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せいしゅん部っ!  作者: 乾 碧
第一編〜一章〜
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青春部

 「ここが、青春部?」


 俺達の教室がある場所が東棟だとすれば、この場所は北棟となるだろう。その棟の一室に、応接間があった。それを知らせるプレートが掛けられており、すぐに分かった。どうやら、ここが青春部の部室らしい。


 「はい。そうです」

 「ここって、先生たちが使ったりしないの?」

 「私達が入学する前くらいは、ここを使っていたらしいのですが、別の部屋に移動したそうです」

 「それで許可がおりたのか」

 「そうみたいです」


 心愛が話に入ってくる。


 「この青春部も最近できたらしいよ」

 「そうなんだ」


 俺達が入学したのも最近。


 心愛は扉をノックする。


 「あのー、昨日も来た成宮心愛なんですけど、今日も少し見せてもらってと良いですか?」


 声が返ってくる。


 「良いわよ。入って」


 その声に誘われるように、俺たちは三人は部屋に入った。



 「失礼します」


 挨拶をし、顔を上げた先には三人の姿があった。


 扉から直線上に伸びる位置には三年生のマーク、緑色のリボンをつけた女子がいた。たぶんあれが部長だろう。


 その前には同じく緑色のリボン女子。俺から見て左前にいる黄色のリボンをつけた二年生の女子。

 俺はその三人を見、一瞬たじろく。


 (ちょっとまて)

 

 女子しかいないのだろうか。別に困りはしないわけで、むしろ逆に、こういう状況に対して人並み以上に耐性があるつもりだ。中学の時もそうであった。男友達もそれなりいたが、それよりも女友達の数のほうが多かったような気がする。


 「あなた達二人は一日振りだね。そこの彼は?」


 部長さんは俺を指す。


 「彼は私達と同じクラスの宮永護君です。昨日も言ってあるはずですが……」

 「そうだったっけ?」


 と部長さんは隣に言う。


 その隣の人は見覚えがある。入学式の時、生徒会長として挨拶をしていた。


(生徒会長がこの部活に入ってるのか……?)


 「杏はまた忘れたのか? はぁ、宮永君と言ったか。悪いな。杏にはこちらから言い聞かせておくから」

 「いえ。気にしないでください」

 「そうか。杏」


 会長さんは部長さんに振る。


 「ん? 何?」

 「何? ではないだろう。私達の紹介もしないとダメだろう」

 「そうか。うん、そうだね」


 一先ず部長さんが立ち上がる。


 「私は、この青春部の部長をしている織原杏。本当なら、私の隣にいる佳奈に頼もうとはしたんだけどねぇ……、生徒会長だからってことで断られたのよね。それで、私がね。後、私の事は気軽に杏と呼んでも良いよ」


 部長さんは見た目だけで言ってしまえば、生徒会長とは違い活発な女の子、薫や心愛みたいなものだ。部長としてやっているということは、それなりの人望があったりはするのだろう。


 「次は私か。と言っても知っている人の方が多いだろう。この学校の生徒会長をしている麻枝佳奈だ。実質あまり参加はできていないが、部長は私みたいなものだ。見てもらったら分かるだろうが、こういう性格だ。私に何でも押し付けてくる」


 何だ。さっきは見た目とは反して真面目かと思ったのに。


 「まぁ、そうと言っても幼馴染という面から見なくても、良いところはあるから私ばかりではなく、杏にも頼ってやって欲しい」


 彼女が言うからには、根は真面目なのだろう。


 そんな事をいわれた部長さんは「いやぁ、照れるじゃないか」とか言いながら顔を赤らめている。


 「次は悠樹だぞ」


 会長さんは、斜め前に座っている子に言う。


 悠樹と呼ばれた子は。


 「高坂悠樹」


 だけ言って、すぐに先ほどまでしていた手芸に戻ってしまった。


 「悠樹、それは簡単すぎる。もっと何かいう事があるだろう。趣味とか」

 「趣味は、読書」


 会話が止まる。


 この空気に耐えられなかった俺は質問した。


 「今は……、何を編んでいるんですか?」

 「内緒」


 またしても沈黙が訪れる。


 今度は、部長がその沈黙を割った。


「ま、まぁ。悠樹はいつもこうだからー。後二人いるんだけど今日は来てないから、次来た時にでも紹介するね」


 それを合図にしてか、チャイムが鳴る。


 「チャイム鳴ったね。今日は紹介だけになっちゃったけど………、また明日ってことで。それじゃ解散!」

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