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エピローグ

 全てが解決したというわけじゃない。

 しかしまぁ、今こうして笑い合えてるのはきっと奇跡か何かなんだろう。


「リアスくん狭いよ!」


「仕方ないだろ。アマゾネスの全員がついて行きたいって言ったんだから。まぁ責任はフリマリにある」


「酷いわ!わたしはただ聖女として困ってる人達を------」


「フリマリうるさいですよ」


「イルミナちゃんまで酷い!?」


 人数が多い所為でクリムゾンポロウニアに着くまで時間がかかってる。

 こっちは夏季休暇があと1週間で終わるから早く帰らないといけないのに。

 因みに治療薬の材料のひとつのロービスクズはバグバッドを出る前に見つけている。

 しかしこれはどう見てもハイビスカスだよなぁ。

 

「誰だよハイをローに変えてカスをクズに変えたやつ。おかげで勘違いしたわ」


「アニキ独り言多くて程よくキモイな!」


 俺はエンドマの頭にゲンコツを一発入れた。

 制裁だ。


「いってぇ!?」


「うるせぇ!それよりもこっちは頭の抱えることだらけなんだぞ!」


「あー、アンドレアの言伝かー!別にいいじゃんか!俺っちもアニキに着いてくぜ!」


 そう、アンドレアさんが最期に俺に託したのはクリムゾンポロウニアやエルフ達を俺の領地に移住させて欲しいって話だ。

 Sランクの魔物達を受け入れた領地なら安心して任せられるって言う。

 アンドレアが戻ってきたら責任を持って村に連れて帰るからその間だけ任せてくれって、実質一生の面倒を見ろって事だろ。

 

「俺達は一応学生だ。ガッディは着いてきてもらうつもりだったからいいが、村人全員となると予備に持ってきた馬車をくくりつけても速度が落ちる」


「魔力の注入量を上げて帰ればいいじゃん!」


「簡単に言うなミラ。消費魔力に比例した休憩時間を加味したら、考えただけでゾッとする」


「別にリアスくんだけが魔力を注入しなくても、魔法石に魔力を込めてもらえば?予備はあるでしょ?」


 それは一理あるな。

 壊れる可能性はあるが、それでも余りあるくらいの量を稼いでるし、最悪デザートオルキヌスを殺して魔石は手に入れれば良い。

 

「それにそれなら休憩もいらんし早く帰れるかもな」


「人間はよくわからんな」


『貴方も人間の憎悪の塊なんだから人間でしょうに』


「リアス、わたしこれに村と家族滅ぼされたんだけど・・・」


 クレの横では白いウサミミの少女の事を指差すサンドラがいる。

 その少女にはボロボロの襟巻きをしていた。

 

「そいつはもうエンペラーリッチじゃないぞ?リサナだ」


「本当に<狂戦士の襟巻き>のことリサナって呼ぶ気なのリアスくん?」


「あぁ、名前考えるのも面倒だしいいだろ」


 そう、こいつは狂戦士の襟巻きがリサナの肉体に憑依した姿だ。

 驚いたことにリサナの肉体は再び息を吹き返していた。

 まぁ魂が入ってないからこんなことできてるんだが。

 よく考えてみたら聖魔法効いてたもんな、アンデッドなのに。


「我への扱いが雑だな。殺すぞ?」


「俺とお前は一心同体みたいなもんだろ?」


「我は貴様も含めた憎悪の塊のような物だ。まぁいい。我の渇きはそこら辺の塵芥でも満たされる」


 コイツはデザートオルキヌスに出会うたび殺して回ってる。

 おかげでデザートオルキヌスが寄って来ないから助かってるけどな。

 そういや初めて装備した時も、ゴブリンを狙ってたな。

 こいつの渇きを満たした衝動は、自分の身体で身に染みてる。

 しかしまぁ、魔物を狩るだけで満たされるなら助かるわ。


「この縄を解け俗物が!」


「うるせぇな!テメェ、トドメを刺されないだけマシだと思え」


「なんで俺がこんな目に・・・」


 ニルヴァは捕まえて車のドアに括り付けている。

 なんでもアマゾネス達の、ひいてはレアンドロの目的が聖女と契約した聖獣らしい。

 それもフリマリレベルの聖女の契約した聖獣を手に入れて、その力を奮ってもらうそうだ。

 俺としてはコイツを殺してやりたいところだが、使い道があると言われたら仕方ない。

 それは良い。

 しかし------


「リアス、暑い。少し温度下げて」


「リアス、飲み物が無くなったわ。追加をくださいな」


「リアス、グラビティアース、教える」


 おい、アマゾネス三人娘。

 お前らはくつろぎ過ぎだろ!

 こっちは身内を前座席で寄せ合って狭い思いしてるのに!


「リアス様、すいません」


「ジャベリンさんは悪くないですよ。アイツらの態度が悪い」


「いえ、あの、すいません」


 ジャベリンさんは一体こいつらになんの弱みを握られているんだ?

 良い人なのに。

 バグバッドで保護した二人の子供も抱えてるし、良いパパなんだろうなぁ。

 

「リアスまだ?」


「あー、うるせぇ!温度は自分で下げろアンバー!」


「アッシ、スイッチの使い方わからん」


「ドゥーナに聞け!ドゥーナはテメェはテメェで、俺への態度が軟化し過ぎだ」


「うるさいわね!あんた敬語とか気にしないタイプでしょ?経験上わかるのよそういうの」


 経験って一体なんの経験だよ。

 私用と営業用で切り替えるタイプなだけだぞ俺は。

 それにこんなにくつろがれると、流石にイラつく。

 しかしここでキレると、ジャベリンさんやこの子達が不憫だ。

 俺は喉まで出かかった怒りの一言を飲み込んだ。


「リアス、見せる!」


「はぁ、お前はジャベリンさんの教育係なんだろ?見てなくて良いのか?」


「ジャベリン後輩、でも優秀。ワタシ、リアスの魔法使いたい。あのリッチを倒した魔法知りたい。グラビティアースを求む!」


「あー、グラビティアースはこうすんの、ほい」


 ドロデアにグラビティアースで重力を与える。

 どうやらこいつはジャベリンさんの事を理解した上で放置してた。

 だから代わりにグラビティアースを身体で体験させてやった。

 エンペラーリッチを倒した魔法は違うが、幻想銃(ミストガン)を撃つわけにもいかないしな。


「あぁ、すごく、いいっ!あっ、はっ」


「おい!変な声を出すの辞めろ!」


 変な声を上げながら顔を紅潮させるな!

 なんかヤバいことしてる気分になるだろ。


「リアスくん?」


 ほら、ミラにも怒られた。

 俺はサッとグラビティアースを解いた。


「もう、終わり?まだワタシ、(魔法を習得する段階まで)イッてない。なんか感覚が過敏になってたのに。リアスだけ(魔法を打って)満足してズルい」


「おい、魔法のことだよな!?そうだよな!?」


 ミラどころか、全員が冷たい目で俺のことを見てる。

 いや、エンドマだけは目を輝かせてるな。


「リアス、そういうのは誰も見てないとこでやれ」


「むっさん誤解だ!俺はミラ一す------イデデデデデデ!」


「リアスくん、ボクと言うものがありながらひどいヨォ!」


「バカ!ヘッドロックはヤベェ!事故る事故る!」


 その後事故を起こすことはなかったが、常にミラにツネられながらクリムゾンポロウニアに着くことになった。


「リアス、おかえり」


「おかえりなさいリアス」


「あぁただいまジノア、アルターニア」


 クリムゾンポロウニアに降りると、ジノアとアルターニアに迎えられる。

 ゾロゾロと俺の車内に居た奴らが降りてくる中で、見覚えのない人物と一人だけ降りてこない影がある事に二人の顔が悪くなる。


「あぁ、えっとな・・・」


「亡くなったんだね。アンドレアさんから聞いてる。サロンガは少し横になってるよ。村では大規模な移動準備をしてる。アンドレアさんから聞いてるよね?」


「あ、あぁ・・」


 手際がいいな。

 そういやアンドレアさんは千里眼で様子を観れるから当然か。

 あ、フリマリが泊まってた宿に走って行く。

 サロンガのケアをしに行くんだな。

 ジノアが俺に耳打ちしてきた。


「アンドレアさんの事は聞いてる。もしかしたら死ぬかも知れないって言ってた。リアスにだけ背負わすのは可哀想だからって僕にも教えてくれたよ」


「マジか。悪いな。俺は思ったよりも思い上がってた様だから被害を出しちまった」


 ジノアは俺の背中をパンと叩く。


「ジーンに着いては残念だけど、元々全滅の可能性のが高い闘いだったんだよ?胸貼りなよ!俯くのはジーンに失礼だ」


「そ、そうだな!」


「それはそうと、薬の材料手に入れてきた?まさか忘れてないよね?」


「それは大丈夫だ。目的を忘れるとかはねぇよ」


「ならよかった。ガッディも自分の道具を荷造りしてるところだから、国に帰ったらリアス預かりね」


「あぁ。アイツの見た目は帝国も受け入れてくれんだろ」


 獣人というより魔物だからな。

 仕方はない。


「へぇ、ここが獣人の。アッシ、強い奴がいないか探してくるー!」


「待ちなさいアンバー!はぁ、もう。アタシも観光するつもりだったのに!ごめんなさいねリアス。この村の人には絶対手を出さないから自由にさせてちょうだい」


「リアス、グラビティアースかける!」


 アマゾネス3人は自動輪から降りてもこの調子か。

 今日は滞在するのに大丈夫かよ。


「リアスくん、お腹空いたし今日は宴もするってアルターニア言ってたよ。一回もどろ?」


「そうだな。よし、戻るか」


 俺達は犠牲も出したが、それでも勝利を得た。

 今回はうまくいったが、次もそうなるとは限らない。

 だからもっと上手くやらないと行けないな。

 でもひとまずは------


「俺達の勝利だ!」


「何を言ってるリアス?」


『格好をつけたいだけです。触れないであげなさい』


「リアスってやっぱバカなのね」


 むっさんとクレとサンドラが俺に噛み付いてくるが知ったことか!

 俺は俺の好きな様にやるんだ!

リアス「今回は仕上げが早いな」

ミライ「眠い眠い言いながら夜勤中に必死にストーリー構成してたらしいよ」

リアス「夜勤といえば------」

イルミナ「リアス様が遠い目を!?」

クレ『前世の嫌な記憶を思い出してるのでしょう』

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