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せいしゅん部っ!  作者: 乾 碧
第二編〜五章〜悠樹√〜
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お祭り気分 #12


 皆に伝えるタイミングが早ければ早いほど、悠樹は楽になれる。護も楽になれる。


(でも…………)


 どのタイミングで、どういう雰囲気の時に、どう言うべきなのか、悠樹にはよく分からない。


 そもそも、人を好きになったことが無かった。この感情を知らなかった。そして自分には一生縁がないものだと思っていた。家族以外の人を容易に信じることが嫌いだから。


 でも、青春部という居場所が出来て、護が入ってきて、悠樹の見方が変わった。世界が明るくなった。護のおかげで、気付くことが出来た。


 悠樹は護が、青春部が好きだ。


 護と出会って出会ってまだ半年ほどだが、護が良いと思うところがあって、護に救われて、そして、今がある。皆にわざわざ確認したわけではないが、葵もそうだろう。薫だって、心愛だって。他の皆もそう。


 だから、青春部が居場所になり得る。互いの想いを知っていても、そこに執着心が生まれる。


 悠樹はそう思う。


「お待たせしました~。ミックスジュースお二つどうぞ~」


 護と葵が注文した品が届く。


「一緒のに、したの?」

「葵がそうしたいって言うから」

「……そう」

「作る側からすれば、その方が楽ですしね」

「言われてみればそうだな」


(建前……?)


「私達はこのクラスの代表でもありますし、他の人が楽しめればそれで十分です」

「葵は真面目だな。休憩中なんだから、ゆっくりしたらいいと思うけど」

「自分がフリーな時はそうします。護君も、その時は」

「はいはい」


 文化祭の楽しさ、とはなんだろうか。


 二人の話を聞きながら、悠樹は考えを巡らせる。


 個人的には、心の許した数人とその空間を共有することだと思う。大人数でガチャガチャワイワイするのが嫌いだから。


 でも、大多数はそうではない。一つの目標に向かって、皆で協力し、そこに楽しさを見出す。そういう気持ちも分かる。


 協調性がないといえばそうなる。心を開けないだけではあるが。


「悠樹はこの後どうするんですか?」

「特には。部室に戻るつもり」

「え? 部室に……?」

「うん。麻依ちゃんから連絡くるまでやることないから」


 一人で行きたいところがあるらしい。


「それならよかった……」

「なんで……?」

「いやいや、せっかくこういう時なのに、って思ったから」

「…………ん」


 自分だけでどこかに行こうという気はない。


 たまには自分らしくないことをと思ってここに来てはいるが、それは勿論、護がいるから。護達のクラスだから。そうでなければここに来ていない。


「面白いところがあったら教えてくださいな」

「ん、分かった」


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