1.引き出しの中から出てきたのはドラ○もんではなく黒い羽根と角の生えた魔王軍の幹部でした。助けてください。
あらすじが一話の内容の総集編になってしまっているのはスルーの方向で。正直素人さんにはあらすじとか何書けばいいのかわかりません(´・ω・`)
あらすじがネタバレになっていますが、どうかよろしくお願いします(懇願)
俺には命の次に大切なものがある。それがこの、机の引き出しの鍵だ。鈍く輝くただの安物ではあるが、こいつは俺のコレクションを守る、鋼鉄の番人である。……ステンレス製だけど。
今日も学校から帰った俺は、椅子に座って一息つくと、日課であるコレクションの鑑賞を始める。まずは財布から鍵を取り出し、鍵穴へと差し込んで、時計回りに回す。
ガチャリという音がしてから、ゆっくりと引き出しを開けていく。
一番初めに、視界に飛び込んでくるのは、カモフラージュ用の日記帳。これはとある漫画から得た知識で、鍵付き引き出しの中身のダミーとして活用している。これの下にある板を外した先にしまってあるものが本命のコレクションだ。ちなみにこの日記帳はコレクションを拝み終わった後で、いつも適当に中身を埋めてしまっているだけの代物だ。特に意味のない日々の繰り返しを綴っているだけで本当に何の価値もない。
俺はダミーの日記帳を取り出すと机の上に放っておいて、カモフラージュ用の板を外す。
おはよう、俺の大切な大切なコレクション達。今日もたっぷり愛でてあげるからね――って、なんだこれ?
引き出しを開けると秘蔵のコレクション達が俺を出迎えてくれるはずが、何もなかった。いや、何もないわけではない。そこには大きな穴があったのだ。
穴?
おいおい、何言ってるんだって、思うだろう。
普通引き出しに穴が開いてれば、その下には当然俺の貧弱な太ももが見えるだけなのだが、なぜかその穴はどこまでも深く、暗闇に包まれていた。
「なにこれ。もしかしてあれか。この中にはタイムマシンでもあるのか」
そして、未来の世界からやってきた青いネ○型ロボットが現れて俺を便利な道具で助けてくれるのだろうか。
そんな馬鹿な。
俺は何を言っているんだ?
その発想はさすがに頭がカーニバルしすぎだろう。
これは夢だ。
夢に違いない。
でなければ俺のコレクション達は次元のはざまに放り出されてしまったことになる。そうなれば、今頃俺の秘蔵のコレクション達はタイムパト○ールに押収されてしまっていることだろう。……それはあかん。
だからこれは間違いなく夢だ。
きっと俺は帰ってきてすぐにベッドへダイブして眠ってしまったに違いない。なら、夢の中でも眠ってしまえば、きっと現実世界に帰還できるだろう。
よし、待っていておくれ。俺のコレクション達! 今帰るからね!
俺は引き出しを閉じて立ち上がった。
その瞬間、勢いよく引き出しが飛び出してきた。
「うごふっ……!?」
股間に激しい衝撃を受け、俺はくの字に折れ曲がって、床で悶絶する。安静時だからよかったものの、覚醒時だったら確実に折れてた。
何故か、夢なのに死ぬほど痛い。
……というか、なんで引き出しが。
俺は患部を抑えながら、勝手に急所へと飛び込みくさった引き出しに視線を向ける。
すると、引き出しの中から何かがのっそりと出てきた。
ドラ○もんかと思いきや、現れたのはすらりとした四肢に、白磁色の肌と漆黒の髪を持つ、真っ黒な羽根と赤い角の生えた美女だった。
「ここが彼の国か。何と面妖な」
見るからに面妖な奴が、何言ってんだ。というか誰? どちら様ですか?
俺の視線に気づいた美女は俺を見下ろす。その目は圧倒的な威圧感を放っていて、睨み付けられた俺は一瞬で恐怖に支配され、普通に漏らした。それを見た美女は憐れみにも似た表情を浮かべ、口を開く。
「貴様は彼の国の人間か。ふん、見るからに脆弱そうななりをしておる。触れただけで肉片と散りそうだ」
なんかめちゃくちゃ怖いこと言ってるんですけど。
え、これ、夢だよね?
夢じゃないと俺、次の瞬間、血しぶきに変えられちゃいそうなんだけど。
虫けらを見るような眼と、恐怖と困惑に塗れた目が交錯する。
これが俺、藤崎雄二と魔族の将、メルクーリオとの出会いだった。
二話も書き終えたので、ついさっき予約投稿しておきました。という事で次話の投稿予定は2016年12月11日(日)です。