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せいしゅん部っ!  作者: 乾 碧
第二編〜五章〜悠樹√〜
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お祭り気分 #2


 それじゃ、と手を振りながら、杏と佳奈は離れていく。


 「はぁぁ……」


 見えなくなったその瞬間、成美は、疲れたと言わんばかりにその場に座り込む。精神的にやられてしまいそうだ。


 「どうしたの…………?」

 「大丈夫、大丈夫」

 「そう……」


 杏は何故、あそこまで割り切れるのだろうか。自分達が青春部として参加したいと思っていたこの文化祭を、どうして簡単に諦めることが出来るのだろうか。


 杏にどんな用事があるのかは知らない。文化祭より、青春部より優先されるものなのだから、とても大切な、重要なことなんだろう。


 だからといって、杏のことを理解できるわけではない。


 (だって……………………)


 今年こそは。成美はずっと、ずっと。


 成美にとって、護は特別だ。そしてそれは、渚だって、他の皆だって。我慢出来るものではない。抑えられるものでもない。


 好き、だから。



 「大丈夫かなぁ」

 「ん? どうかしたのか。杏」

 「いやぁ、成美のことがねぇ…………」


 成美の言いたいことは分かる。だって、自分と成美は似ているから。


 「成美達には来年があるから」

 「それはそうだけど……。あの子達だけででも出来たら…………」

 「一応、責任者がいないといけないからな。決まりだ」

 「だねぇ…………」


 自分達の決定に一番反対したのは成美だった。分かっていた。だから、申し訳なさもある。自分が成美と同じ立場なら、自分もそうしただろうから。


 佳奈の言う通り、成美達、下級生には来年がある。自分達とは違う。まだ先がある。次がある。


 (そうじゃない、そうじゃないのは分かってるよ……)


 杏だって、皆と一緒に楽しみたかった。護と一緒に過ごしたかった。皆、気持ちは同じなはずだ。杏は部長だから、誰よりも感じている。


 いつもならいうことを聞かせて自分達のことを優先させてきたが、今回ばかりは難しかった。そうはいかなかった。家族として、姉として、杏にはやるべきことがあった。


 「また集まるか?」

 「え……………………?」

 「ハロウィンの時にでも皆で。七夕の時みたいに」

 「佳奈の家に?」

 「そういうことになる。良いだろう?」

 「佳奈がいいって言うなら私は構わないよ」

 「なら、決まりだ。咲夜にも伝えておく」

 「いいの……?」


 願ったり叶ったり。成美や他のメンバーに対しても、埋め合わせをしなければ、と思っていた。


 「構わん。その方がいいだろ?」

 「うん。もちろん……。ありがと、佳奈」

 「気にしなくていい」

 

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