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せいしゅん部っ!  作者: 乾 碧
第二編〜五章〜悠樹√〜
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お祭り気分 #10



 悠樹がこちらの目をチラっと見、すぐ伏せる。ちょっと悲しそうに映る。


 悠樹の言いたいことは分かる。一緒に、ということなんだと思う。俺も、せっかくの文化祭なんだから、機会を作らないといけないとは思ってる。初めての文化祭でもあるし。


(けどなぁ……)


 タイミングが悪い。いやまぁ、皆に言っていない俺が悪いんだけども。言わないとと思うほど、言えなくなってしまっている状態。隠しているつもりはないけど、バレてしまったら、そういう風に見られてしまっても仕方ない。


 振り返って教室を見、悠樹を見つける。心愛と薫に案内された悠樹は、小さく椅子に座っている。座るとすぐに鞄から本を取り出し、いつもの悠樹っていう感じもある。


「どうしました? 護君」

「へ……?」

「先輩が気になります?」

「あー、大丈夫大丈夫。珍しいなって思っただけだから」

「分かりました」

「すまん。もう少しで休憩だろうし、集中するわ」

「いえ、大丈夫ですよ。もう少なくなってきましたし」

「あ、護〜、葵」


 裏に戻ったはずの心愛と薫が戻ってくる。


「どうした?」

「二人、休憩だって」

「ですか。そろそろ欲しいと思ってた頃合です。ね、護君」

「それはそうだけど、代わりは?」

「あたしらが見るよ」

「二人とも抜けて、そっちは大丈夫なのか?」

「うんうん。問題ないみたい」

「落ち着いてきてるしね」

「分かった分かった」

「しばらくゆっくりしましょう、護君」

「そうだな」


 二時を回り、三時が近付いてきている。結構疲れるとなんというか、葵が言うようにゆっくりしたい気分。


「はーい、ゆっくりしてきて」

 


「ふぅ」


 息をつきながら葵は、大きく伸びする。隣で護も同じようなことをしている。時折席を外して身体をほぐしたりはしていたが、長時間座っているのも疲労が溜まる。


「おつかれさん」

「はい。ありがとうございます。護君も」

「後半も頑張ろ」

「ですね」


(さてと……)


 ゆっくりと見てる時間はなさそうだ。


 それに。


(護君は……)


 護の意識は悠樹に向いてしまっている。


 悠樹の何が気になるのか、どうして気になるのか、そこについて葵には知る術がない。知ったところでどうしようもないし、どうすることも出来ない。


「護君はどうするつもりですか?」


 葵はわざと、こう聞く。


「うーん……。そうだな…………」


 悩んでいる。悠樹のことを考えているのか、葵を一人にするのは申し訳ないと思っているのか。


(両方ですよね)


 護はそういう人だ。分かりやすい反応だ。

 


 

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