10.異世界の魔王様が部下を連れて敵情視察に赴いているようです。
ひさしぶりの投稿です
よろしくお願いします(^^)
――異世界 オストラント――
「最近リオ見ないんだけど、あのおっぱい女どこ行ったの?」
「あやつでしたら、勇者がいると言われる彼の国へ行きましたぞ。確か魔王様のために未熟な勇者を討ち取るとか言ってましたな」
「はぁ? あいつ何余計なことしてんだよ。僕の楽しみを奪う気なの? さてはおっぱい揉みまくったこと根に持ってんのかな。これって絶対僕に対する嫌がらせだよね?」
「さあ。そのような考えを持っているとは思えませんが……。あやつは魔王軍の中でも頭の固さは随一ですからな」
「まあ、おっぱいの柔らかさも魔王軍随一だけどね」
しきりにおっぱいと口にする子供と頭に大きな角を二本生やした筋骨隆々な壮年の男は壁に開いた小さな穴をのぞき込みながら、この場にいない魔王軍三大将の一人、メルクーリオ・エンドレスのことを話していた。
一人はオストラントの現魔王エクレイル。見た目はただの子供だが、その強さは歴代魔王の中でも最強と言われ、オストラントに存在する者の中で並ぶ者がいないとされる。そして、となりにいるのは魔王軍三大将の一人で魔王を除けば魔王軍におけるナンバーワンの強さを持っているバロム・ガスタロスである。
そんなオストラント最強のツートップは今、人間の領土に潜みながら敵情視察の真っ最中であった。
「どうだいバロム。やはり女は人間に限るだろう?」
「どうでしょうな。あのような柔な肉体では、少し小突いただけで血煙になってしまいそうですが」
「おまえは馬鹿なのかい? 小突く必要なんてないだろう。思いっきり力を押さえて、優しくおっぱいなり、おしりなりを揉んで上げればいいのさ」
「そういわれましても、儂は力を押さえるというのはどうも苦手で……残念ながら魔王様の趣向にはむかないようです」
「それは残念。……どうにも僕の部下には人間の女の良さが伝わらないらしいね。もしこの良さを共有できる者がいれば魔王軍の大将にしてあげてもいいのに」
エクレイルは不満げにそう呟いた。
「して、そろそろお戻りになりますか?」
「先帰ってていいよ。僕はもう少し目の保養をしてから帰るから」
「わかりました。……魔王様もほどほどに」
バロムはは壁の穴に顔面を貼り付けて離さない魔王を置いて、さっさと魔王城のある北の地へと飛んで行ってしまった。
しばらくして、人間の浴場をのぞき見ていたエクレイルが、満足げに壁から顔をはがした。
「はあ~。眼福眼福。どうして人間の女はあんなに繊細で幸せな形をしているんだろう。今すぐにでもあの中に飛び込みたいけど、人間とは和平条約を結んでいるから人間に接触することは出来ないし……」
先代の魔王が勇者に敗れて後、魔族と人間の間には相互不可侵条約が結ばれた。そのため、魔族は表だって人間に接触することはできないのだ。
「ぶっちゃけ。そんな条約ぶち破って人間の国に攻め入ってもいいんだけど、まだあいつが生きてるからなぁ」
人間界には未だ勇者が存命である。すでに高齢とはいえ、その力は想像を絶するもので、先代魔王も勇者には全く歯が立たなかったと言われている。
「僕なら勝てるような気もするんだけど……今はタイミングが悪いんだよなぁ」
魔王軍三大将のうち、一番まともに魔王軍を指揮できる者が不在である。そのため、今戦うとなると魔王軍は攻め手においてまとまりを欠き、守りなどそもそも魔族の性質的に不可能となる。結果、人間にいいようにやられてしまうだろう。
「全く。魔王軍の兵権を預けてやってるってのに、必要なときに傍にいないなんて、本当に使えない部下だなぁ。これは罰が必要だよね」
にやりと笑みを浮かべると、エクレイルもバロムが去っていったのと同じ方角へと飛んでいった。
次話はまた時間のあるときに投稿予定です。