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せいしゅん部っ!  作者: 乾 碧
第一編〜四章〜
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席替えと転校生は事件の香り #5

「はぁ・・・・・・。疲れた・・・・・・」

家に帰るなり俺は、ベットの上に倒れこんだ。

今回は無事に、校内を案内する事が出来た。だからといって、羚とランの二人が話し込まなかった、というわけではない。

休み時間の時は、どこから案内するかみたいなのを打ち合わせを行った。

その時も、羚とランは話していたし、きちんと聞いていたのか些か、不安ではあったが、ランが羚と話をしながらも、聞いてくれていたのが良かった。案の定、羚は聞いていなかったようだが・・・・・・。

案内の途中でも、羚とランは話し始めるもんだから、無駄に時間がかかったのかもしれない。

まぁ、二人が楽しそうにしていたし、それはそれで良かったのかもしれない。

「どうすっかなぁ・・・・・・」

今の問題は、羚とランの仲の良さではなくて、明後日に迫る、佳奈先輩との約束の事だ。

本当なら今日、調べようと思っていたのだが、予定がずれてしまったのだ。

その上、ララとランの二人に、「今度は御崎市を案内して」と、言われたのだ。

御崎市は、範囲が広いため、どこから案内しようかと思案していたのだが、その時に約束を思い出したのだ。その場では俺は抜けると言いたかったのだが、言うタイミングが無かったのだ。

・・・・・・葵に言っておくか・・・・・・。

携帯を取り出し俺は、葵をコールする。

葵は二コールで出てくれた。

・・・・・・毎回早いな。

「もしもし? 葵」

「護君? どうしました? 」

「明日のさ、御崎市を案内するって話、俺抜けることにるんだけど…………良いか? 」

「用事ですか? 」

「ん。そうなんだけど。あの場では言いにくくて」

「それなら、土曜日でも、日曜でも私は良いですよ? ララちゃんとララちゃんにも言っておきますし」

「あぁ・・・・・・。悪い。その日も予定埋まってるんだ・・・・・・」

「そうですか・・・・・・。まぁ、仕方ないですよね。私と吉田君とで、二人を案内しますよ。場所も御崎駅の近くにしておけば、楽ですから」

「ゴメンな? 」

「いえ。良いですよ。気にしないでください」

「本当にゴメンな。一応、明日言うつもりだが、もし、ララ達の番号を知ってたら伝えておいてもらっていいか? 」

「はい。分かりました。それじゃ、お休みなさい」

「おぅ。お休み」


「ふぅ・・・・・・」

葵は携帯を机の上に置き、ベットに顔をうずめるように倒れる。

「護君・・・・・・」

御崎駅の近辺は家の近くだし、案内するのは簡単だ。青春部のメンバーでも行った場所だし、その事を思い出すことが出来るのは良い事なのかもしれない。ララとランと一緒にいるのも楽しいし、楽しそうにランと話している羚を見ると、こっちまで気分が良くなってくる。

でも。

「護君とも一緒にいたいよ・・・・・・」

こんな事を想うのは、最初に護の事を好きだと、分かった頃以来だ。

青春部に薫や心愛、護と一緒に入ったため、一緒にいることが多くなっていたのだ。

「護・・・・・・君・・・・・・」



「暇過ぎるなぁ・・・・・・」

沙耶はソファの上でくつろぎながら、小さく呟いた。

今この家の中にいるのは、沙耶だけだ。

母さんと父さんは仕事。護は学校に行っている。昨日の夜も電話していたし、護が今日、いつもより早く家を出たのは何か用事があったからだろう、と沙耶は思う。

「あ、そういえば・・・・・・」

沙耶は母さんから用事を頼まれていた事を思い出し、ソファから腰をあげた。

用事というのは、護の部屋を除き、自分の部屋とその他の部屋を掃除する事だ。

「護の部屋もしようかな・・・・・・」

それなら、早くやった方がいいかなぁ、と沙耶は思う。時間がかかるというわけではない。ただ・・・・・・。

「護の部屋からやるか・・・・・・」

護の事を思うだけで、階段を上がる沙耶の足取りは軽くなる。

「到着・・・・・・っ! 」

護の部屋に入った沙耶は、自分では押さえきれない程に、気分が高揚していた。

「我慢出来ない・・・・・・っ! 」

沙耶は自分の体の本能には逆らえず、ベットに飛び込む。

・・・・・・護の匂い・・・・・・。

沙耶は日常的に護に抱きつく事がある。

それは、沙耶が重度のブラコンだという理由もあるがそれだけではない。安心する事ができるから、沙耶はそういった行動に出るのだ。

沙耶自身、この事は自分が親友だと思った相手にしか言っていない。

「すぅ・・・・・・はぁ・・・・・・」

自然と手が下に伸びるが・・・・・・。

「はぁっ・・・・・・! 」

一体何してるのよ、と沙耶は自分自身に問いかける。

まだまだ護が帰って来るまで時間があるが・・・・・・。

「護・・・・・・、早く帰ってきてよ・・・・・・」


薫は今日も青春部の部室に来ていた。

だけど。

「どうしたの? 薫? 」

杏から、そんな声がかけられる。

「いえ。護がいないと少し・・・・・・」

「そんな事言っても、家隣でしょ? あたし達よりかはいつも一緒にいられると思うんだけど・・・・・・」

「そうですけど・・・・・・。護のお姉さんが最近、家に戻って来たんです」

「へぇ・・・・・・。そうなんだ。どんな人? 」

杏はどんな人かとても興味があるらしい。そんな杏を見ながら薫は。

「一言で言えば、杏先輩に似ていますよ」

「あたしと・・・・・・? 」

「はい。髪型とか、その他も」

「一回、見てみたいなぁ・・・・・・」

「じゃ、帰り寄ってみますか? 」

「えっ!? 良いの? 」

杏のテンションの上がりようは誰にでも分かるかのように、グン、と上がった。

「は、はい。良いですよ」

「ん、ありがと」

「いえ。時間どうします? 」

「うーん・・・・・・」

杏は部室内を見渡す。

今、部室の中にいるのは、成美、渚、悠樹がいる。

が、全員、気持ち良さそうに寝ている。

「起こさないように、行こうか」

「はい。それじゃ、行きましょうか」

薫は肩に鞄をかけ、それに習うように杏もかける。

「レッツゴーだよ! 薫」

「待ってください。急ぎすぎです」


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