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せいしゅん部っ!  作者: 乾 碧
第一編〜四章〜
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事件の後の憩いの場はデートのようで #5

「でも・・・・・・、俺、一回食べましたよ? 」

・・・・・・私はそれを分かった上で聞いてるんだがな・・・・・・。

「私は、そんな事気にしないぞ? 」

「わ、分かりました・・・・・・」

護は諦めたような顔つきで、佳奈に自分のアイスを手渡す。

「私のも食べてみるといい。美味しいからな」

護の抹茶味のアイスを手に取ってから、自分のマロン味のアイスを差し出す。

佳奈は、護がマロン味のアイスを食べる前に、抹茶のアイスを口にした。

護はそんな佳奈を確認してから、若干顔を赤くしながら、アイスを食べる。

・・・・・・うん。抹茶だな。

佳奈はそう端的な感想を抱いた。少し味が濃いような気がする。

「抹茶に比べると、マロンは丁度良い感じですね」

護は苦笑しながら、そう答える。

「そうだな」

護がどうなのかは知らないが、基本的に佳奈は、和風なものより洋風なものを好む。食べ物に関しては。

だからといって、抹茶が嫌いだというわけではない。

嫌いであるなら、わざわざ護から貰ったりはしない。ただ、滅多に抹茶を使った食べ物を食べたり、飲んだりしないだけだ。

「護は・・・・・・」

佳奈はそう切り出し、アイスを返してもらってから、気づかれないように距離を縮める。

「どうしました・・・・・・? 」

「いや、なんでもない。それより食べようか。溶けてしまってはもったいないからな」

「そうですね」


真弓は遥に自分達が植えようとしている花の種を、買いに行かせる。

護と二人きりになった佳奈が、どういった行動を示してくれるかを見るためにだ。

アイスをたべながら、楽しげに話そている二人の姿が目に映る

・・・・・・お似合いだね。二人は。

真弓は、心の底から本当にそう思う。

無論、真弓と遥の二人で買う、といったのも作戦の内だ。

自分達が一番知っているというのもあるが、目的は護と佳奈の仲の発展だ。

それだけがきちんと出来ればいいのだ。

・・・・・・頑張れ。佳奈。

佳奈を応援する気持ちは何も変わらない。

・・・・・・本人は自分の気持ちに気づいていないようだけどね・・・・・・。

真弓は苦笑しながら、思う。

だからこそ、自分の気持ちに気づいてもらうために、真弓はこういった行動にでているのだ。

「真弓さん。買ってきましたよ」

遥がビニール袋を片手に提げ、戻ってくる。

「うん。ありがとね。全部あった? 」

「はい。でも・・・・・・、こんな少なくていいんですか? 」

「うん。後は私の家から何種類か持ってくるから」

「分かりました。じゃ、二人の所に戻りましょうか」

遥はショップの外を指し、早く戻ろうとする。

「待って、遥」

真弓は遥を止める。今外に出て、二人の邪魔をされると困るからだ。

「どうしたんですか? 早く行きましょうよ」

この遥の言葉、佳奈には悪いが、早く護の元に戻りたいと言ってるような気が、真弓にはした。

「あの二人を見ても、そう思う・・・・・・? 」

アイスを食べ終えてもなお、楽しそうに話している護と佳奈の姿を、真弓と遥は目にした。

「でも・・・・・・」

「遥が護の事を好きなのは分かってる」

「にゃっ!? どうして・・・・・・」

「見ていたら分かるよ。だけど、今日は佳奈の番だよ? 」

「佳奈先輩の番・・・・・・? 」

「もう。元々、今日のこれは佳奈が護を誘ったもので、私達は無理矢理についてきたにすぎない」

「そう言われれば・・・・・・、そうですけど・・・・・・」

「諦めが肝心だよ・・・・・・? 」

「順番・・・・・・ですもんね。それは杏さんにも言われました・・・・・・」

「杏に・・・・・・? 」

「はい。昨日実は護君の家に泊まったんです。杏さんと私とユウと成美とで」

「そのユウと成美ってのは、友達? 」

「あ、はい」

「護の家に泊まりたいって言ったのは、その四人の中で誰が言ったの? 」

「いえ。提案したのは護君のお姉さんで、私達はそれに乗った感じです」

「なるほど・・・・・・。護ってお姉さんいたんだ・・・・・・」

「えぇ・・・・・・」

「で、遥は護のベッドに入ろうとした時に言われたと・・・・・・」

「・・・・・・。そこまでお見通しなんですね・・・・・・」

「まぁね。じゃ、この話は終わりにして帰るよ

「はい・・・・・・。でもその入り口からは無理ですよ? バレますし・・・・・・」

「分かってる。策はあるから」

真弓は話を切り上げ、レジに足を伸ばした。

「どうかされましたか? 」

「この店、裏口とかってありますか? 」

「えぇ、まぁ、ありますけど・・・・・・」

店員は何でそんな事を聞くのか分かっていない状況だ。

そりゃそうだろう。遥だって分かっていないから。

「その裏口、使わせてもらってもいいですか? 」

「いいですけど・・・・・・」

店員は腑に落ちない様子で、真弓の言葉を承諾する。

「ほらね」

真弓は振り返り、自分の後ろでボーッとやりとりを見ていた遥にピースをする。

「それでは、ついてきてください」

「あ、分かりました」

こうして真弓と遥の二人は、護達に気づかれる事なくショップから出、植物園を後にした。



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