みのこいつに探りを入れさせようと思ってるんじゃん。だから起きろグレイ」
「あと五分・・・」
「ダメだこりゃ」
こいつ入学式の次の日は早起きして俺の部屋来たくせに。
取りあえず物陰に隠れて誰が来るか見よう。
待ち合わせの時間までまだまだあるしな。
グレシアと鉢合わせないことを祈ろう。
「ふんっ!奴から誘って置いて、俺を待たせるとは、なんて生意気な奴だ。ふんっふんっふんっ!」
どうやらアルバートは誰かに誘われたらしい。
それがどこの誰かはわからないが、もし花そその主人公だとしたら色々と面倒なことになる。
しかし俺の予想とは裏腹にやって来たのは花そその主人公リリィだ。
「ごめんアルくん。待ったー?」
「今来たところだ。それでは行こう」
真意とか理由とか関係なく、婚約者がいるのに別の女性と出かけるのは問題だ。
しかも二人きりでとなると、酷いだろうな。
更に言えば愛称呼び。
これはグレシアの耳に入れば屈辱だろう。
しかしまぁ、あいつも自分の立場というモノを理解してないな。
一応カメラで取っとこう。
その時俺は、二人の逢い引き現場に夢中で、背後から忍び寄る影に気づかなかった。
「わぁっ!」
「うわっ!なんだミラか」
心臓が止まるかと思った。
クレもびっくりして尻尾の毛が逆立ってる。
「ねぇ、あの二人・・・」
「あぁ、どう考えても浮気だよな」
「サイテーだねアルバート」
「それはもうとっくの昔から知ってるだろう。そうじゃなくて、リリィの方だ」
月が1つじゃないと言うことは、少なくともあいつは転生をしているはずなんだ。
なのに、序盤からグレシアを放置して恋愛にかまけているその神経がわからない。
いや俺が気づかなかっただけで、一周目は月が9つあったってことか?
それはない。
一周目はたしかに月が1つで、二周目は2つだった。
「リリィ?まさかリアスくん?」
「え、あの女に俺の触指が靡くとでも?それはないから安心しろ」
「いやそこまで真顔で言われると逆に反応に困る」
「まさかこんなかわいい婚約者がいるのに、他の女性に靡くわけないだろ?」
俺はミラの髪を触りながら匂いを嗅ぐ。
子供の時からかなり伸びてる。
更に今日は宮殿に行くため、ドレスを着てる。
前回は戦場で、しかも唐突に現れたから仕方なかったが、本来は皇帝陛下の前には、貴族の淑女はドレスで、男は燕尾服やタキシードが礼儀でありマナーだ。
俺がミラの髪を嗅いでから離すと、ミラは慌てて俺から離れてく。
「俺は前世と合わせたら今年で45歳だからなぁ。アラフォー舐めんな」
「女性経験ないくせに!そのアラフォーさんは、十代と婚約しちゃって良いのかな?」
「ロリコンって言いたいのか?この世界じゃよくあるだろう?それに俺の肉体年齢はミラと同い年だしな」
寧ろミラに四十路やだとか言われたら、俺立ち直れないかも知れない。
そういえば、リリィの奴の聖獣も見えなかったな。
あいつも精霊共鳴をしているのだろうか?
グレイとクロから仕組みを聞いたが、二人の説明が下手くそでわからなかった。
ぐぃーんとかギュオオオオオンとか擬音ばっかりで要領を得なかった。
グレシアには聞いてないからわからない。
彼女なら要領よく話せそうだと期待はしている。
「他のみんなはどうした?」
「イルミナはグレシアの身支度を手伝ってあげてるよ。侍女を連れてこれなかったらしくて、今週は全部手伝ってあげてるよ。本人は恥ずかしがってたけど、初日は制服で裏表逆に着てたからね。さすがにドレスはどうしようもないよ」
グレシアは侍女を連れて来てないのか。
俺はメルセデスを連れてきてるけど、よく考えたらアルナも侍女を一人も連れて来てないな。
案外そう言うものなのか?
「侍女を連れて来ていない貴族令嬢はグレシアとアルナだけだよ。全く着付けをするボクらの身にもなってほしいよね」
「あ、二人だけなのね。なんでアルナは連れてこなかったんだ?」
グレシアは父の息のかかった次女なんか連れて来たくなかったんだろうが、アルナはわかんない。
ミラは一人でドレスを着れる様な造りのドレスを選んでいたが、アルナはそんなことない。
この学園は社交界の予行演習も兼ねているから、ドレスを使う機会も多いだろうに。
「え、そんなのイルミナがいつもアルナの着付けをやってくれてたからだよ。今回はグレシア様の着付けをしないといけないから、ボクがやってあげたけど」
「あいつ、他人頼りかよ。よくないな。後で言ってやらんと。なんでアルナは一緒じゃないんだ?」
「今、ミルム先輩の着付けを手伝ってるよ。自分のは一人で着れないけど、一通り着付けはグレコから教わってたからね」
グレコ、あんな傲慢だった女でも着付けができたのか。
いや、男爵に嫁ぐに当たって、そう言うことを娘が生まれたらするかも知れないと考えて教わってたのか?
まぁどちらかはわからんし、興味もない。
そういやグレコの実家ってどうなってるんだろう?
「イルシア先輩とバルドフェルド先輩もまだじゃん。二人は何してるの?」
「知らん。ここで待ち合わせだから、朝がヤバイこいつは取りあえず無理矢理、服を着せて連れてきたけど、二人もそろそろ来るんじゃないか?」
実際グレイはまだ眠っている。
こいついつまで眠っている気だ。
「いい加減起きろ!」
「ぐほっ!」
俺は鳩尾にエルボーを決めてやった。
「げほげほっ!おいリアス!いきなり鳩尾に肘打ちは死ぬぞ!」
「殺す気でやったからな」
「ひでぇ!おいミライ、こんなのが婚約者でいいのか?」
「ちゃんと起きないグレイが悪いよ」
「ミライまで!?」
ここにお前の味方がいると思うな。
お前の寝起きが悪いのがいけないんだ。
「お前が寝ている間に、アルバートがリリィと二人でどっかに行ったんだ。どうしてくれる?」
「は?それ本当か?」
「あぁ、ほれ見ろよ」
俺はカメラをグレイに見せる。
グレイはその写真を見ると、鬼の形相へと変貌する。
「あいつ・・・グレシアがいながら何やってんだ!」
「この世界にカメラが普及してから日が浅いからな。こういう密会も見られても言い訳がきくと思ってるんだろう。聖女と二人で出掛けているのを、国民達が皇子に対して文句や意義を唱えるとは思えない」
「待ち合わせをしてたら話は違うだろう!」
「あぁ。だからこのカメラで証拠を撮っておいたんだ。あいつは皇子という立場をわかっていない。ついでにこれを陛下にみせよう」
まぁそうすると、アルバートは廃嫡にはならなくとも皇太子になれる確率はゼロに等しくなる。
第三皇子のジノアは婚約者が居ないのに、女遊びに耐えなかったため廃嫡になった。
婚約者がいて、女遊びでもしたらどうなるかはわかるだろう。
そうなると第二皇子のガランだけが、皇太子候補になるのだが、もしガランが皇帝になればアルバートを崇拝する彼が、アルバートの言うことを聞かないはずがない。
でもそうなると皇太子って誰になるんだろうな。
少なくとも頭が堅くて、不貞を働くような奴が皇太子にはならないだろう。
「ちょっとそれは待って欲しいわ」
「お待たせしました、リアス様、ミライ様、グレイ」
「オレは呼び捨てかよ」
「敬意を払う理由がありません」
「それは仕方ないわね。だってグレイだもの」
「このグループの女子って、オレに対して扱い酷くね!?」
「そりゃあグレイだから仕方ない。それよりもグレシア、待つってどういうことだ?俺は誰が皇太子になってもいいし、グレシアが言わなくてもいいなら別に気にしないが------」
浮気された当の本人がいいって言うなら、それ以上俺が口出すのは違うだろう。
でも理由くらいは知りたい。
グレシアが断罪されると、帝国の未来が危うくなる。
それは避けたいし、何よりこいつはもう俺の友人でもある。
友人が不幸になる姿を見たくはない。
「あんなのでも婚約者なのよ。最近は特に酷いけど・・・皇太子になればシャンとしてくれると思うの」
「グレシアはアルバートに対して好意があるのか?」
「女として彼に男の魅力はないわね。でも彼の正義感は買っているのよ。彼が皇帝になれば腐った貴族社会をどうにか出来ると思っているわ」
良くも悪くも頭が堅いからな。
正義感の強さだけなら、帝国一とまで言える。
「まぁグレシアがそう言うならいいよ。でもカメラは俺が預かるな」
証拠写真は本来被害者が持っておくべきだが、その証拠がどこからか洩れて、これを消すために誰かをけしかけられるかもしれない。
その場合狙われるのは、俺の方が良いだろう。
「えぇ、貴方かミライかイルミナ当たりが適任でしょうけど、女性の身体に傷が付く可能性を作るのもよくないモノね」
「ボクは別に構わないけどね!」
「それは俺が構うからな!」
「わたしでも構いませんが?」
「ダメだ!索敵魔法を常に展開出来る俺が適任だろう」
実際魔力量的にイルミナはキツいだろうし。
そうじゃなくても、奇襲の対応は二人は余り得意としない。
警備を厳重にする魔道具とか作るかな。
「なんだかんだ二人とも大事にしてるんだな。じゃあオレが保管するって言ったらどうするんだ?」
「実力不足だ。雑魚は引っ込んでろ」
「オレにだけ言い方酷くね!?」
「事実。というか、お前が起きていたら、そもそもデートを取りやめていたかも知れないだろうが!」
「オレが寝てたおかげで、その証拠写真が撮れたんだろうが!」
「開きなおんな!」
「いってぇ!暴力反対だ!」
俺はグレイのケツに蹴りを入れる。
ケツを押さえながらも、グレイは俺に文句を言ってる。
しかしケツを押さえながら言ってたら、子供でも怖がらないぞ。
「それよかさっさと身だしなみ整えろよ。そろそろ先輩達来るぞ」
「あぁ、そうだった。今日は陛下のところに行くんだったな」
急いでネクタイの位置を整えて、シャツをズボンに入れてきっちりとしたタキシード姿に変わる。
ホストみてぇ。
「なんだよ」
「なんでもないさ。ほら、イルシア先輩とバルドフェルド先輩来たぞ」
「早いなお前ら」
「グレイは寝てると思ったけど、杞憂だったみたいだね」
二人ともタキシードをきっちりと着こなした格好だ。
こっちはホストじゃなくて、ちゃんとした紳士に見える。
「お前、失礼なこと考えてるだろ」
「いや、別に」
こいつエスパーかよ。
お、ミルム先輩とアルナも来たな。
「お待たせしました」
「兄貴、ごめん準備手間取った」
「女性の準備は大変だろうからな。じゃあ全員集まったところで、宮殿に行くか。馬車を呼ぶか」
俺は指を鳴らすと、収納魔法でしまっておいた馬車を呼び出す。
とは言っても、生物は入れられないから馬はない。
馬の代わりがいる。
「全員乗りな」
「ちょっとまて。お前が引くのか!?ってミライ達は平然と乗って慣れてんのか!?」
「そうだよー。これは馬車の形してるけど、人力車って言うらしいよー」
「時間は有限です。グレイ、グレシア様、イルシア様、バルドフェルド様、ミルム様。どうぞお乗りください」
「みんな、気にしたら負けですわ。兄貴は常人には理解出来ないことを平然と行うんですから」
「それは言えてるな。あんな規模の魔法も放てるくらいだ。頭の螺子が一本でも抜けてないとおかしいもんだ」
「そんなにすごかったんですか?」
「そうか、ミルムが知らないのも無理ないよな。馬車の中であいつの武勇伝を話してやるよ」
「イルシア先輩、余計なことは言わないでくださいよ」
「わかってるわかってる」
そう言ってグレイ以外のメンバーが馬車の中に入っていく。
「グレイ、さっさと乗れよ」
「いや、本当にお前が引くならその姿見たいと思って。御者の席に着くかな」
「はぁ!?お前・・・いやいいや。落ちても知らないからな。シートベルトはねぇんだから」
「しーとべると?なんだそれ」
「いいさ、捕まってろよ」
俺は宮殿まで馬車を引いて駆けていった。
普通の馬車と大して速度は変わってないが、外と中の揺れの差は雲泥だ。
もちろん宮殿に到着する頃には、グレイがグロッキーになっていたのは言うまでもない。
*
リアス達が宮殿に向かっていったと同時刻。
ターニャ家の屋敷内は、慌ただしい状況になっていた。
「おい!ゾグニ様を守れ!ぐあぁぁあ!」
当主を守れと言葉を発していた騎士は、一瞬で胸にナイフを刺され絶命した。
そして刺さったナイフを抜き取った男は、黒髪パーマで右目の下に龍の刺青が入っている。
「あまちゃんだなぁ。喋りながら闘うなんて」
「貴様!ここがどこかわかっているのか!」
「帝国貴族のターニャ公爵家でしょ?ふふっ、そんなこともわからずに襲撃なんかすると思う?」
襲撃があったにもかかわらず、外部では全くの騒ぎがない。
それはこの男が所属する組織が、とんでもない組織だと言うことを示していた。
「くそっ!ファイアーボール!」
「魔法でも、大した威力じゃないねぇ。はい」
その男が指を鳴らすことで、ファイアーボールは霧散した。
それをみた騎士はすぐさま接近戦へと切り替える。
ナイフと剣が打ちあい、部屋内部に響き渡る。
しかし騎士と男の実力差は、誰の目から見ても明らかで、あっという間に剣が折られて首にナイフを突きつけられる騎士。
「公爵家の騎士も大したことねぇなぁ」
「き、貴様!なにが目的だ!」
「ターニャ家の当主を手に入れること。それができなければ殺害するってトコロじゃないかな?」
「くっ!ゾグニ様ぁあああ」
それが騎士の最期の言葉となった。
男に首を斬られて、二度と喋れなくなったからだ。
それでも絶命していない騎士に、トドメで心臓をヒト突き。
絶命した。
それに対して怒りを露わにするのは、ターニャ家ゾグニの側近騎士ギルス・ディスクーニ。
ベルナルドをゾグニの精霊の力を借りて殺害し、見事側近騎士の座を手に入れた男だった。
「貴様ぁぁぁ!」
彼は出世のために部下の騎士を大切にしていた。
そのため、その部下がどんどん殺されていくことに怒りを表すのは当然の反応だ。
「ハハハッ!怒っているのかい?これは君たちが民衆にしてきたことだろう?なぁ?」
「罪無き命を奪ったことは一度もない!」
「へぇ、命を奪わなければ何でもして良いんだ。じゃあ・・・」
一瞬でギルスに詰め寄り、両腕を刎ねる。
そのことに気づかないまま、ギルスは剣を振るおうとする。
もちろん腕がないので、剣が振るわれるはずもなく、そのまま自分の肩をみたことで状況を把握した。
「ぐ、あぁぁぁぁあ!僕の腕がぁぁ!」
「うるさいなぁ。殺さなければ何をしても良いんでしょ?」
するとギルスの目を1つナイフで突き刺して、そのまま抜いた。
更に叫び声を上げるギルス。
さすがに声はうるさいと思って、咽を思いきり握りつぶした。
「ハハハッ!何をしても良いんだろ?命があればさぁ」
「ギルス様までやられた・・・お、おしまいだぁぁあ!」
「逃げろ逃げろ!命がいくつあっても足りないぞ!」
「こ、殺さないでぇええ」
逃げ惑う生き残った騎士二人。
元々は、脅されて入ったような場所だ。
忠誠心の欠片もなかった。
「堕ちんのはやぁ」
あまりにも早い白旗にも等しい戦意喪失により、逆に呆れてしまう刺青の男。
そんな彼に部下と思われる男が、膝をついて現れる。
「ボス、ただいまこの屋敷にはターニャ家当主以外の生命反応は彼等しか残ってません」
「おぉ、早いねぇ。目の前の奴らとは大違いだね」
「彼等には大義はあっても、それに伴った覚悟がありませんから」
たしかに言葉でこそ、主人に忠誠を誓う騎士達だったが、いざこう言った状況に陥ればあっという間に機能が停止する。
先程彼が殺したギルス以上に、主人に忠誠を誓う騎士はターニャ家屋敷には残ってはいなかった。
「首尾を教えろ」
「はっ!現在騎士の生存者は目の前の三名、侍女と執事は全員捕らえました」
「侍女と執事は逃さなければ処分は任せる。全員に分配しても構わない」
「ありがたきお言葉。あいつらもここ最近忙しかったので、それなりに溜まっております。感謝を」
「感謝すんなよ。汚職まみれの家のメイドなんて、どうせこの豚公爵の手つきだ」
「あんなのが兄弟となる奴らは、さぞや恥ずかしいでしょうね」
「まぁ、穴がありゃいいんだろあのバカどもは。この三人は拷問にかける。こっちは絶対に殺すなと周知しておけ」
「御意」
そう言うと騎士と共に霧散する男。
そして騎士が守ってた部屋に入ると、ずんぐりむっくりに怯えた青い顔が、刺青の男を睨みつけていた。
「やっほーゾグニ様」
「き、貴様!なにが狙いだ!」
「え、わかんないんっすか?貴方の命に決まってるじゃ無いっすかー」
「ぶ、無礼者!貴様、僕ちんを殺せば皇帝は黙っていないぞ!」
「そこなんだよなぁめんどくさいの。魔物大量発生を単独で防いだ奴らが出張ると、流石にめんどくせぇ」
頭を掻きながら考え込む刺青の男は、ゾグニを殺した後のことしか考えていない。
彼の中ではもう殺すことは確定事項の様だった。
「影も簡単に排除されたし、実に厄介な奴らだ。親方にまた文句言われたんだぞこっちは!」
親方と呼ばれる彼のボスに、こっぴどく叱られていた。
影と呼ばれる人物達が、リアスによりすぐに排除されたからだ。
「しかしあいつらが負けるとは、親方も思ってなかったし責任は俺だけじゃ無いよなぁ」
「貴様、何を言っている!」
「あ?うるせぇなぁ。てめぇ散々美味しい思いしただろうが。とっと死ねよ」
感情任せにナイフを飛ばし、ゾグニの心臓を射抜く。
しばらく痙攣を繰り返し、やがてゾグニはあっさり息吹を起こすことをやめた。
「あ、やっべ。これで取り返しつかねぇな。まぁいいか。こいつは汚職塗れで擁護しようもないクズだ。立場を弁えてこちらに探りを入れなければ、死ぬこともなかったのにな」
彼は無造作にゾグニの死体の髪を掴み、首をナイフで切り落とす。
そして机の上に起き、血で肥溜め豚公爵ここに眠ると書き記した。
「これで良し。精々恐怖に怯えてろ帝都の公爵共。クハハハッ!」
そう言って刺青の男が部屋を出ていくと、その部屋はゾグニだった物が机から床へと滴る真っ赤な血の音だけが、静かにこだまする。
リアス「更新が遅れて大変申し訳ございません!だそうだ」
ミライ「マジあのピエロ使えない」
イルミナ「そんなの今に始まった方じゃないでしょう」
ミライ「そうだけどー。まぁ気を取り直して今回は次回予告と行こうかな」
リアス「次回、グレイ死す!」
ミライ「はいそこー、勝手に殺さない。次回、宮殿についたリアス一向に待ち受けるものとは!」
イルミナ「タイトルは違いますが概ねあってますね。更新を早くして欲しいと言う方はブックマークと高評価を」
リアス「イルミナ。それ、脅しに近いよな・・」