表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
せいしゅん部っ!  作者: 乾 碧
第二編〜五章〜悠樹√〜
376/384

お祭り気分 #5



 雪菜を気にしながら魅散は、教室内の様子を観察する。


 (懐かしいわね)

 

 一人暮らしはしていれど、大学時代もこの御崎市で、御崎大学で過ごしていた魅散にとってこの文化祭の感覚はつい一年前まで味わっていたものであるが、学生の身分でなくなった今、しみじみと思う。


 「お姉ちゃんは……」

 「ん〜?」

 「去年まで、ここにいたんだもんね…………」

 「だねぇ。文化祭は合同だったし」


 学生の頃、楽しい、という感情を優先させていた魅散にとってこの文化祭は特に、この御崎市全体の華やかさを感じるものでもあった。


 それは勿論、魅散が面倒なことが嫌いで、それを親友である沙耶に投げていたから、という面もある。


 (よく文句を言われたっけ)


 だとしても、二人の関係性は崩れることなく、良いところも悪いところも知っているからこそずっと仲良くやってきている。


 「どうしたの? お姉ちゃん」

 「急に、何〜?」

 「笑ってたから」

 「そう? 自分達の時のことを思い出してね」


 (雪菜には………………)


 「雪菜には、仲の良い友達、どれくらいいる……?」


 妹にこんな質問をするのはおかしいと思いつつも、気が付けば聞いてしまっていた。


 「どうだろ……。二人、かな………………?」

 「それは、護君と栞?」

 「うん……。まーくんと栞ちゃん…………」

 「同じ学校とか、クラスには?」

 「あんまり……」

 「そっか」


 雪菜は慣れるまでに時間がかかる。他人と接することがあまり得意ではない。だから、交友関係は自然と限定されてしまう。護は親友である沙耶の弟で、栞は近くに住む幼馴染。


 だからこそ魅散は、護達が開いた七夕に雪菜が参加したことに驚いた。頑張るから、と雪菜はそう言い、良い笑顔で家に戻ってきたので安心はしていたが、なかなか上手くはいっていないようだ。


 学校が違う二人は、なかなか会う機会があるわけではない。意識的に行動しないと、隣に居続けることは出来ない。当然それは雪菜も分かっているからこそ機会を利用しているわけだが、まだまだ一人では難しいようだ。


 「ま、少しずつよね」

 「ん……。がんばる」

 

 (がんばんなさい)


 「お待たせしました〜」

 「はーい、ありがと。薫」

 「ゆっくりしてくださいね」


 薫が注文を届けてくれる。


 「そういえば」

 「薫が着てるそれって」

 「あ、分かります? 咲夜さんが着てるのと同じタイプのやつです!」

 「男装してるんだねぇ」

 「はい。あべこべ喫茶っていうコンセプトなので」

 「に、似合ってるよ……。薫ちゃん」

 「そうかな? ありがと、雪菜ちゃん」


 女装と男装。単純な喫茶店をやるよりかは、インパクトが強い。高校生であれば、ノリでやりやすい。


 「護君はこっち側にはならなかったんだね」

 「あはは、そうなんですよ。逃げられちゃいました」

 「面白そうなのにねぇ」

 「まーくんの女装……………………」

 「ん〜? 雪菜は見たかった??」

 「どうだろ……………………」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ