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せいしゅん部っ!  作者: 乾 碧
第二編〜五章〜悠樹√〜
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お祭り気分 #1



 「ねぇ、お姉ちゃん…………?」

 「なーに? 渚」


 もう少しで数十分で文化祭が始まる。成美達、クラスのボルテージは最高潮に達し、観客を受け入れる準備は問題なく整っている。今日、予定のない成美と渚は廊下に出て、クラスメイトの盛り上がりを見守る。


 「お姉ちゃんは…………、楽しめそう?」

 「んー……? なんで?」

 「だって……。今年も…………」

 「残念なのは残念だよね、青春部で何も出来ないっていうのは」

 「うん」

 「でも、あたし大丈夫だよ。上手くいかない時だってあるからね」

 「それはそうだけど…………」

 「あたしが問題ないって思ってるんだから、問題ないんだよ。渚」

 「お姉ちゃん……………………」


 (あたしだって……)


 諦めきれない部分はある。今年こそ、そう思っていた。護もいて、葵、薫、心愛がいる。去年よりも、賑やかな青春部になった。だからこそ、という気持ちが、成美にはあった。そして、護とも。


 機会は大切にしなければならない。自分は、護と同級生ではない。先に卒業してしまうし、どんどんと会えなくなってしまう。それは、杏と佳奈も考えているはずだ。


 (それなのに杏先輩は……)


 佳奈も、杏の言動を尊重した。杏が一番苦しいだろう。杏は青春部の部長で、加えて、こういうイベントには必ずといっていいほど参加し、皆を先導していくタイプだ。そんな杏が、去年に続いて、部活としての参加を諦めている。


 「杏先輩は何を考えてるのかなー」

 「呼んだ? 成美」

 「ふ、ふぇ…………?」


 杏と佳奈が目の前に。全く気付いていなかった。渚は気付いていたのだろう、驚いているのは自分だけだ。


 「私の名前が聞こえた気がしたんだけどなぁ」

 「び、びっくりした……………………」


 ゆっくりと、呼吸を整える。


 「それで? 二人は何をしてたの?」

 「特には……」

 「そう?」

 「私達は今日予定がないので、邪魔にならないようにこうして」

 「そうか」

 「三日間連続は疲れるもんね〜」

 「回る時間もないですし」

 「そだね」


 (危ない危ない)


 会話の内容が自分のことから逸れていった。事情が事情なだけに、杏のことを考えていた、とはなかなか言えない。


 「ということは、成美と渚は今日、一日中時間があるんだな?」

 「えぇ、まぁ。二人もですか?」

 「ゆっくり回りたいところではあるんだがな……。会長だから、時間がな」

 「私も今日は…………。お昼には帰らないといけなくて」


 (帰る…………?)


 「大変ですね」


 杏の帰るという発言について渚は特に、言及しようとはしない。成美とは違って、あまり、気にしていないようにみえる。


 (帰るって何………………?)


 この疑問は心の中だけに留めておく。空気を読まないと。この場で聞くようなことではない。


 「仕方ないよね。ね? 佳奈」

 「そうだな。こういう立場にいるわけだ。重々承知の上だ」

 「そうそう」

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