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美味しい肉と子爵嫡男

 鉄板焼きって、何より魅力を感じるよな。

 目の前でジュワッといい音を立てて焼ける肉の匂いは、俺達の食欲を刺激してよだれが自然と出てきてしまう。

 

「坊ちゃん、お嬢、顔近い。火傷すんぞ?」


「目の前に肉があるというのに。メルセデスまたか!」


「そうだよ!ボク達お腹空いてるの!飯テロにあったし!」


 帝都で屋台の出店が出ていたのだが、俺達は一応貴族だ。

 更にアルゴノート領は現在発展中で、面白く思わない貴族も多いだろう。

 だから毒殺される恐れがある。

 しかし屋台の食べ物は食べたい。

 結局メルセデスに調理を頼んでしまった次第だ。

 現在宿屋クサハエルのキャンプ施設でバーベキュー中ってわけだ。

 しかしよだれが止まらない。

 

「2人とも意地汚いわ!」


「そういうお前だってさっきから腹の音なってんぞ?」


「むっきー!自然現象だから仕方ないじゃない!」


「やる気か!」


「なにをー!」


「まぁまぁー」


「2人とも子供じゃないんだから落ち着いてください」


 イルミナのげんこつが俺達に突き刺さる。

 俺達のお目付役みたいなところあるよなイルミナって。


「痛いですイルミナ!」


「淑女たるモノ、この程度で感情を揺らしてはなりません」


「そんなのわかってるもん!」


「ならいいのですよ」


 アルナの癇癪を諫めると、殴ったところを優しくさするイルミナ。

 俺に対しては何もなしか!


『まるで母親ですね。あ、フェリーよそ見しないでください。焦げたら、私が全身全霊を持ってあなたを消滅させてあげますからね』


『ひっ!ちょいナスタ。お前の同僚をどうにかしてくれよ』


『まだ命が惜しい。火加減を間違えなきゃいいんだよ』


 クレも目の前の肉が焼けるのを今か今かと待っている。

 屋台にあった豚の肉美味そうだったもんな。


「ちなみにその肉ってなんの肉なんだ?」


「レッドボアっていう赤い豚の魔物の肉だな」


「レッドボアは牛並みの脂肪が入っていて、それでいて豚の筋肉も兼ね備えてるから食べ応えがあるはずよ」


 アルナがレッドボアを知ってるってことは、貴族でも食べられてる食べ物か?

 少なくとも俺はレッドボアを食べたことがない。


「高級食材ってわけか」


「中々出まわらないからなー」


「討伐難度がBクラスの魔物ですからね。帝国の騎士団で互角に闘えるそうですよ」


 ん?Bクラスってそんなに基準値高いの?

 え、じゃあAクラスのジャイアントベアってどれだけと言われてるんだ?

 花そそでは中ボスクラスで、魔物が出るエリアにたまに出る希少な魔物程度に思ってたんだけど。

 俺もミラもイルミナも、単独で確実に屠れる自信あるぞ?

 ミラの方を見ると、どうやらミラも驚いて固まっていた。


「Aクラスはどのくらいと言われてる?」


「今になって自分がしてることに気づかれましたのね。Aクラスのジャイアントベアは騎士団を軽く蹴散らすレベルです」


 マジかよ。

 魔物の知識は花そそプレイ中にある程度覚えてたし、男爵領にはそこまで魔物が出ないから後回しにしてたのが裏目に出た。

 ゴブリンがD級だったから、三段階しか変わらないジャイアントベアも、よくて精鋭が倒せるレベルだと思ってたのに。

 これは後で見直す必要がありそうだ。


「またまたー。アルナはボクたちを騙そうとしてるでしょー」


「ミライちゃん、受け止めてくださいな。一つ言えることは貴族至上主義が子供の頃から身に付いているお父様が、急に兄貴を家族として受け止めたのは、ジャイアントベアを二人で瞬殺したことをワタクシが教えたからですからね!」


「おいアルナ、なに余計なことしてくれてるんだ」


 俺は頭を抱えたくなった。

 力による屈服じゃねぇか。

 魔力の高さや領地改革の手腕以上に、敵に回したくなかったから俺の意見を完全に聞き入れるようになったのか?

 力による抑止力は所詮たかが知れてる。

 だって常に最上位にいないといけないってことだろ?

 そんなの無理だ。

 だって天寿全うするんだったら寄る歳波には勝てないだろう。

 そして衰える。


「えぇ!?でも、でも!」


「でもなんだ」


「それが一番最善だと思ったんですのよ!」


「それって領民も知ってるのか?」


「なにを当たり前のことをーーーーー」


「俺が力で無理やり押し込めた感じじゃんか!」


「別にいいじゃないの。貴族だって金の力に任せてるところあるし、さらに領地での兄貴の人気は本物だわ。飢餓で苦しんでた時に手を差し伸べた人間に、力で支配してると思ってる人間はいないと思いますわよ」


 え、アルナがまともなことを言ってる。

 まぁ飢餓の原因作ったのお前にも一因があるけどな。

 言わぬが花!

 たしかにある程度信頼関係が成立してたら、超越した力があったとしても恐怖より慕う気持ちが勝ることもある?


「だね!ボクも領地ふらふらしてるとリアスくんの婚約者って理由でおやつくれるし」


 ミラがそういうなら人気は本当なんだろう。

 恐怖で屈服してるならおやつじゃなくて金渡しそうだし。

 俺はクレに目配せする。

 今後の方針をどうするか相談だ。


『6年前とは違い我々は領民に慕われているたしかな信頼があります。なので力量を隠す必要がないかも知れませんね。女帝にもわたしの存在を話してしまっていますし。ただミライが精霊とのハーフであることと、精霊と話せることは引き続き黙っておいた方がいいと思います』


 たしかに利用価値が違うしな。

 精霊の言葉がわかることが知られれば、精霊契約の儀が異常なものかがわかってしまう。

 それは教皇を含む教会の人間たちを敵に回してしまうことに他ならない。

 はぁ、俺ってガヤだよな?

 シナリオにリアスがいない理由が消されてたとかだったら、俺泣くぞ。


「元々ジャイアントベアのことはそこまで隠してたわけでもないし別にいいか。ただ秒で殺したことは黙っていてくれよ」


「言っても信じてもらえないと思うわ」


「それは言えてる」


「坊ちゃん、嬢ちゃん達できたぜ。レッドボアの串焼きだ」


 やっとか!

 二十本くらい焼いている。

 ただ焼いてるだけと侮るなかれ。

 メルセデスは下味が美味い。

 食べた瞬間にくどすぎない味、噛めば噛むほどの肉汁が口の中に広がっている。

 メルセデスは一流のシェフではないと言ってるが、俺達にとっては最高のシェフだ。


「うめぇ!」


「本当に美味しいよメルセデス!さすがボク達の専属!」


「悔しいですけど認めざるを得ないです。わたしも料理が作れたら・・・」


「イルミナは別に今のままでいいと思いますわ!メルセデス、アルゴノート家に戻ってきてもいいのよ?」


『焦げなくてよかったぜ』


『うまうま!』


『褒めて遣わすです』


 クレが変な口調になった。

 それだけうまかったんだろうな。

 実際美味いしな。

 それにしても楽しい。

 前世でボッチを拗らせていたことを自覚して、しみじみ思う。

 キャンプなんて無駄遣いだと思ってたが、楽しさをお金で買ってたんだな。

 俺達が楽しく会食をしていると、キャンプ場に騎士らしき人物が足を踏み入れてきた。

 貸し切りにしたはずなんだけどな。


「失礼する。貴君らはリアス・フォン・アルゴノートとその一行で間違い無いか?」


「あぁ、かなり失礼だ。貸し切りにしてあったはずだがあんた一体なにもんだ?」


「ぶ、無礼であ------」

 

 気付いたら倒れ伏している騎士。

 威圧の魔法を使って少々脅してみた。

 俺が威圧したのを面白がってクレも威圧を放ち、何かあるのだろうと思ってミライまで威圧を放った。

 今この騎士は三体の虎に囲まれていると言われても過言では無いだろう。


「金払ってる場所に図々しく入るより無礼があるか?用件があるなら後にしてくれ」


「そうだね。ボク達の楽しい時間を邪魔した上に、礼節を弁えなかった奴らに言われる筋合いはないし、聞くに値しない。帰ってくれる?」


「うわ、二人を怒らせるとか、あなた騎士として尊敬するわ」


「き、騎士では無い!私はガバル・フォン・ヘルナーリットだ。次期子爵だぞ!」


 ヘルナーリットって、アルゴノート家と同じ悪役令嬢グレシアのガヤだった家だよな。

 たしかアルナが長女のプラムと仲良くしてた気がしたけど、兄がいたのか。


「あら、プラムのお兄様でしたか!どうかしましたか?」


「あのどぶさらいの愚妹か。ふんっ!貴族のプライドを捨てたお前らを、子爵である俺が直々に指揮してやるためにここにきたんだ!貴族としてはともかく、領地改革の腕はあると聞く」


 話が見えない。

 なに言ってんのこいつ。

 主語が抜けててよくわかんない。

 指揮するって俺達で子爵の領地を改革しろって言うのか?

 アルナが仲良くしてるプラムがここに来たなら考えてやったかも知れないけど、俺はこんな偉そうな態度をとって食事の邪魔してくる奴の力になる気はない。


「とっとと帰れ」


「なっ!貴様男爵だろ!子爵に向かってなんだその態度は!敬意を払え!」


「はぁ、礼節を弁えない奴に払う敬意はない。大体お前は次期子爵であって子爵じゃないだろ。偉そうにしてるとそのうち痛い目見るぞ」


 まぁ次期男爵でもない奴が、次期子爵にこんな態度を取るのはまずいけどな。

 でも知ったことではない。

 少なくとも伯爵以下の家格でどぶさらいと蔑んでいる貴族は、民の不満が爆発寸前だ。

 遅かれ早かれアルゴノート領と同じ状況になって、自己破滅するだろう。

 それに俺は卒業後に公爵の爵位を拝命する約束を皇帝としてるからな。

 つまりなんの脅威でもない。


「くっ、貴様!皇帝陛下の命令に逆らう気か!」


「ん?陛下の命令?なんのことだ?」


「聞いておらんのか!現在国境付近で魔物大量発生(スタンピード)が発生してる。皇令で男爵と子爵は当主、又は次期当主か次期当主候補を含めた人間を国境に向かわせるように指示があったんだ。そしてヘルナーリット家が全てをまとめるように陛下から命を受けたのだ!」


 へぇ、魔物大量発生(スタンピード)か。

 花そそでも何回か発生したな。

 時間とか決まってないし、ゲリラだったのかね?

 アルナが真っ青な顔してる。

 まぁそうだろうな。

 アルナは次期当主候補で、その命令には従わないといけない。

 

「まぁわかったよ。アルナ、がんばっ!」


 俺は肉を食いながら無慈悲に戦場に行く妹の背中を押す。


「あ、兄貴ぃ、助けてぇ」


「え、やだよ。こいつの指揮下に入るとかどんな罰ゲームだよ」


「妹の命とどっちが大事なの!」


「んー、そう言われるとなぁ」


「リアスくん。みんなでこっそりアルナを助けるのはどう?」


 ミラが魅力的な提案を出してくれた。

 ありがたい。

 目の前のこの男の指揮下では、最悪の事態が予想される。

 アルナをそこに連れて行くには、少しだけこいつにも情が湧いてしまってる。

 仕方ないからここは兄として人肌脱ぎますか。


「貴様らなにを話している!リアス・フォン・アルゴノート!お前は俺の指揮下に入るんだ!これは陛下の命令と同じだからな!」


「俺は次期男爵でも、男爵候補でもない。お前の指揮下に入るのはこいつだけだ」


「なにっ!?父上はお前のことを高く評価していたぞ!?」


「へぇ、ヘルナーリット子爵様が。身に余る光栄と伝えておいてくれ」


「ま、待て!だったら次期子爵として、家格が下である男爵家の息子に命じる。我が傘下に加わることを許す。今すぐ支度して、ヘルナーリットの騎士になれ!」


「断る」


「何故だ!平民落ちが決定しているのを甘んじて受け入れると言うのか!」


「答える義理はないし、隠れてアルナのサポートをするだけだ」


 焦ってるところを見ると何かあるのか?

 しかしなにがあるのだろうか?

 正直わからない。

 俺がジャイアントベアを倒したことは知ってるのか?

 うーん・・・わからん


「リアス様、これはわたしの予想ですが、畏れながら進言致します」


「なんかかたっ苦しい物言い」


「気にしないでください。おそらくですが、彼は敵前逃亡をするために身代わりを欲しているのでしょう」


 身代わり?

 なら別に俺じゃなくてもいいだろう。

 何故よりによって俺なんだ?

 まぁ青い顔をしてこちらを見ていることから、確実にそうだろうことはわかる。


「責任転嫁するなら別に俺じゃなくてもよくね?」


「いえ。アルゴノート家は領地改革や発展をしていると言うのに味方の貴族が少ない。そこを狙われたのでしょう」


 ははーん。

 他だと証拠が掴まれかねないから、俺を選ぶわけね。

 おそらく彼は何かいい条件を持ってきていたのだろう。

 しかし俺が次期男爵じゃなければなんの意味もない。

 だから騎士に入れようとした。

 最終的に騎士に入れたのはアルゴノートのスパイが紛れていたと言えばいいか。

 目撃者がいないこの場所なら約束を反故にすることもできるし簡単だ。


「策士だなぁ。ここにはわざと入ってきたのか。残念だったなぁ」


「な、なんのことだ!」


「もう少しポーカーフェイス覚えようぜ?」


「このっ!」


 ムキになって手を出すか。

 しかしその手が届くことはない。

 俺でも防げただろう拳は、黒服スーツの男の手により防がれたのだ。


「なにをする!俺は、子爵」


「今日は客が多いな」


「差し出がましい助太刀、申し訳ございません」


「大丈夫ですよ。宰相閣下」


「アデル宰相閣下!?」


 一度しか見たことないけどな。

 それも花そそのゲーム内で。

 彼はエルーザ同様、皇子とのウェディングムービー時に登場するモブキャラだ。

 謝辞を送るだけで、そこから彼の性格はわかったりしない。

 でも止めてくれたと言うことは、陛下同様ある程度は俺を買ってくれているってことでいいか。

 宰相ならクレが風神と言うことも知ってそうだしな。


「な、何故宰相閣下がここに?」


「ところで、あなた様は一体どちら様ですか?」


「え?」


 宰相に顔を覚えられてないってことは、覚えてる必要がない人物と認識しているのだろう。

 貴族たる者、使用人の顔と名前まで把握している。

 ましてや宰相ともなると、貴族の全ての顔と名前は覚えているだろう。

 それにも関わらず覚えていないと言うことは、ガバルは国には居てもいなくても大して違いのない人間なのだろう。


「私はリアス様に用があって来ました。陛下からの書状はお読みになりましたか?」


「書状?なんだそれ?」


「やはり届いてませんでしたか。アルゴノート家への書状は、他の家の書状とは違うので、あなた方をよく思わない者が処理した可能性がありますね全く。あれは緊急要請の紙で返事を早急に送るようにできているはずなのですが」


「大変ですね。それでは自分達は休暇を楽しんでますので」


「困ります。今ここで陛下からの書状の内容を話してもよろしいですか?」


「断っても?」


「構いません。しかしこれは陛下の命令です。もし、書状が渡っていなければ口頭であなたに内容を伝えるようにと」


 え、困る。

 陛下の命令だと俺逆らえないぞ?

 だって後々にめんどくさそうだし。

 勘弁してくれよ。

 

「はぁ、じゃあそこのヘルナーリットの嫡男は追い出してください。面倒ごとは避けたい」


「ヘルナーリット子爵の子息でしたか。しかし嫡男とはおかしな話だ。ヘルナーリットの子息は、不貞を行ったヘルナーリット元奥方の連子のため、嫡男にはなっていないはずなのですがね」


「そ、それは!」


 あらら?

 つまりヘルナーリット子爵の血の繋がらない義理の元息子ってこと?

 なんだよそれ他人じゃん。

 ん?でもなんでそんな奴が、ヘルナーリット家が指揮を執ることになったって言ってたんだ?

 まさかでっち上げ?


「宰相閣下。彼からはヘルナーリット家が、国境付近で起きた魔物大量発生(スタンピード)の対策のために男爵と子爵は当主、又は次期当主か次期当主候補を含めた人間を国境に向かわせるようにと、指揮を執ると言うことを陛下から命を受けたため、傘下に入ることを兄に命じようと来たそうです」


「アルナ記憶力いいな」


「へへん!」


「はぁ、たしかに陛下はその命令を出しましたよ」


 やっぱり陛下の命令か。

 こんなのが指揮を執るなんて、全く配下になる奴らには同情するな。

 

「リアス様、あなたに対してね」


「は?」


 えーっと、つまり俺が子爵以下の貴族をまとめて魔物大量発生(スタンピード)を食い止めろと?


「無茶だ!どの規模かもわかってないのに!」


「リアスくんならできそうだけど。と言うか、なんならボク達だけで片付けるのもいいかなと思う」


「そうはいかんだろ。他の貴族に手柄を渡さないと、国のバランスが傾くし」


「それがわかってるから陛下はあなたにその命を授けたのでしょう。しかしこれで書状を抑えていた犯人は見つかりましたね」


 宰相アデルに睨まれたガバルは、まるでカエルが蛇に睨まれたような顔をしている。

 そりゃそうだろう。

 宰相が嘘をつくはずもないし、そもそもよく考えたら指揮下に入るのが決定してるのに、俺の元に来たのが違和感でしかない。

 陛下の書状を謀ったってことは、不敬罪にも等しい行為。

 しかも今回は内容的に緊急を要する書状だろう。


『大方、手柄を上げて貴族に復帰したかったってところでしょう』


「馬鹿だなぁ」


 仮にそれで手柄を上げれても後がない。

 なにせ皇帝の書状を謀ってるからプラマイゼロだ。

 俺みたいに出せる手札が豊富ならいいかもしれないが、指揮管理能力だけじゃ貴族復帰は厳しいだろう。


「全くですね。貴方はもう貴族ではない。そして現在国家転覆罪が加えられた。貴様は精々弁明の言葉でも考えておくことだ。騎士たち、この者を連れて行け!」


「はっ!」


 ぞろぞろと兵士たちが流れ込んできた。

 ここの警備はどうなってるんだと言いたい。

 貸し切りにしてるはずなのに、これだけの人がここに来るのを許すのだ。

 いや、宿主は国から営業許可をもらってるから、貴族や国には強く出れないんだろう。


「離せ!俺は貴族だぞ!」


「元ですがね。耳障りだ!さっさと連れて行け」


「はっ!」


「ちくしょぉぉぉ!!」


 断末魔の声と共に、キャンプ場の入場口へと消えていくガバル。

 俺たちは再び肉を食べ始めた。


「あ、あの話を・・・」


「宰相様も肉食うか?」


「あ、えっと。いただきます」


 肉を渡される宰相は、一口食べた瞬間に勢いよく肉に食らいついて食べ始めた。

 それだけ美味しかったのだろう。


「お、おいしいですね!」


「ですよね。自慢のシェフです」


「えぇ、レッドボアの肉は久しぶりに食べましたが、前に食べた時より食べやすかった」


 流石に伯爵か。

 舌は肥えているようだが、そんな人物をして専属の使用人が褒められるのは、個人的には嬉しい話だ。

 あっという間に串についてた肉を食べ終えると、一度咳払いをして真剣な表情でこちらを見据えてくる。


「それで先程の話なのですが」


「いいですよ。陛下に恩を売っておくのは悪くないです。ただ詳細について知りたいですね」


「構いません。むしろそのつもりでしたので」


 そこから宰相が言い放った事は、俺たちに衝撃を与えるには十分だった。

 ジャイアントベアなどのAランクと呼ばれる魔物が数千体ほどいる、万の軍勢が帝国に迫ろうとしていることを聞かされたら。

リアス「作者が具合悪くて更新止まったってよ」

ミライ「眠すぎて仕事中も寝ちゃってるらしいね」

アルナ「だらしないわ!」

イルミナ「えぇ色んな意味でだらしないですね」

クレ 『少しは心配しましょうよ・・・』

ピエロ「いいんです。更新遅れて申し訳ございません。眠気には勝てませんでした」

一同 「申し訳ありませんでした!」

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