表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
せいしゅん部っ!  作者: 乾 碧
第一編〜五章〜
93/384

青春部の皆とそして真弓と #3

自分の部屋に入った成美は、扉を閉めて、そこにもたれかかる。

「………………」

護の名前を出しただけで、渚の気持ちが変わったような、そんな気がした。

だからといって、渚に力を貸すわけにはいかない。自分だって、今日は頑張らないといけないからだ。

扉から身体を離し、成美は椅子にドッと身体を下ろす。

「ふぅ…………」

時間的に、こんなにのんびりしている暇は全く無い。着る服を選んで、すぐ御崎駅に行かなければならない。

しかし、どんな服を着れば良いのかが分からない。

渚みたいにイメージチェンジをしようとしても、成美の場合は、露出度を控える形になる。

「暑いし…………」

昨日ならまだ良かった。だが、今日は駄目だ。気温が高すぎる。

「どうしよう…………」


「護ーっ! おっはよー」

御崎駅に着くと、いたのは杏先輩だけだった。周りを見回してみても、他の皆は、まだ来てないことが分かった。

「おはようございます」

杏先輩は、ミントグリーン色のチェニックブラウスを着ていた。リボンベルトが付属で付いているようで、ウエストが強調されている。

杏先輩には、とても似合ってる気がする。いつもより、ウエストが細くなっているのだろうか。というか、青春部の皆は細いと思う。

「今日暑いね〜」

「そうですね…………」

「私、長袖着てきたから余計にね……」

そう言いながら、杏先輩は、肘までまくっていたのであろう服の袖をおろした。

「マジですか…………」

「うん。こんなに暑くなるとは、思ってなかったからね。準備してなくてさ」

杏先輩は、もう一回袖をまくる。

「あ、そうだ。護」

「はい? 」

「何かしたいこと…………ある? 」

「何も決めてませんもんね……」

集合場所と集合時間。それだけを決めて、昨日は解散だった。まぁ、俺が病み上がりだったから、皆が気を効かせてくれたのだろう。

「だね…………」

特に、何かしたいという気持ちはない。適当にショッピングしたり、映画を見たり、そんなんで良いと思う。

しかし、皆で集まることが出来たので、今日しか出来ないことをしてみてもいいのかもしれない。まぁ、思いつかないんだけど…………。

「夏ですねぇ…………」

「そうだね…………」

こうして、俺と杏先輩は、横に並んで他の皆を待っているんだが、そうしているので、余計に暑く感じてしまう。

気温が高いので、何もしていなくても汗が出てきそうになる。本当に暑い。

「まだ六月ですよね…………」

「そうだね……。これから、まだまだ暑くなるんだよ…………」

「憂鬱ですね…………」

「だね…………」

段々と、喋るのも面倒になってきた。ヤバいヤバい。

「護は、泳げる? 」

「それなりには泳げますけど…………」

「だよねー。プール行く……? 」

「今日ですか……? 」

まぁ、こんなにも暑かったら泳ぎたい気持ちにはなる。しかし、今日は、水着とかは持ってきていない。

「違う違う。夏休みに入ってから」

「ですよね。準備してませんし」

「でね? 水着買おうと思ってるんだけど……」

「はい」

俺も買ったりしようかな。まぁ、去年のやつでも着れるような気がするが。

「選んでもらっていい? 」

「俺がですか? 杏先輩の水着を? 」

「うん。駄目? 」

「駄目ではないですけど…………」

まぁ、色々とまずいような気がするけど……。男が女の子の水着を選ぶってのは。

「今日買いに行くんですか? 」

「何も案が出なかったら、それでも良いと思ってるけど、他に良い案が出るならそっちを優先するよ」

よし、他の案を考えよう。

さっきも言った通り、水着を選ぶのは別に良い。ただ、今日買いに行くとなるなら、他の皆も水着を買うと言い出すだろう。

男からすれば、女の子の水着を選ぶなんてことは滅多に訪れないチャンスだし、良いかもしれない。しかし、もし今日買いに行くのなら、俺は、九人分の水着を選ぶことになる。それはそれで大変だ。良い体験にはなるだろうけど。

もしそうなったら、羚に自慢でもしてやろうか。

「護は、水着買いに行くことに賛成でしょ? 」

確認を取るように、杏先輩は聞いてくる。え……、これは頷かないといけない雰囲気…………?

「まぁ…………、構いませんけど……」

「うん、ありがと」

「いえいえ……」

杏先輩は、ニッコリと微笑む。まぁ、こんな笑顔見せられたら断れないし、こんな笑顔を見れるのなら、良いのかもしれない。

「あ、悠樹が来たみたい……」

杏先輩が指を指した先に目をやると、白色のワンピースを着てこっちに向って来る悠樹の姿が、そこにあった。

「おはよう、護。杏先輩もおはようございます」

「おはようございます」

「うん、おはよ」

悠樹は、普通に俺の横に立つ。

「ねぇ、悠樹」

「…………? 」

「今日ね、悠樹は何がしたい? 」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ