The witch put a curse on the knight.
家を飛び出した俺は広域探索の魔術を起動させ、魔術師の位置を探る。
家を飛び出した時に護符を放置してきてしまったのは誤算だった
そんなことを考えていると広域探索が終了し、場所が特定出来た。
[西岡ビル前]
俺の予想は外れていなかったらしい。
俺の歩みは止まらず、建物から建物に乗り移りながら疾走する。
そんな中一つの疑問が思い浮かんだ。
なぜこの魔術師は自らの魔力を隠そうとしないのかである。
本来で有れば拡散魔術を用いて、術者の位置などを第三者から撹乱するのが正攻法である。
しかし、今回の術者のはそれをしていない。
俺の知らないうちに戦い方が変わったのか?
俺の疑問は一瞬で遠い彼方に置いてけぼりになる。
が、その疑問は次の瞬間に解決することとなる。
西岡ビルの前にいる術者…それは黒い人型であった。
俺は注目していた。
黒い人型…クレヨンで雑に塗りつぶされたような人型の何かに銀で出来た十字架をモチーフにしたであろう剣が背中から突き刺さっている。
顔はのっぺらぼうで、手足の指もない
まるで悪夢から飛び出してきた名前もない怪物のような…そんな印象を受ける
怪物は俺に気がついたようだった。
なんであれ、アレが俺に有益なものとは思えない…
先手を取るか…様子を見るか…
悩んでいる暇などなかった
人型が手のひらを俺の方に向ける
俺は無意識に魔力を込めた手を水平に振り抜く
バチンと、放電するような音が響き、手を振り抜いた先にある壁に穴が空く。
「魔弾か…」
俺に敵意があるのははっきりした。
よってこの後の行動もはっきりする。
ーーーーーーーー敵の殲滅
「来い、アロンダイト」
胸元のペンダントを引きちぎり、拳に魔力を注ぎ込む
彼の剣、アロンダイトは日本刀に近い形状をしている。
刀身は二つあり、短い小刀程度の刀身と、通常の刀身が垂直に並んでいる。
このアロンダイトこそがが湖の精ミニュエから戴し騎士の印
そんな剣が突然出てきても怪物はピクリとも反応しない。
アロンダイトを腰に据えたランスロットと、銀の剣を自ら引き抜いた人型が対峙する。
先手は怪物
向けられた魔力の込められた左腕が一直線にランスロに向かってくる
その腕を左右にステップを踏みながら切り刻んで行くランスロ
剣がぶつかり合うのにそこまでの時間は必要なかった。
剣戟
人型の剣術とも呼べないずさんな戦い方に勝敗が決するのはそこまでの時間が掛からなかった。
水平に振られた剣を刀が叩き上げ、返す刀で怪物の肩の部分から一気に斬り下ろす。
斜めに抜けた刀がが鈍い輝きを放った
しかし、ランスロットはそれを見ていなかった
彼の目は怪物の何もない顔の部分を凝視していた。
何もない空白の表情
その中に恍惚に微笑む悪意を俺は感じた気がした…
「やばっ…」
彼の声は人型の発した爆音に掻き消されたのだった。




