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せいしゅん部っ!  作者: 乾 碧
第一編〜四章〜
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事件の後の憩いの場はデートのようで #2

植物園内に入ると、その沢山の花々に驚くとともに、植物の甘い香りが俺達を包んだ。

「花壇に植えることが出来る花とかもさ、展示されてたりするから、二人二人に分かれて見て回ろうか」

狩野先輩が真っ先に口を開いた。

「そうですね。その方が効率も良さそうですし」

「ペアは、どうするんですか? 」

遥が俺の手を離し、かかり気味に聞く。

「それは、佳奈と遥。私は宮永君とがペアだね。互いに詳しい私と遥がリードすれば、良いと思うんだ」

「わ、分かりました」

遥が若干不機嫌そうに俺の元から離れ、佳奈先輩に近づく。このペアに不満でもあるのだろうか。

「じゃ、行こうか。遥」

「そうですね。あたしに任せてください」

「本当に、頼りにしているからな? 」

「はい。真弓さん。あたし達は右側から回りますね」

「うん。分かった。じゃ、一番奥に店があるから、そこで落ち合おうか」

「分かりました。じゃ」

狩野先輩は先に行った二人に手を振り、見送る。

「私達も行こうか」

「はい。そうですね」

狩野先輩の左横に並び、俺はさっき思った疑問をぶつけた。

「狩野先輩は、ここに来た事があるんですか? 」

「ん? 無いけど……。どうして? 」

「詳しかったから、てっきりそうだと」

「あぁ、なるほどね。佳奈の為だよ」

「佳奈先輩の為……ですか? 」

「うん。いつも振り回してばかりだからね」

「そうなんですか………………」

俺の思っていた見立ては、大方は合っていたようだ。

「宮永君も、よく杏に振り回されているみたいだねぇ」

「まぁ、そんな頻繁にってわけじゃないですけどね」

「それに、疲れたりはしない? 」

「しないって言えば嘘になりますけど、慣れてますから」

「慣れてる? 」

「はい。姉がいるんで、昔からよく振り回されてましたし」

「なるほどね」

「先輩はいたりするんですか? 弟さんとか」

「残念。私は一人っ子だよ。それは佳奈も一緒でね、よく一人っ子ではない杏を昔は羨ましく思ったものだったね」

へぇ、杏先輩って兄弟がいたのか。

それが弟さんなのか、妹さんなのか、はたまた、お姉さんなのかお兄さんなのかは分からないが、大変そうだ。

「杏は意外と良いお姉さんだったよ? 昔一度だけ家に行ったことがあったんだけど、その時は料理してあげていたりと、なにかと凄かったし」

「へぇ…………」

その面倒見によさは感じる事が出来る。だから、皆、杏先輩に振り回されたり、無茶振りを受けたりしたとしても、嫌いになったりは出来ないのだ。



……宮永護君か……。

隣を歩いている、自分より背が高い男の子を見て、思う。

「どうかしましたか……? 」

気づかれた。

「いや、何もないよ」

このペア、真弓と護、遥と佳奈のペアにしたのは、もちろん真弓だ。

こうした理由は、佳奈が好きな男の子が、どんなのかを調べるためだ。

佳奈自身は気づいていないだろうが、護の事を話している時の佳奈が、自分が見ている佳奈の中では一番、楽しそうにしているのだ。

……なるほどね……。

佳奈の気持ちは分かる。

隣にいるだけで感じる事の出来る、この安心感みたいなのが人々を惹きつけているのだろう。

一緒にいるだけで、楽しいと思えるのは凄いことである。

「宮永君か…………」

一人言のつもりが声にでてしまったようだ。

「呼びました? 」

「い、いや。なんでもないよ? 」

「何で、疑問系なんですか………………」

護はそれだけを言うと、周りの花を見渡し始める。

今、歩いている辺りの花達は、花壇に植えるという花ではない。少し大きめの花達だ。

時間の短縮の為、早めに回った方がいいだろう。

「早く………………」

「そういえば……」

二人の声が被さる。

「狩野先輩から、どうぞ」

「良いよ。私は早く行こうかって言おうとしただけだし」

「それ、先に言ってることになりますよね」

護は笑みを浮かべながら言ってくる。

「そうだね……。宮永君は、何て言おうとしたの? 」

「えっと………………、その髪飾りの事なんですけど」

「うん? これ? 」

真弓は自分の猫耳を模した、カチューシャを触る。

「その髪飾り、いつも着けてるんですか? 」

「うーん……。外に出る時は基本着けてるかな。学校でもたまに着けてるよ? まぁ、風紀委員に言われたりするけどね……。以外とこの耳の部分、触り心地が良いんだけど、触ってみる? 」

「い、いえ! いいですよ。気になっただけなので」

「そう? 残念……」

「そんなに残念がらないでくださいよ」

からかい甲斐のありそうだ、と真弓は思う。

「大丈夫だよ。本当はそんな事思ってないから」

「からかわないでください」

……楽しい子だね……。

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