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せいしゅん部っ!  作者: 乾 碧
第一編〜五章〜
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そして……

「ふぅ…………」

皆を玄関まで見送って、自分の部屋に戻るとすぐにベットにどさっと倒れる。

急に静かになった。それもそうだろう。さっきまで、青春部のメンバーがここに全員集まっていたのだから。

それにしても、全員がお見舞いに来てくれるなんて思ってもみなかったし、正直とても嬉しかった。しんどさも、どっかに飛んでいったみたいだし。この恩返しは、いつか絶対にしなくちゃならない。

「護、入って良い? 」

姉ちゃんが、俺の部屋をノックした。珍しい。いつもは、勝手に入ってくるのに。

「良いよ。どうしたの? 」

「晩ご飯、どうする? もう食べられる? 」

「大丈夫」

今でも、若干お腹がすいているくらいなのだ。晩ご飯が出来るまでの数時間、もつかどうかも分からない。

「良かった。また私が作るから楽みにしててね」

「母さんは…………? 」

「今日も仕事で遅くなるってさ……」

「そうなんだ」

「あ、護の熱が下がったってことは、ちゃんと言ってあるから」

「うん、分かった」

姉ちゃんは、俺が頷いたのを確認すると、部屋から出ていった。まだちゃんと寝ておきなさいよ? という言葉をつけながら。

俺は姉ちゃんの言葉に従うように、ベットに潜った。明日も出かけるわけだし、今のうちに疲れも取っておかなければならないだろうし。


「………………ん? 」

日も暮れて、夜が始まった頃、気持ち良く寝ていた俺を起こしたのは、姉ちゃんではなく携帯の着信音だった。

メールなら後で見ようかとも思ったが、今回は電話だったので、俺は急いで起きて、誰からの着信かも見ないで、電話に出た。

「もしもし……? 」

「すいません。葵です」

「どうしたんだ……? 」

「護君、もしかして寝てました? 」

「まぁな……」

「じゃ、起こしてしまいましたね。ごめんなさい」

「良いよ、気にしないで。で、どうかしたの? 」

「あ、はい。丁度後一ヶ月で期末試験が始まるのは知ってますよね? 」

「あぁ…………」

そうだった…………。一ヶ月なんて案外速いものだし、のんびりとしてる場合ではないのかもしれない。

「それでです。テスト前最後の土日のどちらかに、一緒に勉強しませんか? 」

「両方、ってのは無理なのか? 」

出来ることなら、その方が俺としては嬉しい。だって、勉強も教えてもらえるし、よりはかどるかもしれない。

「護君がどちらとも勉強したいというなら、私は構いませんよ」

「ありがと。でさ、今回も、青春部皆で勉強するのか? 」

俺のこの問いの後、数秒の間沈黙が訪れた。

「…………いえ。私と護君だけでしたいと思ってます」

「二人で? 」

まぁ、そりゃ人数は少ない方が集中は出来るし、その方が良いかもしれない。

「護君は、私と二人きりになるのが嫌なんですか? 」

「や、そういうわけじゃないよ。ただ、びっくりしただけだから」

「良かったです」

葵の声からも、言葉通りの感じが伝わってきた。

これで、また土日が潰れるということになる。青春部に入ってからから、毎週毎週、週末に何かをやっているような気がする。気のせいかな…………。

「で、時間はどうするんだ? 」

「まだ決めてないです。時間の指定はありますか? 」

「俺は何時でも良いよ」

「分かりました。じゃ、時間は追って連絡します」

「うん、分かった」

「じゃ、また明日。楽しみましょうね」

「おぅよ。じゃあな」

「はい」


電話を終えた葵は、よしっと小さくガッツポーズをする。

護と二人きりで勉強するという約束をすることが出来た。

しかし、勉強なんてものは、ただの口実にすぎない。護と一緒にいることが出来るなら、それだけで良いのだ。

ただ、一緒にいると約束したのはテスト前。勉強は、きちんとしないといけない。

でも、息抜きは必要。その時が、葵にとって大切にしないといけない時間だ。

ようやく、二人きりになれるチャンスを手に入れることが出来たのだ。

このまま、この二人きりの勉強会が周りにバレなければ、それが実際になる。

自分がバラさなければ、絶対にバレることは無いと思う。護は、きちんと人の思いを汲んでくれる人だからだ。葵が二人きりが良いと言うのなら、そうしてくれるはず。

……楽しみです……。

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