青春部への誘い
心愛の家に行ってから数日、俺、心愛、薫の三人は、一緒に登校するようになっていた。
心愛は前よりも増して元気になり、そのおかげ(?)で薫、葵、心愛の三人は仲良くなった。
薫と葵は、ライバルがいることには気付いていたらしいが、心愛は知らなかった。しかし、心愛はそれを起点と考えたのだろう。朝に「あたし達友達になろうよっ!」と言い、その日の放課後には、もう仲良くなっていたのだ。
いや、女の子は分からないものである。
「護。アンタ、部活は入ってないよね?」
心愛がそう尋ねてくる。
「入ってないよ。けど、それがどうしたんだ? 」
「それについては葵から」
心愛は葵に振る。
「この学校には、青春部なるものがあるらしいのです。それで私達三人とその部活に入ろうかなぁって思ったんです」
(なんだそれ)
「その青春部ってのはなにをする部活なんだ? 」
「活動目的は、青春を謳歌する為に集まると書いてあります」
「どんな部活だよ。良くそれで許可が下りたな」
「平たく言うと、ただ集まって、喋ったりゲームしたりするみたいだけどね。あたしと葵で昨日行ってみたんだよ」
心愛がそういう。
「家に帰っても暇だったし、まぁ良いよ。その部活に入っても」
何か特別なことをする必要がない。いまいちよく分かっていないが、拒否する理由はない。入る理由もないわけではあるが。
俺がそう言うと、隣で聞いていた薫が何かに気付いたようで。
「ちょっと待ってよ! それだったらあたしはどうなるのよ! あたしもうすでに部活入ってんだけど」
「それなら、別に入らなくても良いんじゃない?薫は護と家近いんだし」
「それとこれは違うでしょ! あたしだって護と一緒に部活がしたくて、中学の時から誘ったりしていたりしたんだから! 」
「それに関しては大丈夫ですよ、薫。青春部は兼部ができるから」
葵がそう提案する。
「でも、ほぼ毎日あるんだけど……………………」
薫は腕を組み考え始め。
「明日までに考えるよ。それでも良いでしょ。心愛。葵」
「私はそれでも良いです」
「あたしもそれで良いよ」
「ん。ありがと。それじゃ部活行ってくるから」
薫は煮え切らない表情をしながら、部活へと向かった。
「で、その青春部は、週何日くらいの活動があんの? 」
「基本、毎日あるとは聞きました」
「週末には、メンバー全員で遊びに行ったりするとも聞いたよ」
「そうなのか……。それ、薫にとったらきついんじゃないか?」
俺は薫のことを考えながら。
「あいつはさ、昔からハンドボール頑張ってたんだよ。兼部も、もしかしたら大変だと思う」
「もし、薫が無理だと言うなら、私達は青春部には入りません。その時にまた考えますよ。心愛も同じ考えですよね」
「……………………そうだね。三人一緒じゃないと意味ないしね」
「そうだったら、薫も喜ぶかな」
話も一段落したところで時計を見てみると、まだ完全下校時刻まで時間があった。
「まだ時間があるし、一回その部活見に行こうよ」
「良いよ」
「それなら行きましょうか」