表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
せいしゅん部っ!  作者: 乾 碧
第一編〜五章〜
91/384

青春部の皆とそして真弓と #1

次の日。

絶好の遊び日和だと言わんばかりに、太陽様は、俺達の地球を照らしてくれている。

まだ六月の初旬だというのに、この日の気温は、三十度を超えていた。あまりの暑さに、それで今日は起きてしまった。だから、寝起きはすごい悪い。

姉ちゃんもそうだったらしく、リビングに行くと、姉ちゃんはむすっとした顔で、テレビの天気予報を見ていた。

例年よりも、五度ほど今日の気温は高いそうな。何でこんなに暑い日に、外に出なきゃならんのだろうか。

まだ、だからと言って、断れるわけも無いし、俺も楽しみにしている。いくら、青春部として毎日のように会ってるとしても、学校とそれ以外では、違う印象を受けるものだ。その人の私服とかも、そこで知れるわけだしな。

俺は、帰ってくるのは遅くなる、と伝えて、家を出た。

昨日、あの場で決めたのは、ただ遊ぶということと、集合時間と場所しか決めてない。それゆえ、何時に解散するかも分からない。

でも、早目に帰れることだけは無いだろうと思った。何たって、青春部全員と真弓とで、遊ぶのだから。

あ、ちなみに、俺の服装は……………………、え? 聞かなくても良い?


暑い。

いつもより早く起きた真弓は、とにかくそう思った。そして、何でこんなに暑いのかと、自分達をサンサンと照らす太陽に文句を言いたい気分になる。

といっても、実際にそんなことが出来るはずもないので、諦める。本当なら、もっと過ごしやすい気温の方が良かったと思うが、もう夏も近いから仕方ないのかなと、真弓は思う。

でも、真弓はこんなこともあろうかと。

「じゃじゃーん。キャミソールを買ってたのだ! 」

誰に聞いてもらうというわけでもなく、独り言のように真弓は言った。

そう言いながら真弓が取り出したのは、アイスブルーの色をしているキャミソール。それだけでは上半身だけなので、デニムのショートパンツも引っ張り出してくる。

すぐに着替えた真弓は、まだ集合時間まで時間があったから、自分の部屋をグルグルと回り始めた。

「何して遊ぼっかな……」

昨日、皆で遊ぼうと提案したのは、真弓だ。

しかし、何をするとまでは決めてなかった。何故なら、見切り発車で言った提案だったから。皆が、こんな短時間では護の側から離れないと思ったから、真弓はそう言ったのだ。

しかし、皆は真弓の提案に乗った。そうなるとは思っていなかったから、真弓は、今でもどうしてなのかを考えて居る。当然、答えは出てこないのだけれど。

「うーん…………」

発案者は真弓なのだから、考えなくてはならない。

「あ、プールとか………………、でも駄目かな…………」

良い案だとも思ったが、そもそも水着の問題がある。どうせなら、新調して、新しいものでプールに入りたい。こう思っているのは、真弓だけではないはずだ。

「どうしよっかな………………」

結局真弓は、集合時間ギリギリになるまで、頭を悩ませていたのだった。



珍しく白い色のワンピースに身を包んだ悠樹は、太陽を見上げて。

「暑い」

と、呟いた。

護と遊べるから、悠樹は、ずっと天気を確認していた。だから、こんなに晴れて良かったと思っている。

ただし、ここまで気温が高くなる必要があるのだろうかと、思ってしまう。

携帯で今日の気温を見たときは、少しばかり自分の目を疑った。

昨日の天気予報で気温が上がるとは言っていたのだが、まさか、ここまで上がるとは思っていなかったのだ。

「むぅ…………」

だから、悠樹は、ワンピースを着ているのだ。時間が無いため、夏服を探している時間がなかったのだ。

出来ることなら、もっと時間をかけて、今日着る服を選びたかった。

……どうして……?

悠樹は、自分に問う。

理由なんて、一つしかない。

……護のことが好きだから……。

そんな絶対に変わることの無い想いを胸に抱きながら、悠樹は、集合場所の御崎駅に向かった。


「やっぱ、誰もまだ来てないか……」

杏が御崎駅に着いた時、まだ誰も到着していなかった。時間は、八時半。集合時間の三十分も前だ。

「あっつ…………」

そう口に出しながら、杏は、着てきた長袖のシャツを肘が出るくらいまでめくりあげる。

何で長袖を着てきてしまったのかと、少しだけ後悔する。

「何しよ……。今日」

特にこれがしたいというものは無い。護と休みの日にいれるという、ただそれだけのことで良いのだ。買い物をしたり、一緒にご飯を食べたりするのは、二の次三の次だ。

だからこそ、いつもなら率先して意見を言ってきた杏だったが、今日は真弓に任せている。提案者でもあるわけだし。

目的が無かったとしても、ここは御崎駅。のんびりとゆっくりと見て回るだけでも、良い収穫になったりする。

「夏…………、水着…………」

何も案が出なかったら、水着を買いに行くという選択肢も良いのかもしれない。

丁度護もいるわけで、もしそういうことになれば、直接意見を聞くことが出来る。護は大変になるだろうけど。

「楽しそうかも…………」

プールにこの青春部全員で行ければ、どれだけ楽しくなるのかを考えてしまう。それだけで、はやく夏が来てくれないものだろうかとも、思ってしまう。

青春部、そして護の存在というものは、杏にとって、とても大切で何物にも変えられないものなのだから。杏が意識するまでも無く、そういうものになっていたのだ。

「護………………」

誰にも聞かれないように、杏は、そっと護の名前を口に出した。




「うぅぅ…………」

目を覚ました心愛は、朝食を食べるよりも前に洗面所に立ち、そこに映る自分を眺めていた。

「うぅぅぅ………………」

もう一度心愛は、情けない声をあげる。

悩んでいる。心愛が悩んでいるのは、髪型のこと。

悩むこと無く、いつも通りツインテールにすれば良いのかもしれない。しかし、それでは物足りないと思ってしまうのだ。

どうにかして、護を驚かせたいと思ってしまう。ただ、新しい印象を護に与えるために。

「心愛? 今日出かけるんでしょ? 早く朝ご飯食べなさいよー? 」

母が、洗面所に顔だけを出して、心愛を急かすような言葉をかけていく。

「分かってる」

心愛は、なおざりに返事をする。今の心愛にとって、朝食なんてものはどうでも良いのだ。髪型をどうするかだけが問題なのだ。

まぁ、お腹は空いているのだけど。

「どうしよ…………」

いつもツインテールなのだから、髪をおろしただけでも、かなり印象は変わるはずだ。

「ポニーテール……」


佳奈は、たとえ今日が楽しみだとしてもいつもの時間に起きて、ご飯を食べて、それから自分の部屋に戻った。ここからは、いつもより、時間をかけるつもりだ。

「ふぅ……」

一息入れる。これからの事に思いを馳せながら。

ゆっくりと、佳奈はベットに腰掛ける。

そして、どんな服を着ていこうかと考える。

いつも通りの服装で、自分に似合う服を着れば良いのかもしれない。けど、どうせなら、護の好みにヒットするような、そんな服を着ていきたい。

今日は、チャンスの日なのだ。

自分が風邪を引いたことにより、以前より護との距離は、凄く近くなったと佳奈は思っている。

だけど、もっともっと近くに護を感じられるようにしたい。自分にとっての護は、そう思えるほどの存在なのだ。

しかし、青春部の皆と真弓もいる。もしかしたら、二人きりになれないかもしれない。護が別の人と二人きりになってしまうのかもしれない。

たとえそうだとしても、今日、自分がしなければならないことが、一つだけある。

たった一つだけの願いを叶えるために、佳奈は、行動を開始した。

「よしっ……! 」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ