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vsエンペラーリッチ

 不死身の軍勢唯一の不死身じゃない相手、リサナリッチが先に現れるなんて思っても見なかった。

 

「ライトニング------」


「スピア♡」


 ミラがいち早く動き、ライトニングスピアを撃ち込むも、同じライトニングスピアで相殺された。

 雷神のミラのライトニングスピアを相殺するって相当だぞ!?


「はぁぁ!」


「シッ!」


 続いてイルミナとジーンが動き出した。

 切り替えが早いが、接近戦をして良いか疑問だった。

 イルミナが回し蹴りをすれば、身体をくの字にしたりして避けてしまう。

 攻撃が見えてる証拠だった。

 そして当然、イルミナの攻撃が避けれていると言うことはジーンの攻撃も当たるはずがない。

 ジーンが次に剣を振り下ろすと同時に、剣先を親指と人差し指で簡単につままれてしまった。


「そっちのメイドさんはかなりできるようだけど、貴方は直線的ね」


「くっ!」


「ジーンしゃがめ!」


 俺の声に反応してしゃがみ込んだジーン。

 その頭の上を俺の足が通り過ぎ去っていく。

 次は俺の番だ。

 俺はイルミナより体術が苦手だが、今は身体強化の他にイカロスマーキュリーも発動させた。

 重力が軽い中での俺の動きはかなり速いはずだ。

 だがそれでも届かない。


「速いだけね。重さが足りないわ」


「だろうな。だがそれでいい」


 俺の役目はあくまで足止め。

 上からくる大本命の為の布石だ。


「ふんっ!」


 俺を蹴飛ばして距離を取り、上から飛来するむっさんの拳を寸前で交わす。

 しかし流石に掠ったようで、着ていた服が少しだけ破けていた。


「ふふっ、留まったら危なかったわね」


「危ないのはまだまだ続くぞ?」


 飛び上がった先には大剣を振りかぶるアマゾネスの一人、アンバーの姿がある。

 その小柄な見た目とは裏腹の怪力に、味方である俺達も驚いた。


「死になよ!」


「その肉体、欲しいわ♡」


 リサナリッチは剣の軌道に合わせて空中で横に回転して焼けた後、後方に人差し指を向ける。

 チッ!気づいてたか!


「ミラッ!」


「わかってる!」


「ライトニングスピア!」


「「シールド!」」


 リサナリッチのライトニングスピアと同時に、ターゲットにされたクレとエンドマの手前にシールドを展開する俺とミラ。

 二人は魔法の発動のために、闘いが始まってから全く動いてはいなかった。


「サンキューアニキ、アネゴ!ボルテックランス!」


『助かりましたよ。螺旋暴風!』


 エンドマとクレはそれぞれ最上級魔法と、それに近い固有魔法(オリジナル)を放つ。

 螺旋暴風はジェットストリームと違い、そこまで火力はない。

 しかし空属性と言うどの属性とも魔力調整せずに組み合わさる属性を組み合わせた事で効力が変わった。

 それがボルテックランスと組み合わせた雷雲の発生。

 そしてボルテックランスの本体自体の効力もまた衰えずリサナリッチに向かってく。


「危な!」


 ボルテックランスが放たれると同時に、リサナリッチは咄嗟に体制を崩す事で難を逃れた。

 空中でもそんなことできんのかよ!

 だがこれで------


「食いやがれ!ジェットストリーム!」


『ジェットストリームも組み合わさったこの魔法の名は、カタストローム』


 カタストロフとストームを合わせた安直な名前だ。

 しかしその効力は安直とは思えないほどの高威力だ。

 何せ破壊しか能のない最上級魔法三つ分の威力だからな。

 唯一の難点が雷雲だから速度がない事だ。


「あれに入ったらただじゃ済まなそうね。まぁ当たればだけど♡」


「避ける気でいるなんて甘えないで欲しいわ」


 ドゥーナがリサナリッチの足に鞭を巻きつけしっかりと固定する。


「そっちこそ、それで固定しようなんて甘えた事言わないでほしいわ!」


 流石にイルミナの体術を避けただけあって、筋力もそれなりに持っているようだ。

 魔王妃リサナの肉体を持っているんだ。

 当然か。


「くっ!」


「これで------」


「拘束するならもう片方もいる」


 アマゾネスの一人、ドロデアがドゥーナが抑えてる方と逆の足を土属性魔法で固定化した。

 これで壊してる間にカタストロームは到達する。

 しかし事がそう簡単に運ぶはずもない。

 リサナリッチは無理矢理二人の拘束を脱出する。

 だがそれで離脱しようなんて問屋が降ろさない!


「韋駄天!」


「ファイアバースト、トルネード!ブレイズタイフーン!」


「「ライジングストーム!」」


 これは奴の元々の肉体のリサナの旦那を屠った複合魔法。

 そしてあの時よりも練度も質も高い!

 対応せざるを得ない!


「甘いわ!ボルテックランス!」


 最上級魔法!?

 俺がメインの魔法だから俺の方を向けてる。

 魔法は腕一つにつき一つまで。

 そして魔法は行使してる時、魔法が消失するまで他の魔法は使えない。

 最大二つまでしか発動ができない。

 つまりシールドが使えない!

 だが、それは一人の場合の話。

 ボルテックランスがライジングストームを貫いて俺に放たれる。


「「シールド!」」

 

 しかしこれは俺には届かず、手の空いてるイルミナとむっさんが俺の前にシールドを貼ってくれた。

 難は逃れる事ができたが、それはあいつも同------じ?

 リサナリッチをがっしりと羽交い締めにしているサンドラの姿があった。

 

「ふふっ、離さないと貴女まで巻き込まれるわよ?」


「そんなことで離すと思う?貴女は両親は村のみんなの仇なのよ」


 まさかサンドラ、カタストロームにリサナリッチと共に突っ込む気か!?

 そんなことすればただじゃ済まない。

 良くて四肢が全てなくなる、いや下手したら死ぬぞ!?


「止せサンドラ!」


「ふふっ、貴方の提案嬉しかったよ」


「くっ!離せこのトカゲ風情が!」


 初めてリサナリッチが慌て始める。

 そして間も無くしてサンドラとリサナリッチにカタストロームが到達し、激しい爆発音と閃光が辺りを包み込んだ。

 そして次には肩に熱を帯びた鉄を押し付けられたような痛みが発生する。

 余韻!?

 気づけば俺は倒れ込んでいた。

 辺りを包み込む光が消えると、そこには三体の人影がある。

 そのうちの一つは影だけでわかる。

 首を片手で抱えるデュラハンだ。


「へぇ、ちゃんと殺す気で放ったのに五体満足なんて」


「ぐっ、デュラハンに死神にヴァンパイアか」


「あら、こちらの戦力は把握していたのね。まぁそっちの4人には呪縛がついてるし当然か」


 見ればリサナリッチは無傷で、立場が逆転してサンドラが首を鷲掴みにされていた。

 アンデッド達の肉体は見るからに損傷して再生し始めてるところだ。

 なるほど、この3体がカタストロームを肩代わりしたのか。


「うっ、くっ!」


「リアス様、ミライ様、無事ですか?」


「不覚だな、くっ」


 周りを見渡せば服がボロボロになって倒れ込んでるミラとイルミナとむっさん。

 いやまだ俺達はマシだ。

 アマゾネスのジャベリンって奴は両腕が大火傷を負ったみたいにただれている。

 ジーンとフリマリは------


「ジーン!?」


 ジーンが確実に重症だ。

 デュラハンと思われる奴の剣が胸を貫いている。

 口から血を吐いて、手は辛うじて剣を握れている程度だ。


「はっ!こいつはジーンとか言うのか!遠目で大将に喧嘩ふっかけたからどんなものかと思ったが、大したことねぇな!」


 まだ生きてるが時間の問題だ。

 聖女のフリマリがいるとはいえ、死んでしまえばどうしようもない。


「ジーン!癒しの歌!ヒーリングソング!」


 このタイミングで聖魔法を使っても------いや、周りが回復すれば脱出できる可能性もある。

 しかしフリマリの魔法が発動することはなかった。


「え、なんで!?歌が、歌えない!?」


「それはそうだよ。君は聖魔法を歌わないと使えない。なら歌わせなければ良い」


 その声の主人を見てみると、そこには1匹の白い竜が浮かんでる。

 フリマリの聖獣だ。

 

「ニルヴァ?」


「どうやらこちらについていても良いことはないからね。僕はこちらにつかせてもらうよ」


 そう言うとニルヴァと呼ばれたフリマリの聖獣が向こうのほうへとふわふわ近づいていった。


「あら?聖獣がついてくれるの?こちらとしてはありがたいけど」


「えぇご主人様。私はあなたの良きビジネスパートナーになって見せましょう」


 嘘だろ?

 聖獣はそこまで不義理なのか?

 いや、クレが前に言っていた。

 メシアやクロ、てぃっくんがレアケースだと。


「さて、まずはこの子を殺してアンデッドにしちゃいましょうか。ドラゾン」


 ドラゾンと呼ばれたのは、おそらく死神。

 サンドラを手にかけようとしてる。


「お前を殺す」


「ルナ・・・にぃ」


「むっさん!頼む!」


「うぉぉぉお!」


 鎌がたどり着くあと一歩のところをむっさんが、死神からサンドラを奪還した。

 俺とミラで援護射撃でライトニングスピアを放つ。


「ジーン!今、助ける!」


 フリマリが歌える環境ならなんとかなるはずだ。

 俺はイルミナに目配せし、ジーンの奪還を図る。

 しかし走り出そうとした瞬間、俺とイルミナの身体がふわりと浮いた。

 これは、まさか!?


「イカロス、マーキュリー?」


「こうだったかしら?」


 まさか、まさかまさか!?

 リサナリッチは魔法を模倣できる!?

 いやイカロスマーキュリーは空属性が入っていて比較的に真似がしやすい魔法だ。

 偶然に決まってる。

 だがもし、そうだとしたら?

 俺はグラビティアースを使うことができなかった。

 グラビティアースを模倣されてしまえば、俺達に勝ち目がなくなる。

 それだけ重力を操れるグラビティアースは強力なんだ。

 ここでジーンを救っても後が無くなる。

 犠牲が出るのは確実だと、そう覚悟してたじゃないか!

 だと言うのに俺はどうにか犠牲を出さずに勝つ方法を考えている。

 ジーンの方に目をやると、ジーンの命の灯火が消えつつあることがわかる。

 何せ顔色は悪く、今にも逝ってしまいそうなそんな顔だ。


「リア、ス」


「ジーン、喋るな!」


「フリマリを・・たの・・んだ」


 その言葉を最後に、握っていた剣を落とした。

 そして最後の力を振り絞り、首につけていたチョーカーを投げつけてきた。

 それは俺がこいつに渡した"信頼の証"だ。


「ジーン?」


 それ以上は何も言わなかった。

 ジーンが俺に見せた最初で最後の笑顔だ。

 そしてジーンは生き絶えた。


「ジーン!?いや、嫌よ!ジーン!癒しの歌!なんで歌えないのよ!」


 フリマリが取り乱してる。

 相棒に裏切られ、パートナーに先立たれたんだ。

 精神を保つ事のが難しい。


「くそっ!」


細君支柱(フィアンコネクト)!二人とも!」


 ミラが俺とイルミナを引き寄せてくれる。

 グラビティアースを使わない意図を察してくれたようだ。

 

「くらいなさいな!韋駄天」


「韋駄天まで!」


「アニキ!ボルカニックマグマ!」


 韋駄天に対してボルカニックマグマは悪手じゃない。

 韋駄天が次々と飲み込まれてるからな。

 悪手じゃないんだが、あのリッチにみせるのは、仕方ないか。


「うぷっ」


 魔力切れだ。

 そんな何度もぽかすかと撃てるような魔法じゃないんだよ。

 寧ろこの世界の人間で3回も放てる魔力を持つだけでも異常だ。


「ふふっ、イグニッション・レイ!」


 ここで聖魔法最強の魔法か!

 リッチが聖魔法を使ってんじゃねぇよ!


「貸しだぞリアス殿!!」


 ドゥーナがマシンガンのようなものでイグニッション・レイの妨害をしてくれた。

 この隙を逃すわけにはいかない!

 

「ミラ!」


「ボルテックランス!!」


 ボルテックランスを何度も撃ち放つ。

 イグニッション・レイが霧散するほどで、何発かはリサナリッチに向かってく。

 しかし全ての魔法がリサナリッチには効かなかった。

 いや、正確には死神がリサナリッチの前に立ちはだかると、魔法が消えていったのだ。


「うぐっ!」


 俺も魔力切れだ。

 流石に最上級魔法を何度も使えばそうなる。

 けどあいつらは無傷だ。

 それに死者も出たし、精神的にヤバい状態のもいる。

 

「さぁ、貴方達も彼のように死になさいな!デスストリーク!」


 デスストリーク!?

 魂を破壊すると言う幻惑魔法の最上級魔法。

 まずい!

 この魔法はシールドを使っても防げない!

 しかしデスストリークが発動しても、俺達には何も起きた様子がなかった。


「なにっ!?どうなってるの?」


「よくわからないが、隙ありだ!」


「隙などない!」


 俺が一瞬の隙を突くも、死神が俺の前に立ちはだかって攻撃を防いだ。

 しかしその死神に噛み付くものもいる。


「ルナにぃ!」


 死神の顔面に拳がめり込んだ。

 サンドラの拳だ。


「ルナにぃ!なんでルナにぃが生きてるの!?」


「誰だ貴様は?」


「ルナにぃ、そっかアンデッドだものね。リアス、こいつはわたしが引き受けるわ!」


 ルナにぃって、言ってた。

 生前の知り合いか?

 ともあれ俺達も死神の相手をしてる余裕もない。

 

「むっさん、デュラハンを抑えてくれ!アマゾネスはヴァンパイアを頼んだ残りでリサナリッチを殺す!」


「「了解!」」


 即時分断だ。

 魔力切れを起こした俺とエンドマだけ。

 特に俺とエンドマは魔力回復速度が速い。

 もう満身創痍じゃない。


「行くぞ!」


「ふふ、ふははは!」


 俺達とリサナリッチ達との闘いは三日三晩続いた。

 そして気がつけば、死神に負けて腕を失って倒れてるサンドラとデュラハンに負けて足を失ったむっさん、ヴァンパイアに負けて血だらけになったアマゾネス達。

 そしてリサナリッチに負けた俺達も、出血が酷くてほとんど虫の息だった。


「はぁ、はぁ」


「ゴキブリかしら?力なさを見せつけられて尚、盾を突くのは愚かと言えるわね」


「黙れ!グラビティアース!」


 グラビティアースは二日目に使ってしまった。

 想像よりも善戦していたからだ。

 勝てると思った。

 そこが運の尽きだった。

 気がつけば俺は惑星魔法のほぼ全てを使い、それでも勝利がもぎ取れなかった。


「グラビティアースはイカロスマーキュリーで相殺できるのよ?残念でした。じゃあまずはそこのメイドから殺そうかしら?」


「イルミナ!逃げろ!」


「リアス・・様」


 しかしうまく立つ事が出来ないイルミナ。

 今現状、辛うじて身体を動かせるのが俺だけだ。

 死神は鎌を構えてサンドラを殺そうとしている。

 ヴァンパイアはむっさんの首に噛み付いてる。

 血を吸われ切って死ぬのも時間の問題だ。

 そしてデュラハンは、ジャベリンさんを投げ飛ばした。

 剣を振り落として殺す気だ。

 仕方ない。

 このままで死ぬくらいなら、俺は賭けに出る。

 <狂戦士の襟巻き>を首に巻きつける。

 何故か思考が奪われなかった。

 俺は即座にデュラハンと死神とヴァンパイアを吹き飛ばした。

 殴った瞬間に3体とも肉体が弾け飛んだ。


「え?何、今の?」


 リサナリッチも流石に驚きを隠せていない。

 それはそうだ。

 俺だって驚いた。

 ここまで強力になってるんだからな。


「リサナリッチ、お前の好きには------あっがっ!」


 しかしそれは長く続かなかった。

 幻想銃(ガンズミスト)が撃てれば恐らくリサナリッチも消滅していたってのに・・・


「血ガ乾く。ククク、人間とは強欲だ。面白い」


 この声は俺?

 しかしその声を聞いたと同時に俺は意識を手放してしまった。

リアス「三日三晩の闘いの様子がみたいって人は作者にこっそり伝えてくれ!」

ミライ「しっかり戦闘シーンは考えてるけどクドい感じになったからカットしたんだよねー」

イルミナ「話数にしたら20話分くらいになりますからね。仕方ありません」

リアス「まぁそれは作者の考えだから、読者のみんながそんな事ないと思えば公開すると思うからそこはみんなよろしくな!」

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